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小川フミオのモーターカー
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アルテオン、パサート、ゴルフ 乗り心地良く、個性あふれるVWのステーションワゴン

アルテオン・シューティングブレーク

今の自動車マーケットはSUVが一大トレンドで、そのほかの車型は苦戦中とか。でも、あまり売れなくても、多様性を捨てないのが、自動車メーカーのいいところだと思っている。

例えば、フォルクスワーゲン。ステーションワゴンを今も大事にしている。スポーツカーほどではないにせよ、SUVにすっかりシェアを奪われたセグメント(車型のジャンル)で、日本では日産自動車やホンダのように、ステーションワゴンをラインアップから落としてしまったメーカーもある。

薄型ヘッドランプと、横基調のグリルのバーでノーズを低く見せている新しいパサート・ヴァリアント
薄型ヘッドランプと、横基調のグリルのバーでノーズを低く見せている新しいパサート・ヴァリアント

フォルクスワーゲンは、日本法人も頑張っている。2021年夏には、そんな日本市場にあっても3台のステーションワゴンが発売された。どのクルマも個性があって、好ましいと私は思っている。

内容は、プレミアムモデル(VWセダンのトップモデル)の「アルテオン・シューティングブレーク」、改良を受けた「パサート・ヴァリアント」、そしてフルモデルチェンジした8世代目ゴルフに追加された「ゴルフ・ヴァリアント」。

ゴルフ・ハッチバックより全長で345ミリ長いヴァリアント
ゴルフ・ハッチバックより全長で345ミリ長いヴァリアント

ステーションワゴンは、馬車の時代からある車型で、大人数とそれに応じた大きな荷物を運ぶもの。自動車の時代になってからは、セダンの荷室を拡大したのが基本形となった。

パサートもゴルフも、大きな荷室で定評がある。加えて、このところのフォルクスワーゲンの方針にのっとって、けっこうスポーティーな雰囲気の外観デザインも目をひく。

先代よりハッチゲートを倒してスポーティーな雰囲気のゴルフ・ヴァリアント
先代よりハッチゲートを倒してスポーティーな雰囲気のゴルフ・ヴァリアント

アルテオン・シューティングブレークは、もう一つ、別の考えかたでもって、ステーションワゴンの可能性を見せてくれるモデルだ。パサートやゴルフほど機能優先でなく、クーペに通じるようなスタイリッシュさを追求したところに特徴を持つ。

シューティングブレークもやっぱり馬車の時代がある車型。狩りのために使われる、大人数でも乗れるワゴンタイプの馬車を指す。1960年代には、アストンマーティンなど大型スポーツクーペを改造して、ステーションワゴンふうにしたシューティングブレークが、富裕層の間で流行(はや)った。このときはコンセプトがだいぶ変わっている。

アルテオン・シューティングブレークが初導入
アルテオン・シューティングブレークが初導入

現代のシューティングブレークは、さらにひとひねりというか、4ドアステーションワゴンだ。ただし、ルーフの前後長を短くして、テールゲートを寝かせることで、荷室の大きさばかり重視しているのではないと主張。なにより、軽快な雰囲気である。

実際、アルテオン・シューティングブレークはオフィス街からリゾート地まで、あらゆるシチュエーションに似合いそうなのだ。

アルテオンにはエレガンスに用意される2トーンの内装が雰囲気
アルテオンにはエレガンスに用意される2トーンの内装が雰囲気

ステーションワゴンとSUV、荷物を運ぶという点では、積載量ではいい勝負だ。SUVがよりすぐれているのは、最低地上高の高さゆえ、悪路走破性が高いところ。一方、ステーションワゴンは悪路走破性を追求しないぶん、車高が下げられるので、結果、サスペンションアームの動きにより自由度が出ている。つまり、乗り心地がよい。

アルテオン・シューティングブレークの荷室容量は565リッターと悪くない
アルテオン・シューティングブレークの荷室容量は565リッターと悪くない

ゴルフ・ヴァリアントは、1リッターと1.5リッターのガソリンエンジンで、ともに前輪駆動。どちらのエンジンにも、電気モーターが発進時に動いて力強い加速をするマイルドハイブリッドシステムが備わる。

ゴルフ・ヴァリアントは基本スタイリングコンセプトは従来の踏襲
ゴルフ・ヴァリアントは基本スタイリングコンセプトは従来の踏襲

個人的には、1リッター3気筒モデルの軽快な動きが好きだ。1.5リッターに比べると、とくにエンジン回転が低いところでは、やや力不足を感じることもある。しかし、エンジン回転を1500rpmから上で保っているように走れば、十分気持ちよく走れる。

ゴルフ・ヴァリアント1リッターモデルの内装
ゴルフ・ヴァリアント1リッターモデルの内装

高速道路でスムーズに速度が伸びていくのは爽快な気分になる。同時に、足まわりの設定がいいので、山岳路のようにカーブが連続する道の下りは速い。しっかりした走りは頼りになる感じだ。

ゴルフ・ヴァリアントの荷室は広く、後席バックレストも簡単に倒せるので拡張性が高い
ゴルフ・ヴァリアントの荷室は広く、後席バックレストも簡単に倒せるので拡張性が高い

