料理家・冷水希三子の何食べたい?
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ふるふる、トロッ。出汁たっぷりの大きな茶わん蒸し

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は大きな器で作る、出汁(だし)たっぷりの茶わん蒸し。冷蔵庫にある食材で作れるので、とても手軽です。

―― 冷水先生、こんにちは。少しずつ涼しい日が増えて、一気に秋が近づいてきたような感じですね。

冷水 今年は夏から秋への変化がくっきりしているような気がしますね。

―― 「あれ、なんか空が高い」と気づく瞬間、大好きです。

冷水 秋はおいしい食材がどんどん出てくるので、楽しみですね。

―― 夏はあまり台所に立ちたくないな~という雰囲気が漂っていた読者のみなさんも、むくむくとお料理欲が湧いてきているみたいです。

冷水 それはよかった! 今回はどんなリクエストですか?

―― 夏の間、辛いものやビールに合う味が濃いめのおつまみなんかをたくさん食べたので、秋口は何かやさしい味の料理が食べたい……というようなリクエストが多かったです。

冷水 フル稼働していた胃腸を休める時期ですね(笑)。

―― あと、引き続き外食しづらい状況が続いているので、ちょっといつもとは違う料理にチャレンジして、おうちでお店気分を味わいたいというご意見も。

ふるふる、トロッ。出汁たっぷりの大きな茶わん蒸し
ささみの切り方はこんなふうに。あまり大きくカットすると、茶わん蒸しの繊細な食感を邪魔してしまうので、細く、程よい長さに

冷水 おなかにやさしくて、お店の味……。あ、じゃあ、茶わん蒸しはどうでしょう? 難しいイメージを持たれる方も多いみたいですが、すごく簡単なんですよ。

―― 茶わん蒸し、大好きです~! でも、たしかに家で作ったことはありません……。ぜひこの機会にマスターしたいです。

冷水 茶わん蒸しは野菜でも魚介でもお肉でも、冷蔵庫に半端に余っている食材を具に使えるので、すごく助かるお料理なんですよ。

―― え~、お店で食べる茶わん蒸しは百合根(ゆりね)とか銀杏(ぎんなん)とか普段使わない食材が入っていることが多いので、すごくハードルが高い料理だと思っていました。

冷水 それはお店だから~。だって見てください、今日の具材はえのきと鶏ささみですよ。

―― 庶民派(笑)!

冷水 じゃあまずは具材の下ごしらえから。えのきは半分の長さにカットして、さっと湯がきます。沸騰したお湯に入れて10秒くらいで大丈夫です。ザルにあげて水気を切り、そのまま粗熱を取ります。

―― くたっとしましたね。

冷水 茹でずに入れると蒸しづらいので。ささみはサイズ感に注意で、これも大きくカットし過ぎると主張が強くなり過ぎるので、マッチ棒より少し太いかな?くらいのサイズに切ってください。

ふるふる、トロッ。出汁たっぷりの大きな茶わん蒸し
調味料を混ぜた卵液はザルで濾(こ)して滑らかに。このひと手間で仕上がりに差が出ます

―― お肉はごろごろっと入っていた方がいいのかな?と思いがちですが、茶わん蒸しに関しては全体とのバランスを重視ですね。

冷水 はい、つるんっと食べたいので。次は卵液の準備です。ボウルに卵を溶いてほぐし、鰹(かつお)昆布出汁と薄口醤油(しょうゆ)、みりんを加えて混ぜます。

―― あの……。レシピ本などではさらっと「鰹昆布出汁」と書いてあるのですが、先生はこのお出汁、どんな風にして作っているんですか?

冷水 私は1ℓのお水に10cm角くらいの昆布を入れてひと晩つけておいて、翌日にそれを鍋に入れて超弱火で煮出します。沸騰したら火を止めて、そこに鰹節20gを入れて5分ほどおきます。沸騰させないのがポイントかな。それを濾せば、鰹昆布出汁の出来上がりです。

―― わ、結構手間がかかるんですね……。

冷水 出汁は料理の基本ですからねぇ。でも忙しい時は出汁パックを使ってもいいですよ。最近は無添加でおいしいものがあるので。

―― ありがとう、出汁パック~!!

