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海の見える駅 徒歩0分の絶景
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別府湾の夕暮れと木造駅舎のノスタルジア 大分県・豊後豊岡駅

豊後豊岡駅から望む別府湾。駅名標には日出町の名産「城下かれい」の絵が描かれている

源泉数で日本一の温泉街、大分県の別府市。その隣町に、別府湾を望む小さな駅がある。JR日豊線の豊後(ぶんご)豊岡駅だ。別府駅から列車で約10分の場所にありながら、心落ち着く貴重な情景に巡り合えた。(訪問:2013年2月)

連載「海の見える駅 徒歩0分の絶景」は、アマチュア写真家の村松拓さんが、海のそばにある駅で撮った写真を紹介しながら、そこで出会ったこと、感じたことをつづります。

淡い夕暮れが包む、別府湾と山と町並み

別府の宿に荷物を置いて、午後5時半ごろ、軽い足取りで中山香(なかやまが)行きの普通列車に乗り込んだ。学生など地元の人々で少し混み合った車内。観光客らしき姿はほとんどない。市街地を抜けると、車窓には別府湾が間近に広がった。しかし、じっくりと眺める間もなく列車はスピードを落とし、豊後豊岡駅のホームに滑り込んだ。

豊後豊岡駅は、別府市の北にある大分県日出町(ひじまち)の有人駅。屋根のない吹きさらしのホームが2本、向かい合う形でまっすぐに延びている。列車が去ると、反対のホーム越しに別府湾が見えた。

正面はちょうど、別府湾の対岸にあたる大分市付近。右手には別府の市街地が広がる
正面はちょうど、別府湾の対岸にあたる大分市付近。右手には別府の市街地が広がる

別府湾は波もほとんどなく、終始おだやか。海の向こう、頭ひとつ突き出た正面の山は、サルで有名な高崎山だ。その左には大分市街、右には別府市街がある。ちょうど山の向こうに太陽が落ちたばかりの時間で、街にもところどころ明かりがともり始めていた。

時期は2月下旬。雲がほとんどないのに、ぼんやりとかすんだ初春の夕暮れは、海と山と街を今にも一緒くたに溶かしてしまいそうなほど、遠景すべてを淡く包み込んだ。

跨線橋からの景色。駅と海の間には国道10号が通る
跨線(こせん)橋からの景色。駅と海の間には国道10号が通る

跨線(こせん)橋に上ってみると、海とあわせて近くの町並みを一望できる。夕日の沈んだ跡が残る山の稜線と、背の低い瓦屋根の家々――。初めて見るのに、懐かしく、少し心寂しくなるような景色。幼い頃に公園で遊んだ後の家路が、ふと思い浮かんだ。郷愁って、きっとこんな気持ちなのだろう。

高いフェンスのおかげで、余計なものがほとんど目に入らない。ただ空が暮れていく
高いフェンスのおかげで、余計なものがほとんど目に入らない。ただ空が暮れていく

期せずしてふらっと夕方に訪れたが、降りたそばから、すっかり心を揺さぶられてしまった。

NEXT PAGE静かな木造駅舎に、駅員さんの姿

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