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小川フミオのモーターカー
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フィアットとフェラーリが作ったスポーツカー フィアット・ディーノ

右がピニンファリーナデザインのスパイダー

フィアットとフェラーリが手を組んで作りあげたスポーツカーをご存じですか。1966年の「フィアット・ディーノ・スパイダー」。フィアットといえば、現在、コンパクトな「500」で知られているものの、一時は首相が乗る大型セダンからスポーツカーまで、幅広い陣容だった。

フィアット・ディーノ・スパイダーは、フェラーリが開発したV型6気筒エンジンを、ピニンファリーナが手がけたボディーに搭載。豊かに盛り上がったフェンダーと、ぐっと低く構えたノーズに4灯式ヘッドランプの組み合わせは、今でも古くさく見えない。

盛り上がったフェンダーと低く構えたノーズなどスポーティー
盛り上がったフェンダーと低く構えたノーズなどスポーティー

実力はあっても小規模なフェラリーと、イタリア最大の企業であったフィアットとのコラボレーションというのがいい。そもそもは、フェラーリがグランプリマシンのために、新しいエンジンを欲しかったものの、フェラーリの生産規模では、レースで使うことを認められる最小ロットに達するのが難しかった。

そこでひと肌ぬいだのがフィアット。自分たちでも、フェラーリエンジンを載せられるクルマを作るべく企画して、出来上がったのが、66年のディーノ・スパイダーと、つづく67年に追加したディーノ・クーペだ。

本来フェラーリモデルが先に出てもいいはずであるものの、先述した通り、フィアットのディーノ・スパイダーが66年に出て、おなじ1987ccエンジンを搭載した「ディーノ206GT」が登場したのは67年だ。

実際は比較的コンパクトなのが好ましい
実際は比較的コンパクトなのが好ましい

ディーノは、少しフェラーリに詳しい読者の方ならご存じの通り、エンツォ・フェラーリが愛していたひとり息子のアルフレードの愛称。このV6エンジンは、ディーノがフォーミュラ2マシン用にと考えていたアイデアが元になっている。

当時のフェラーリといえば、4リッターとか4.4リッターが主流。F2のために当初は1.5リッターで設計された小さなエンジンを載せたスポーツカーを、フェラーリではフェラーリと呼ばず、ディーノと名づけていた。

オリジナルでフェラーリの文字を探しても、唯一、軽合金ロードホイールのリムにあるのみ、とか。それゆえ、ディーノはフェラーリと呼んではいけない、なんてことを言う人もいる。

ベルトーネデザインのクーペ
ベルトーネデザインのクーペ

ディーノ・フェラーリは、今でも街中で見かけるとハッとするほど美しいピニンファリーナ設計のボディーを持っていた。細いのだが、要所要所が力強くふくらんだ、まさにグラマラスとしか表現できない美だ。

フィアットがブロックなど大きな部品を製造して、フェラーリが組み立てを行う2リッターエンジン。ディーノ・フェラーリではこれを後車軸前搭載したミドシップだった。フィアットではフロントで、後輪駆動。

そもそも、フェラーリが鋼管フレームにアルミニウムの外皮をかぶせていたのに対して、フィアット版はモノコック。サスペンションシステムも別もの。さらに、フェラーリが純粋な2人乗りであったのに対して、フィアットはフロントエンジンの強みを生かして2プラス2としていた。

ワインぶどう畑がよく似合うクーペ
ワインぶどう畑がよく似合うクーペ

フェラーリもフィアットも、後にエンジン排気量を2.4リッターに拡大。フェラーリ版はこのときディーノ246GT(この3桁の数字は2.4リッターの6気筒を意味する)となった。果たしてトルクが増え、扱いやすくなっている。

ちなみに、ディーノ・クーペはカロッツェリア・ベルトーネがボディーを担当。ピニンファリーナのスパイダーより、ボディーの抑揚が抑えめになって、控えめなスタイリングだ。プロポーションも、ウィンドーグラフィックス(サイドウィンドーの輪郭)もバランスよく、今のマセラティのクーペを彷彿(ほうふつ)させるエレガンスがある。

フィアット版ディーノは72年まで作られた。といってもセールスはそれほど芳しくなかったようで残念。当時、私などは、イタリアの国力に深く感心していた。

なにしろ、日産自動車がブルーバード510型を出して、日本の自動車好きが“たいしたもんだ”と手を叩(たた)いていたのが67年。彼の地では、フェラーリエンジンの、この美しいクルマを作っていたのだから。

自動車メーカーの経営陣のなかには、同様に、スポーツカーをラインナップに持つことが、そのメーカーの底力の象徴である、というようなことを言う人がいる。トヨタ自動車も日産自動車もホンダもスバルもマツダも、スポーツカーを大事にしている。ディーノに感化されたかどうかはともかく、大変素晴らしいことだ。

【スペックス】
車名 フィアット・ディーノ2400スパイダー
全長×全幅×全高 4135x1710x1270mm
2418cc V型6気筒 後輪駆動
最高出力 180ps@6600rpm
最大トルク 22.0kgm@4600rpm

(写真=Stellantis提供)

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