冷水 さて卵液に戻りましょうね(笑)。調味料を加えた卵液はザルなどで濾します。混ざらずに残った白身などをこうして取り除くんです。

ふるふる、トロッ。出汁たっぷりの大きな茶わん蒸し
大きな器で作るときは、せいろや蒸し器に入るかどうか、事前にチェックを

―― ここもひと手間ですね。

冷水 茶わん蒸しは滑らかな舌触りが命ですから、ここは面倒臭がらずに。仕上がりが違ってきますからね。

―― はい!

冷水 あとは器にえのきとささみを入れて、そこに卵液を注げば準備OK。蒸気の上がった蒸し器に入れて蒸すだけです。

―― ちょ……、先生! 器がめちゃくちゃ大きいんですけど!?

冷水 ああ、今回は大きな器で作って、みんなでシェアして食べるスタイルにしてみました。大きい器で作ると火の入り方が緩やかになって、さらにトロッとした質感になるんです。

―― うわ~、なんだか夢の巨大プリンみたいな感じですね。おもてなし料理としてもすごく盛り上がりそうです。

冷水 大きくてフルフルしたものって、なぜか心躍りますよね(笑)。

―― 蒸し方で注意することはありますか?

冷水 最初は強火で5分くらい蒸して、表面が白っぽくなったら弱火にして25~30分くらい蒸してください。もしひとり分の器で作る場合は、最初の強火を1~2分にして、15〜20分蒸していただければちょうどいいと思います。

ふるふる、トロッ。出汁たっぷりの大きな茶わん蒸し
大きめの器で作ると、よりトロトロ、ふるふるに仕上がります。出汁がたっぷりで、すくうとおいしいスープが浮かび上がります

―― 「表面が白っぽくなったら」ということは、途中で蒸し器のふたを開けて確認していいということですか?

冷水 はい、開けてもらって大丈夫です。器の素材や厚さによっても火の入り方が違うので。

―― わかりました!

冷水 さて、そろそろ蒸し上がった頃ですね。蒸し上がると表面にうっすらと出汁のスープが浮いてくるので、それも目安にしてください。仕上げに、好みで青柚子(ゆず)の皮をすって振りかけてもおいしいですよ。

―― うわ~、青柚子がふわっと香って、なんだかワンランク上の茶わん蒸しって感じがします!

冷水 熱いうちに召し上がれ。

―― おおお、これは……お出汁の洪水です~! 茶わん蒸しって卵料理というイメージでしたが、お出汁を味わう料理なんですね。これなら頑張って、きちんと出汁を取ろうと思えます。

冷水 出汁が命ですからね〜。

―― 具が控えめかなと思ったのですが、ふるふるした食感を楽しむにはこれくらいがちょうどいいですね。具のサイズ感も絶妙です。ささみがしっとりしていて、すごくおいしいです。

冷水 茶わん蒸しはどんな食材もやさしく包み込んでくれる、包容力のある料理なんです。お出汁の効いた茶わん蒸しは、ごはんにのせて食べてもおいしいですよ。

―― 本当だ! ささみと卵で“親子丼”ですね!

冷水 新感覚の“親子丼”(笑)。ぜひ試してみてください。

大きな茶わん蒸し

材料(2~3人分)

  • 2個
  • 鰹昆布出汁
    360ml
  • 薄口醤油
    大さじ1
  • みりん
    小さじ1
  • えのき
    100g
  • 鶏ささみ
    1本
  • 少々
  • 小さじ1
  • えのきは半分の長さに切る。熱湯で10秒ほど湯がいてからザルにあげ、水気を切って粗熱を取る。
  • 鶏ささみはマッチ棒より太めに切って、塩と酒をもみ込んでおく。
  • ボウルに卵を溶きほぐし、鰹昆布出汁と薄口醤油、みりんを加えて混ぜる。その後ザルで濾す。
  • 器に1.のえのきと、2.の鶏ささみを入れ、3.の卵液を注ぐ。気泡があれば箸などで潰す。蒸気の上がっている蒸し器に入れて最初は強火で5分ほど。表面が白っぽくなっていたら弱火にして25~30分ほど蒸す。
  • 好みで青柚子の皮をすり下ろし、振る。

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