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日本での販売はこれで終了 放っておけない二輪、ヤマハSR400

SRがきれいに見える角度(2007年型)

43年間作られてきた二輪車「ヤマハSR」。単気筒のロードバイクで、ほっそりしたスタイルと、クラシックな雰囲気でファンを獲得してきたロングセラーだ。

2021年3月15日に、ヤマハ発動機が「SR400ファイナルエディション」を発売したのが、直近の話題。これからの排ガス規制に適合しないため、日本での販売はこれで終了と発表。この時予約は6000台を超えたという。

21年発売のSR400 Final Edition
21年発売のSR400 Final Edition

二輪ファンでも存在を忘れがちな、いわば空気みたいなバイクだ。でも、いざなくなるとなると、放っておけない。中高年ライダーには、1978年登場なだけに、言ってみれば自分(の二輪)史と重なるプロダクトだから、というのもある。

SRは、スッとしていると表現したくなるような、スタイリッシュさが魅力。デザインを手がけたのは、二輪もオーディオも、ヤマハグループの製品と縁が深い日本の「GKデザイン」だ。

ヤマハの二輪では、過去に「VMAX」(1985年と2008年)や「YZF R1」(2014年)などを手がけている。ずっと時をさかのぼると、なつかしのスクランブラーふうロードバイク「DT-1」(1968年)もGKによるもの。

冷却用のフィンが切られた単気筒のシリンダーがちょっと窮屈そうに、燃料タンクとクランクケースの間に収まり、そこからクロームに輝く排気管が伸びて出る姿がよい。

燃料タンクのデザインの変遷を見ているのも楽しい(1985年の欧州仕様)
燃料タンクのデザインの変遷を見ているのも楽しい(1985年の欧州仕様)

二輪はやっぱり、エンジン周りが美しくないと、眼を奪われない。それだけは2021年になっても変わっていない。例えば、縦置きVツインエンジンを看板とするイタリアのモトグッツィ。

本当は縦置きVツインにこだわらず、もっと効率よく高回転まで回るエンジンを設計してみたいのではないかと思うけれど、ビジュアル上の看板となっているこのエンジンがなくなったら、モトグッツィでなくなってしまう、と考えるファンも少なからずいる。

SRでは、前後ホイールと燃料タンクとシートとがバランスよく収まっていて、現在の二輪界の中では貴重な古典的なスタイル。今の二輪はとにかく押し出しが強いデザインが幅を利かせている感があるものの、SRは“たおやか”な雰囲気。それゆえ、強い存在感なのだ。

SRは発売された当時から速くなかった。私が二輪に乗り始めたのは、1980年代の初めで、その時は高性能化の波が押し寄せてきていた。

ヤマハは2ストロークの「RZ」シリーズで人気を博していたし、全体としては、マルチ(多気筒エンジン)前夜である。それからレーサーレプリカ・ブームが続いた。あえてSRを選ぶのはもの好きと思われた。でも流れが変わったのは90年代後半。二輪は別に速くなくても楽しい、という価値観が出てきた。それが復権のきっかけだ。

面白いのは、誰の中にも、モーターサイクルの基本、という概念があるように思えるのだ。例えば、80年代初頭に、メーカーがSRにキャストホイールを履かせたことがあった。その時は、SRに乗っていなかった二輪好きまでが「それはないんじゃないの」と言った。

キャストホイールにディスクブレーキとSRがもっとも現代的だったころ(83年型)
キャストホイールにディスクブレーキとSRがもっとも現代的だったころ(83年型)

SRはワイヤホイール。いつまでもクラシックなスタイルを守ってほしい、と身勝手にも思っていた。一方、85年にディスクブレーキをドラムブレーキに戻した時は、大胆な改良(改悪?)に驚かされた。

85年にフロントブレーキがディスクからドラムへと変更
85年にフロントブレーキがディスクからドラムへと変更

オートモーティブなプロダクト、つまり、内燃機関などを搭載する自動車や自動二輪にとって、常に前へと進んでいくのがさだめのようなところがある。でもSRは市場がそれを許さなかった。結局、時代と合わなくなって姿を消すことになるのはことさら残念だ。惜しいと思うのは私だけではないだろう。

【スペックス】
車名 ヤマハSR400 Final Edition
全長×全幅×シート高 2085x750x790mm
399cc単気筒SOHC
最高出力 18kW@6500rpm
最大トルク 28Nm@3000Nm
価格 60万5000円

(写真=ヤマハ発動機提供)

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