&Travel

クリックディープ旅
連載をフォローする

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

旅行作家・下川裕治さんが、これまで訪れたアジア各地の街の、昔といまを紹介するシリーズの3回目。かつては各地の街の日常にあった「密」状態。現地の方から伝えられた変化は……。

本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと、相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

(写真:Scene01、02、04、05は阿部稔哉撮影、Scene07~09、11~14は中田浩資撮影)

クリックディープ旅で訪ねた街はいま3

クリックディープ旅で訪ねた街は、新型コロナウイルスのパンデミックのなか、いったいどうなっている? 

クリックディープ旅のフィールドは主に海外だった。2020年3月ごろから、新型コロナウイルスの感染拡大で、渡航することができなくなってしまった。

そこで現地の様子を、現地に暮らす人に送ってもらった。

1回目はバンコク、カンボジアのプノンペンとシェムリアップ、そしてバングラデシュのコックスバザールだった。2回目はホーチミンシティー、ソウル、ヤンゴン、マニラ。 今回の3回目は香港、上海、台湾といった中国語圏、そして沖縄。これまでの街とは少し違う光景が広がる街もある。

短編動画

(動画・中田浩資撮影)

上海の下町、台湾は台東の夜市や客家(ハッカ)の街……新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)を知らない頃の光景です。沖縄は2020年。新型コロナウイルスの感染は沖縄にも広がっていたが、いまのような厳しい状況になる前。沖縄の人たちは感染はまもなく下火と思っていた気がします。

クリックディープ旅で訪ねた街はいま 「旅のフォト物語」

Scene01

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

香港の僕らの定宿は、正面にど~んと見えるチョンキンマンション。一時よりは減ったが、このビルに数十軒のゲストハウス。いや100軒以上? エレベーターは難物だった。頻繁に体重オーバーの警告音が鳴る。すると、ひとりがエレベーター内のポールを握り、懸垂をして足を浮かせる。するとなぜか警告音が消え……。エレベーターはいつも密。2014年。

Scene02

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

香港では民主派による大規模な抗議行動と新型コロナウイルスの感染拡大が同時に進んでいった。いまは感染が収まる気配だが、中国は昨年、香港で香港国家安全維持法を施行した。制約が一気に増え、抗議活動の跡などは撮影ができなくなってしまった。写真のような行動(2014年)も、いまでは考えられない。

Scene03

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

香港在住の石井清史さんが、香港の男人街の写真を送ってくれた。時刻は夜の10時半ごろ。コロナ禍の前なら、いちばんにぎわっていた時間帯もこんなにひっそりとしてしまった。香港はほかのアジアに比べると、かなり厳しい入国制限をとっている。観光目的での渡航は事実上無理。香港ファンにはつらい日々がまだ続いている。

Scene04

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

戦後の沖縄の空気を残していた那覇の旧農連市場(2014年)。いろんな沖縄を見せてもらった。よく利用させてもらったのは、軽貨物と呼ぶ白タク。学生は通学にも使っていた。いまはありませんが。市場は早朝からにぎわっていました。2017年には移転。沖縄らしさがまたひとつ消えた寂しい移転でした。

Scene05

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

2014年の第一牧志公設市場かいわい。ここは市場本通り。那覇の人はもちろん、観光客も必ず訪ねる、そう、日本でいちばんにぎわう市場だったかも。沖縄を訪ねる観光客は年々増え続け、2019年には年間1000万人を突破。市場が密になるのもうなずけます。ところが2020年の観光客数は373万人。63%減。原因はもちろん新型コロナウイルス。その光景は次で。

Scene06

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

那覇在住の池田哲也さんに、沖縄のいまを撮ってもらった。場所はScene5で紹介した市場本通り。できるだけ同じ場所に立ってもらい、シャッターを押してもらった。寂しい公設市場かいわいです。沖縄は新型コロナウイルスの感染者が多く、緊急事態宣言期間は連続で4カ月にもなっている。多くの離島を抱えているため、医療体制にも限界がある。

Scene07

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

上海は、クリックディープ旅の中国の拠点。日本からの飛行機の便数が多く、運賃も安いからだ。ここは虹口区。上海の下町だが、戦前は日本人町が広がっていた。かつて日本人が住んでいた家も残っている。下町の長屋風の家々が続く密な街には、中国のなかの日本がぎっしりと詰まっている。2013年。

Scene08

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

中国滞在中の昼はだいたい麺。安い蘭州麺屋に入ることが多いが、上海なので蘇州麺。具の肉団子は獅子、つまりライオンの頭を模しているとか。上海の下町には、テーブルが三つか四つといった小さな店がぎっしりと連なっている。どこに入ってもはずれがないのが、中国のすごいところだといつも思う。2013年。

Scene09

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

2013年の上海の魯迅公園。かつては虹口公園と呼ばれていた。1932年、ここで上海天長節爆弾事件が起きる。日本軍の式典を狙ったテロだった。近くには西本願寺跡、内山書店跡などがある。いまの上海は、そんな時代があったことを知らない顔つき。公園では中年の女性たちが社交ダンスの練習中だった。

Scene10

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

上海在住の萩原晶子さんに、上海の公園の様子を撮ってもらった。ここは徐匯区の襄陽公園。ポップな音楽に合わせてダンス。「地書」(水で地面に書を書く)に集中するおじさん。コロナ禍前と変わらない風景に戻っていた。マスク着用は公共の交通機関や公共施設など。公園は大丈夫。

Scene11

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

台湾といったら夜市(2008年)。クリックディープ旅では台湾もよく訪ねた。夜になると必ずといっていいほど夜市に。このにぎわいのなかで台湾を味わっていた。みつけたらまず注文していたのは咖哩飯。カレーです。子供の頃に食べた懐かしいカレーが台湾にはあるのです。もちろんたくわんもついてきます。

Scene12

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

いまの台北の定宿はここ。台北駅の北側。ご休息もある安宿です。かつて台北駅の北側は安宿の宝庫だった。しかし1軒、また1軒とリニューアル。いま風のホテルに変身し、宿代も2~3倍に。残り少なくなった昔ながらの安宿がここ。この宿がなくなったらどうしよう。いまから不安です。2019年。

Scene13

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

にぎわう夜市は楽しいが欠点がひとつ。屋台中心でテーブルがない店が多く、ビールが飲みにくい。そういうときは熱炒(ルーチャオ)と呼ばれるこんな台湾風居酒屋へ。ビールは客が勝手に冷蔵庫からとり、後で精算。ビール会社のキャンペーンガール(中央)もビールをもってきてくれる。安いこともあって、毎夜、毎夜の密状態です。(2015年)

Scene14

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

コロナ禍の台湾のなかで浮き彫りになってきたのが、台湾人としてのアイデンティティーだといわれる。香港での一国二制度が形骸化してきたいま、台湾人意識が強くなってきている。その流れに乗る民進党。これは2012年の選挙。この頃はまだ中国寄りの国民党政権だった。

Scene15

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

台湾在住の林綾子さんに士林夜市の様子をみてもらった。Scene11で紹介しているのは、コロナ禍を知らない士林夜市。そしていまは……。台湾はうまく感染拡大を防いでいたが、今年の5月に急増。外食が禁止になった。以前から外国人に人気だった士林夜市。観光客はゼロ。そこに厳しい規制。これがあの士林夜市?という光景になってしまった。

【次号予告】クリックディープ旅の最終回。旅先で出合ったトラブルの数々を。

かつての活況は…… アジアの街を思う(3)

2019年に連載された台湾の秘境温泉の旅が本になりました。

台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)

温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。

REACTION

LIKE
COMMENT
0
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル

    *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら