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大御所シェフのいつものごはん
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日本人好みではずれなし 大御所シェフが太鼓判を押すロシア料理店「ストロバヤ」

撮影=野呂美帆

卓越した技術・味覚・知識を持つ料理界のトップランナーが、行きつけの飲食店を明かす連載「大御所シェフのいつものごはん」。

今回紹介するのは、フレンチレストラン「GINZA kansei」の坂田幹靖シェフが通うロシア料理店「ストロバヤ」。「料理にはずれがないし、アットホームな雰囲気でとにかく落ち着く」と坂田シェフ。日本人好みのロシア料理が並ぶ名店です。

今回の大御所シェフ

日本人好みではずれなし 大御所シェフが太鼓判を押すロシア料理店「ストロバヤ」
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PROFILE
坂田幹靖

(さかた・みきやす) 1955年、宮城県生まれ。高校卒業後、地元のレストランを経て東京・御茶ノ水「山の上ホテル」に約10年勤務。この間、渡仏して本場での経験を積む。銀座「レザンドール」料理長をつとめたのち、90年青山に「KANSEI」オープン、2004年銀座に移転。早くから国産食材を積極的に活用し、生産者との交流を深めた功績で2011年度農林水産省「料理マスターズ」受賞。食材王国みやぎ大使、希望郷いわて文化大使、フランスチーズ鑑評騎士としても活躍 

町も店も味も全てアットホーム

東京・銀座7丁目で完全個室のレストラン「KANSEI」を営む坂田幹靖さんは、地産地消フレンチのパイオニアである。

日本人好みではずれなし 大御所シェフが太鼓判を押すロシア料理店「ストロバヤ」
フランス料理人歴46年の坂田幹靖さん。下町好きで、休日は浅草に来ることが多いそうだ(撮影=野呂美帆)

肉も魚も野菜も、シェフたちが外国産の高級品を競うように使ったバブルの時代、坂田さんの目は日本の素材に向いていた。全国の生産地を地道に訪ね歩き、すぐれた素材を探し出しては生産者との絆を結び、独創的なフランス料理を作り続けている。

いまも月ごとの季節のコース料理で国産食材のおいしさを発信し、なかでも岩手県花巻市「石黒農場」のほろほろ鳥、仙台牛、いわて短角牛など、みずからの出身地である東北の素材に熱い思いを向けている。

「ストロバヤ」は、坂田さんが通い続けて30年以上になるロシア料理のお店。脱サラして料理の世界に入ったオーナーシェフの秋山司郎さんが、妻の千恵子さんの生まれ育った浅草に開店したのは1978年だった。

左からオーナーシェフの秋山司郎さん、坂田さん、妻で接客担当の千恵子さん、2代目の幹匡さん
左からオーナーシェフの秋山司郎さん、坂田さん、妻で接客担当の千恵子さん、2代目の幹匡さん(撮影=野呂美帆)

現在はフランス料理店で修業を積んだ2代目の幹匡さんと司郎さんが二人三脚で料理を作り、千恵子さんが接客を担当。坂田さんいわく「街も店の雰囲気も味もすべてがアットホーム。来るたびになごんで、ゆっくり腰を落ち着けてしまう」そうだ。

店を開いてからも、司郎さんはもっと広く洋食の調理技術を知ろうと、フランス料理の講習会に参加するなど勉強を絶やさなかった。有名なフレンチのシェフたちと仲良くなり、そのひとりが坂田さんだった。

「フランス料理とロシア料理は共通点がたくさんある。むしろ現代のフレンチでは失われてしまったクラシックなやり方がここではきちんと守られているから、食べるとほっとするんです」と坂田さん。

余裕をもってテーブルが配置された1階のダイニング。2階には個室があり、3階でオーナー夫妻が暮らす一軒家レストラン
余裕をもってテーブルが配置された1階のダイニング。2階には個室があり、3階でオーナー夫妻が暮らす一軒家レストラン(撮影=野呂美帆)

