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発酵デザイナーの食国探訪
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「熟成期間」「味」「原料のバランス」から分析 みその基本をマニアックに解説! 

発酵文化のスペシャリスト小倉ヒラクさんが、「食」を起点に国内外の文化や歴史を掘り下げる連載です。

今回のテーマは、手作りを楽しむ動きも広がる「みそ」。地域によって親しまれている種類は異なりますが、それぞれどんな特徴が? 小倉さんがわかりやすく解説します。

米みそ・麦みそ・豆みその特徴

南北に細長く、山あり谷ありの日本列島。中国・韓国から入ってきた醬(ジャン)が土地ごとの気候風土に合わせて、様々なバリエーションのみそに変異していきました。みその成り立ちに続いて、みその種類と特徴について解説していきましょう。

日本で消費されているみその7割以上は、米の麴(こうじ)で醸(かも)した米みそ。長野の信州みそや宮城の仙台みそが有名ブランドの、東日本の王道です。対して九州以南、瀬戸内エリアで好まれているのが麦の麴で醸した麦みそ。そして東海の一部で熱狂的に愛される、豆醬由来の豆みそ。愛知県岡崎の八丁みそがフラッグシップです。

この三つをいくつかの視点で比較してみましょう。

「熟成期間」「味」「原料のバランス」から分析 みその基本をマニアックに解説! 
愛知の名物、八丁みその煮込みうどん。コクのかたまり……!(筆者撮影)
熟成期間について

まずは熟成。暖かい地方でつくられる麦みそは発酵が高速で進むので熟成は3〜6カ月程度で短め。東北はじめ寒い地方でつくられる米みそは半年〜1年ほど長めに熟成させます。冬に仕込み、夏を越してから食べる「寒仕込み」が基本です。

最も熟成が長いのが豆みそで2年以上発酵させるのが標準。熟成が進むほど、みそのなかのアミノ酸や糖分はゆっくり色が濃くなっていきます(これをメイラード反応という)。豆みそは極限までメイラード反応が進んでいるので真っ黒、しかも水分が抜けてカピカピになっているのでお湯で溶くのが大変。具材と一緒に煮込みながら溶かしていくのに向いています。

味について

次に味で比較してみましょう。麦みそは発酵期間が短いので乳酸菌や酵母の発酵も弱く、麴由来の甘味やうま味が強い。そのかわり熟成のもたらすコクはそこまで深くない。米みそは発酵期間が長いので、麴のつくった甘味を乳酸菌や酵母が食べて、酸味(乳酸菌由来)やかぐわしい香り(酵母由来)が強くなります。そのかわり甘味が弱くなる(他の発酵菌が食べてしまうので)。

熟成によるコクもあるので、色んな要素がコンプリートされている味と言えるでしょう。豆みそは発酵と熟成が最も長いので、とにかくコクがスゴい。そして米や麦を使っていないので、そもそも甘味が少ない。乳酸発酵感がシャープで、長期の酸化や酵素反応による苦味やえぐみが他のみそにない特徴で、ここが好き嫌いの分かれるポイントになります。

原料のバランスについて

ちょっとマニアックですが、原料のバランスも見てみましょう。

みその味のバランスは、大豆と麴と塩のバランスで決まります。標準は信州タイプの米みそで、大豆1:麴1:塩が全体の12〜13%(およその目安で、商品ごとに異なる)。対して麦みそは、大豆に対して麴の量が多く(1.5〜2倍)、塩がやや少ない(10%前後)。麴の量が多いと栄養分を分解する酵素の量が多いので発酵のスピードが速くなります。

熟成の長い米みそと短い麦みそ。実は原料も発酵・熟成の長短にあわせてデザインされていたりするんですね。ちなみに豆みそは原料となる大豆をまるごと麴にしてしまうので100%麴。大豆は比較的発酵のスピードが遅いので長く発酵・熟成させる必要があります。

米みそ、麦みそ、豆みそが日本におけるみその基本バリエーション。では次に応用編を紹介します。まずはどこのスーパーにも必ず置いてある「白みそ」。これは米みその変形種。標準の米みそよりも麴の量を3倍くらい増やし、塩を2/3〜半分くらいに減らして高温で発酵させる。すると数日〜2週間で甘くてさっぱりしたみそができあがります。要は甘酒的な方法論で発酵させたみそなんですね。

京都や大阪の上方料理の文化では、料理に色がつかないようにする美学がありますね。白みそはこの上方料理のニーズを満たすためにつくられているのです。

「熟成期間」「味」「原料のバランス」から分析 みその基本をマニアックに解説! 
甘くてさっぱり味の白みそ(筆者撮影)
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