従来のゴルフ・ヴァリアントより、前後車輪の中心間の距離であるホイールベースが35ミリ長くなり、かつ全長も65ミリ伸びた。これらが基本的に室内スペース拡大に充てられた。荷室容量も、従来より6リッター増えて611リッターと、かなり大きい。

パサート・ヴァリアントは、ゴルフ・ヴァリアントよりさらに大きなステーションワゴンを求める人のためのクルマだ。荷室容量は650リッター。さらに室内スペースは、後席を中心に、より広い。広大という印象すらある。

大人4人が余裕で乗れて荷物もたっぷり運べる欧州ステーションワゴンの代表格のパサート
大人4人が余裕で乗れて荷物もたっぷり運べる欧州ステーションワゴンの代表格のパサート

現在、1.5リッターガソリン、2リッターディーゼル、それにモデルがもう一つ。少しオフロードテイストを外観に盛り込んで人気のオールトラック(2リッターディーゼル)のラインアップ。

個人的な“推し”はガソリンエンジン車だ。今回の改良における目玉の一つが、この新しいエンジン。スムーズに回るし、トルクも十分。意外なほど力強い加速感だ。

機能主義的なグッドデザインのパサート・ヴァリアント
機能主義的なグッドデザインのパサート・ヴァリアント

エンジンの軽さがよく作用して、カーブでの曲がりは軽快。パサート・ヴァリアントは、荷物グルマのように見えるが、実態は運転を楽しめるクルマなのだ。

加えて、パサートは、広い後席への出入りが楽である。後席用ドアの間口は広く、ルーフラインが地面と並行していると思えるぐらい真っすぐなので、頭をブツけることがない。SUVだと乗り降りがちょっと難儀だと言っている人が家族にいたら、パサート・ヴァリアントはいい選択になりそうだ。

パサート・ヴァリアントにも10インチのインフォテイメントシステム用モニターが用意された
パサート・ヴァリアントには9.2インチのインフォテイメントシステム用モニターが用意された

アルテオン・シューティングブレークは、2リッターガソリンエンジンに、4MOTIONとフォルクスワーゲンが名づけたフルタイム4WDシステム搭載。スタイルから期待するのはスポーティーな走り。実際には、快適志向だ。

押し出しが強いスタイリングのアルテオン・シューティングブレーク
押し出しが強いスタイリングのアルテオン・シューティングブレーク

足まわりの設定がちょっとソフトに感じられるのが、アルテオンの特徴だ。おかげで、路面からの衝撃をていねいに吸収してくれる。エンジンは低い回転域からのトルク、つまり発進直後の力もあり、走りもスムーズな印象である。

アルテオンはルーフラインが後方へいくと下がり、後席のウィンドーも小さくなる。2プラス2的なスポーティーイメージを強調
アルテオンはルーフラインが後方へいくと下がり、後席のウィンドーも小さくなる。2プラス2的なスポーティーイメージを強調

スポーツカーのように、上の回転域まで回して楽しいタイプではなく、総じて感じたのは、長距離のドライブ、いわゆるロングツーリングにとくに向いていそう、ということだ。

後席の広さも、外観から想像するよりはるかに広く、ちょっとしたリムジンなみ。フォルクスワーゲンは、室内スペースを広くとるのが得意なようで、今回のゴルフ・ヴァリアントも、パサート・ヴァリアントも、大人4人なら十分な広さである。

今回の三つのステーションワゴンには共通して、デジタルメータークラスター「Digital Cockpit Pro」、インフォテイメントシステム、モバイルオンラインサービスが標準装備(一部車種は除く)。同時に、同一車線内全車速(時速0キロから210キロ)対応の運転支援システム「トラベルアシスト」もフォルクスワーゲン自慢のシステムである。

今回の3台には液晶モニターが用意されている
今回の3台には液晶モニターが用意されている

ゴルフ・ヴァリアントの燃費は、1リッターの「ゴルフeTSI アクティブ」(305万6000円〜)がリッターあたり18.0キロ(WLTC)、1.5リッター「同eTSI スタイル」(384万6000円)と「同eTSI Rライン」(389万5000円)が同17.0キロ。

パサート・ヴァリアントは「TSIエレガンス」(449万9000円)がリッター15.0キロ(WLTC)。アルテオン・シューティングブレークは「TSI 4MOTIONエレガンス」(644万6000円)と「TSI 4MOTION R-Line」(587万9000円)がともに同11.5キロとされている。

【スペックス】
車名 ゴルフ・ヴァリアントeTSI アクティブ
全長×全幅×全高 4640x1790x1485mm
999cc直列3気筒 前輪駆動
最高出力 81kW@5500rpm
最大トルク 200Nm@2000〜3000rpm
燃費 18.0km@l(WLTC)
価格 326万5000円

車名 パサート・ヴァリアントTSI エレガンス
全長×全幅×全高 4785x1830x1510mm
1497cc直列4気筒 前輪駆動
最高出力 110kW@5000~6000rpm
最大トルク 250Nm@1500~3500rpm
燃費 15.0km@l(WLTC)
価格 449万9000円

車名 アルテオン・シューティングブレークTSI 4MOTIONエレガンス
全長×全幅×全高 4870x1875x1445mm
1984cc直列4気筒 全輪駆動
最高出力 200kW@5500〜6500rpm
最大トルク 350Nm@2000〜5400rpm
燃費 11.5km@l
価格 644万6000円

(写真=筆者)

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