On the New York City! ~現代美術家の目線で楽しむニューヨーク~
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NY独自のサブカルチャーが続々 現代美術家が教えるセカンド・アベニューの注目スポット6選

バー、シアター、文化施設など、他にも注目スポットがずらり

KGB Bar

クライン・シアターの2階にあるバー。この場所ではコメディーなどが不定期で行われる。以前はこの近くで現代美術の展覧会や実験映画を見た後に、このバーでアーティストの友人らと親睦を深めることも多々あった。アーティストなど文化人らが集う、僕にとってはなんとなく入りやすい場所だ。

店名は今は亡きソ連の国家保安委員会(反体制派の取り締まりをはじめ、国境警備、海外での情報収集などを行った。1993年に廃止)からとったもの。独自のユーモアのセンスが気に入っている。

KGB BAR内の写真。僕は赤いこの壁が好きだ。
Photo by Jason Schneiderman(写真上)
KGB BARのネオンサイン。
Photo by Patricia Zumhagen
写真上:KGB BAR内の写真。僕は赤いこの壁が好きだ。(Photo by Jason Schneiderman)

写真下:KGB BARのネオンサイン(Photo by Patricia Zumhagen)

ラ・ママ実験劇場

NY独自のサブカルチャーが続々 現代美術家が教えるセカンド・アベニューの注目スポット6選
写真上:ラ・ママ実験劇場の入口

写真下: 数ブロック先にあるギャラリー、ラ・ママ・ガラリエの入口
(共に筆者撮影)

1961年に創設されたシアター。主に前衛・実験的なパフォーマンス(ダンス、詩の朗読、人形劇など)が、若手、中堅、ベテランを問わず行われる。古くは寺山修司が主宰する「天井桟敷」のアメリカ公演(1970年)や、若かりし頃の詩人でロック・ミュージシャンのパティ・スミス、俳優・映画プロデューサー・作家で「キンキーブーツ」などの脚本も手がけたハーヴェイ・ファイアスタインらが駆け出しの頃に公演を行った場所としても知られている。

この劇場は当初は客席25人の小さなスペースで始められたが、現在は四つのビルの中に複数の劇場やアーカイブ施設、ギャラリーなどを擁する。

とくに最も大きなビルにあるエレン・スチュワート・シアター(298席収容可能)のような広いスペースで行われる実験的な舞台の数々は、自由で反骨精神があり、また舞台空間が広いゆえに、その使い方が独自なものが多い。ここでしか見られない舞台は、僕が現代美術を制作する上でインスタレーションの空間構成の参考にもなり、非常に勉強になる。

また、このビルにあるアーカイブには、過去の公演などで使用された大道具、小道具、ポスターなどが保存・陳列されていて非常に見応えがある。去年はコロナで劇場の閉鎖を余儀なくされたが、オンラインでの公演も盛んに行われるなど、活動的なアーティストらを紹介するプラットフォームとしても重要な場所の一つだ。僕も数年前から映像作品の上映やパフォーマンスなどで関わったことがあり、何かとつながりのある場所だ。

NY独自のサブカルチャーが続々 現代美術家が教えるセカンド・アベニューの注目スポット6選
ライブラリーに陳列された資料の数々(筆者撮影/La MaMa Archives 撮影承諾)

アンソロジー・フィルム・アーカイブス

1969年にアメリカの実験映像作家のジョナス・メカス、ジェローム・ヒル、スタン・ブラッケージ、ペーター・クーベルカ、映画研究家/評論家のP・アダムス・シットニーらによって設立された実験映画の保存、保管、上映を行う文化施設。施設内には72席のマヤ・デレン・シアターと187席のコートハウス・シアター、図書室(現在は閉鎖中)などがある。

上映のラインアップは、新旧の実験映像や有名監督の未公開映像作品など様々だ。セレクションが素晴らしく、映像作品を数年前から作り始めた僕にとっては、どの上映会も非常に勉強になり、実験映像の教科書のよう。

この場所に来ると上映される映画の性質もあるが、かなりの確率で同じ人々に出会う。いつの間にか友人になった人は数知れず、有名な映像作家たちとの出会いもあった。特に2019年に亡くなった創設者のジョナスさんから、僕も作品づくりにおいて非常に影響を受けた。簡単には書けないほど、思い入れの強い場所だ。当施設も昨年からオンライン上映が盛んになっている。

アンソロジー・フィルム・アーカイブス外観(写真左)と同館の入り口。元裁判所の建物をリノベーションして使用している。 筆者撮影
アンソロジー・フィルム・アーカイブス外観(写真左)と同館の入り口。元裁判所の建物をリノベーションして使用している(筆者撮影)
故ジョナス・メカスさん(左)と伊藤(右)。AFAロビーにて。ジョナスさんのアシスタント撮影
ジョナスさんには詩について、実験映像についてなど、いろいろ教わった。彼は僕のもっとも尊敬しているアーティストの一人だ。
故ジョナス・メカスさん(左)と伊藤(右)。AFAロビーにて。ジョナスさんには詩について、実験映像についてなど、いろいろ教わった。彼は僕のもっとも尊敬しているアーティストの一人だ。写真はジョナスさんのアシスタントが撮影

この地域には上に挙げた施設のほか、ギャラリーなども点在している。例えば日本人のアート・ディレクター林まゆみさんが運営している土日のみ公開されているギャラリー「mh project」や、アレン・ギンズバーグの詩から取られたギャラリー名、「Howl! Happening: An Arturo Vega Project」などだ。他にもシアターもたくさんあるし、オンラインで見られるパフォーマンス、映像作品もかなりある。気になった方はぜひインターネットで調べてみてほしい。

これらの施設は9月上旬現在、コロナ以前のようにとは行かないが、少しずつ以前の状態を取りもどしつつある。ただ、入場の際にワクチン接種を入り口で証明することが必須だ。人と会ったときハグや握手はまだできず、そうしていた頃が懐かしい。コロナのデルタ株が猛威をふるう中、ニューヨーカーは、献身的に新型コロナウイルスを警戒しながら今日も何か新しい楽しみはないかと、日々暮らしている。

ここで紹介した場所は地元の友人らが教えてくれた。この文章を読んだ人たちにとって、良き2Ave案内になったらと思う。

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