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交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

長年続いた本連載は今回が最終回です。これまでの旅先で遭ったトラブルを振り返ります。下川裕治さん、阿部稔哉さん、中田浩資さんの数々の苦労をご覧ください。

本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと、相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

(写真:Scene01、02、05~07、13~15は中田浩資撮影、Scene03、04、08、09、10~12は阿部稔哉撮影)

クリックディープ旅はトラブル続き

クリックディープ旅はトラブルの宝庫のような旅だった。基本的にカメラマンとのふたり旅。カメラマンは阿部稔哉さん、中田浩資さんが交代で担当してくれた。それ以外、誰も同行しない旅だった。トラブルは自分たちで対処するしかなかった。訪ねるエリアは、言葉が通じないエリアが多く、とんでもないことがしばしば起きた。気候も厳しい一帯が多かった。室温40度を超える炎熱列車に耐え、マイナス20度の路上でやはり耐える。そんな旅のトラブルシーンを。

短編動画

(動画・阿部稔哉撮影)

タイからミャンマーのヤンゴンへ陸路旅。ところが峠越えのバスが……。いろいろ説明はいらないと思います。まずは動画を。この後、僕らはヤンゴンから南下してタイに再入国。そしてバンコクへ。そこで病院へいくと、僕の肋骨(ろっこつ)3本にひびが入っていました。

クリックディープ旅のトラブルシーン 「旅のフォト物語」

Scene01

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

インドとパキスタンの国境では、毎日、フラッグセレモニー。国境を挟んでインド人とパキスタン人が集まり、国名を叫ぶストレス発散型ナショナリズム合戦です。全国から人が集まり、会場にいた係員によると、両国合わせて毎日1万人以上が集まるとか。越境した僕らは、40度を超える気温と熱気に包まれ、ただぼうぜん……。セレモニーは1時間以上続きました。2018年。

Scene02

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

インドのガヤーからアムリツァルへ列車旅。無謀でした。この車内を見てもらえばわかるはずです。このなかに僕らはいます。ベッドの予約がとれないというのに、なぜか切符が手に入ってしまい、気がつくと乗車率200%の車内。それが約2日続きました。そこで味わうインドの列車の奥深さ。それはこういう列車に乗った人しかわかりません。2018年。

Scene03

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

インドの最長距離列車にも乗ってしまいました。アッサム州のディブラガルから最南端のカンニャクマリまで。4273キロ。4泊5日。乗りっぱなしです。自分のベッドが確保されていれば、なにも問題はないのですが、乗車率200%です。インドの人口圧がじりじりと僕が確保したベッドに迫り、そこでまたインド列車の奥深さを教えられました。2016年。

Scene04

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

動画でも紹介したバスの横転事故。その車内に僕らはいました。民政化時代に入り、好景気が続いたミャンマー。しかしインフラは追いつかず、ヤンゴンに向かう道も、1日ごとの一方通行。走り出したバスはなんとか早くヤンゴンに着こうと……。そのミャンマーで今年軍のクーデター。事故どころではないトラブルです。2014年。

Scene05

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

僕らは見てしまいました。中国の新疆ウイグル自治区のカシュガルで……。毎朝、街の人が駆り出され、戦時中の日本の竹やり訓練のような鉄パイプ訓練。誰に対しての訓練? 「ウイグル人のテロリストに立ち向かう」と中国共産党は声を荒らげる。そのなかの旅はなかなかきつい。中国のウイグル人への人権侵害は、いつも欧米との争点になる。2018年。

Scene06

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

中国では外国人が宿泊可能なホテルは決められている。そこが満室なら? 中国の青海省。花土溝という街でその憂き目に。街には外国人でもOKのホテルは2軒あった。しかしどちらも満室。野宿? しかし標高は2900メートル。戸外の寒さを耐えられる? ところがそのとき、フロントの女性から、「キャンセルがでました」。綱渡りの旅……。2016年。

Scene07

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

国境が休暇? 中国からキルギスへ、トルガルト峠を越えようとしていた。中国側のカシュガルに着き、車の手配に旅行会社に向かうと、「清明節で国境が4日間閉鎖」だという。中国の清明節は連休。しかしキルギスの休日ではないから、ある意味、中国側の勝手な休暇。カシュガルで停滞4日。僕らの旅では珍しくないことですが。2018年。