ロシア料理といえば、最初に思い浮かぶのがピロシキだ。坂田さんも来るたび必ず注文する。ロシアでは焼きピロシキが多いそうだが、ストロバヤは揚げピロシキ。パン生地で具を包み、揚げたてを出してくれる。具はプレーンな味付けの牛挽(ひ)き肉。熱々をかむと、たっぷり詰まった具から肉汁がじゅわっとあふれ出て、もちもちした皮とのマリアージュが見事。

ピロシキは注文のたびに薄く伸ばしたパン生地で具を包む
ピロシキは注文のたびに薄く伸ばしたパン生地で具を包む(撮影=野呂美帆)
たっぷりの油で揚げたての熱々が供される
たっぷりの油で揚げたての熱々が供される(撮影=野呂美帆)

「かじったへこみにときどきケチャップとマスタードをつけ、味がえ」が坂田さんおすすめの食べ方だ。具はほかにカレー風味と牛しぐれ煮があり、カレー風味はサワークリームをつけると辛みがマイルドになって、牛肉のコクがより引き出される。牛しぐれ煮入りは、浅草らしいピロシキをと、2代目が創作した和風味である。

ピロシキは1人前2本で800円。ボルシチとサラダ、デザート、飲み物のついたピロシキランチもある
ピロシキは1人前2本で800円。ボルシチとサラダ、デザート、飲み物のついたピロシキランチもある(撮影=野呂美帆)

日本人好みの仕上げに 壺焼きとペリメニ 

ピロシキと並ぶロシア料理の定番はボルシチ。ビーツで鮮やかな深紅色に染まったスープで、ストロバヤでも人気メニューのひとつだが、坂田さんはキノコとカニ入りの壺(つぼ)焼きを頼むことが多い。

壺焼きはボルシチと並ぶロシアの代表的なスープ料理。耐熱性の器にスープを入れ、パン生地でふたをして密閉し、オーブンで焼く。寒い国らしく、舌を焼くほど熱々をフーフーいいながら食べる。

森のキノコとカニの壺焼き1200円。キノコは食感と香りの異なる4種類を組み合わせている
森のキノコとカニの壺焼き1200円。キノコは食感と香りの異なる4種類を組み合わせている(撮影=野呂美帆)
パンのふたはナイフで切るときれいに開くが、坂田さんはスプーンでたたいて破く派
パンのふたはナイフで切るときれいに開くが、坂田さんはスプーンでたたいて破く派(撮影=野呂美帆)
パン自体もおいしいので、余さず食べたい
パン自体もおいしいので、余さず食べたい(撮影=野呂美帆)

「焼きたての皮を破く瞬間が楽しい。閉じ込められていたおいしい香りが一気に出てきます。自家製のベシャメルソースを使ったクリームスープは、コクがしっかりしているから、パンをちぎりながら上にのせて食べるとおいしいですよ」と坂田さん。

同じパン生地を使っているのに、油で揚げるピロシキと、オーブンで焼く壺焼きとでは食感がまったく違ってくる。食べ方に悩む料理だが、ふたとはいってもパンは残さず食べるべきものだ。

ロシア料理のなかで、日本人がもっとも親しみやすいのは、ペリメニだろう。見た目も味も水餃子そっくりで、違うのはサワークリームをつけて食べるところ。詰める具は牛・羊・豚とさまざまだが、ストロバヤでは牛挽き肉と隠し味のニンニク、タマネギを練り合わせた具を手作りの皮で包んである。

ペリメニ1500円。ゆで湯には肉と皮の味が出ているので、食べ終えたあと酢醤油で調味してスープにして楽しむ人もいる
ペリメニ1500円。ゆで湯には肉と皮の味が出ているので、食べ終えたあと酢醤油で調味してスープにして楽しむ人もいる(撮影=野呂美帆)

ユニークなのは提供法。小鍋にゆで湯ごと盛りつけ、塩を敷いた皿にのせ、火をつけてパチパチ燃えている状態で出してくれる。赤い炎がとてもロマンチックだ。日本人好みの酢じょうゆを添えてあるのもうれしい。

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