Scene08

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

ロシアのアストラハンから列車でアゼルバイジャンのバクーに抜けるつもりだった。僕らが乗った列車の前を走っていた貨物列車がゲリラによって爆破された。それでも僕らはなんとか国境まできた。ところが外国人は越境できないという。なぜ? ロシア人の役人との交渉は決裂。アストラハンに戻される切符を眺めてため息ひとつ。2010年。

Scene09

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

アストラハンに戻された僕らのトラブルはまだ続く。バクーへは飛行機で向かうしかなかったが、時刻を間違え、ロシアのビザが切れてしまった。こうなると普通のホテルは宿泊不可。この裏ホテルで息をひそめること3日。警察にみつからないようビザオフィスに駆け込む。なんとか罰金なしで出国までこぎつけた。ふーッ。2010年。

Scene10

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

ユーラシア大陸を横断する旅。ベオグラードからベネチアまでの列車の切符を買った。クロアチアのザグレブ駅で乗り換える切符だった。ところが、入線した列車に予約されたコンパートメントがない。??? コンパートメントはおろか、車両がなかった。どうも寝台車を1車両、連結し忘れたらしい。隣の車両に席は確保してくれたが……。2010年。

Scene11

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

クリックディープ旅はカナダへ。バンクーバーからトロントまで4泊5日の列車旅。しかし預けた荷物がバンクーバーの空港で出てこない。着替えもないまま、列車に乗った。荷物はみつかったが、どこで受けとる? 結局、5日後にトロントの空港受けとりに。写真は4466キロ、列車に揺られて到着したトロント駅。身軽? 荷物ありませんから。2017年。

Scene12

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

アメリカでもトラブル続き。旅費を節約しようと、メキシコに入国。翌朝、アメリカのエルパソに戻ろうとすると……僕のパスポートの記録に黄信号。問題はパキスタンへの渡航歴。別室送り。麻薬所持を疑われ、裸にされるメキシコ人の脇で取り調べ。同行の阿部カメラマンはパキスタン渡航歴がないのに、一緒に取り調べ。申し訳ありません。2018年。

Scene13

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

タイのノンカーイからメコン川を越え、ラオスのタナレーンまで短い列車旅。数人の乗客が待っていた。発車時刻をすぎても案内がない。駅員に聞くと、もう発車したという。そのときのタイ人駅員は頼りない笑み。乗車案内の放送を忘れてしまったのだ。しかし少しも慌てないタイ人乗客。これって日常茶飯事? 2012年。

Scene14

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

沖縄の離島。そこを走る路線バスすべてに乗ろうと宮古島へ。路線バスは、翡翠(ひすい)色の海に架かった伊良部大橋を渡り……。廃校が決まった伊良部高校にバスは寄るはずなのになぜか通過。「高校生が乗っていないときは寄らないさー」と運転手。当時、伊良部高校の生徒数は20人。この路線はどうしたら乗車できる? 頭を抱えた。2020年。

Scene15

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

台湾では秘湯をめざした。谷底にあるという栗松温泉。気楽に坂道をくだりはじめたのだが、やがて岩場に。ロープを頼りに、そろり、そろりとおりていく。険しい斜面をほうほうの体でくだり、谷底に着いたのだが。しかしせっかく露天風呂に入っても、この斜面をのぼらなくてはならない。体力がもつか。川原で悩み続けた。2019年。

【下川裕治さんからのメッセージ】
この連載は今回で終わります。長い間お読みいただきありがとうございました。今後もアジアの片隅を歩くような僕らの旅は続きます。その様子は10月15日からhttps://note.com/shimokawa_note/で。

交通事故、ロストバゲージ、国境閉鎖? 旅で遭遇したトラブル

2019年に連載された台湾の秘境温泉の旅が本になりました。

台湾の秘湯迷走旅(双葉文庫)

温泉大国の台湾。日本人観光客にも人気が高い有名温泉のほか、地元の人でにぎわうローカル温泉、河原の野渓温泉、冷泉など種類も豊か。さらに超のつくような秘湯が谷底や山奥に隠れるようにある。著者は、水先案内人である台湾在住の温泉通と、日本から同行したカメラマンとともに、車で超秘湯をめざすことに。ところがそれは想像以上に過酷な温泉旅だった……。台湾の秘湯を巡る男三人の迷走旅、果たしてどうなるのか。体験紀行とともに、温泉案内「台湾百迷湯」収録。

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