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戊辰戦争のはじまりとその舞台 「青天を衝け」の城(8)

淀城。淀城跡公園になっている

日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載「城旅へようこそ」。今回は大河ドラマ「青天を衝(つ)け」ゆかりの城の第8回。大政奉還から戊辰(ぼしん)戦争の舞台になった城の数々です。

各藩がそれぞれの大義名分で参戦

大河ドラマ「青天を衝け」では、民部公子(みんぶこうし=徳川昭武)に従いフランスへ渡航した渋沢栄一が西洋の文化文明や社会制度に触れ、近代国家の常識に驚くようすが生き生きと描かれていた。とりわけ経済構造に衝撃を受け、当時の日本とはまったく異なる近代国家の常識と価値観を柔軟に受け入れるようすは印象的だった。

しかし栄一が目を輝かせる一方で、日本では江戸幕府が滅亡し、壮絶な戊辰戦争が勃発していた。戊辰戦争とは、徳川慶喜を擁する旧幕府軍と薩摩藩を中心とした新政府軍が戦った、1868(慶応4/明治元)年から1869(明治2)年の内戦のことだ。1868年の干支が戊辰であることから戊辰戦争と呼ばれる。

淀城の天守台の石垣
淀城の天守台の石垣

各藩がそれぞれの大義名分で関わり、多くの城が戦場となった。戦いの流れを追うとともに、ゆかりの城をいくつか紹介しよう。

大政奉還の舞台、京都の二条城

1866(慶応2)年、二条城(京都市)にほど近い若州屋敷(小浜藩邸)を居所としていた徳川慶喜は、二条城で将軍宣下(せんげ)を受け15代将軍となった。二条城は徳川家康が征夷大将軍の任命式典のために築き、将軍の京都での宿所とされた城だ。2代・秀忠、3代・家光も上洛し、二条城または伏見城(京都市)で将軍宣下を受けている。

1867(慶応3)年、慶喜は二条城で四侯会議(松平慶永〈よしなが〉、伊達宗城〈むねなり〉、山内豊信、島津久光)と長州処分と兵庫開港などをめぐり会見したが、話し合いはまとまらなかった。その後、慶喜が兵庫開港問題を強引に推し進めたことで、薩摩藩の西郷隆盛らが武力行使での政権交代を画策。これを受けて、慶喜は武力討伐の気運をかわすべく大政奉還に踏み切った。

二条城近くの若州屋敷(小浜藩邸)跡
二条城近くの若州屋敷(小浜藩邸)跡

慶喜は将軍に就任しても二条城へは入らず、若州屋敷を居所とし続けたようだ。慶喜が二条城で大政奉還の決意を表明したのは、二条城に住居を移した翌月の1867(慶応3)年10月12日のこと。翌日には在京の重役が二の丸御殿の大広間で二条城に集められ、その後、14日に朝廷へ大政奉還の申し出がなされ、15日に許可された。こうして、鎌倉幕府の開府以来約700年続いた武士による政治が終わり、江戸幕府は264年の歴史に幕を下ろした。

二条城に残る国宝の二の丸御殿は、家光が後水尾天皇の行幸の際に大改修した建物だ。最高峰の技術と美が投じられた、当時の徳川将軍家が威信をかけた御殿といっていいだろう。各部屋は幕府御用絵師であった狩野派による障壁画で彩られ、欄間彫刻や飾金具などの装飾も見事。特別名勝の二の丸庭園も、家光が御殿を大改修した際に家康時代の庭園に手を入れたとみられている。

戊辰戦争のはじまりとその舞台 「青天を衝け」の城(8)
二条城の二の丸御殿

大政奉還の後、王政復古の大号令により明治新政府が誕生。慶喜が辞官納地(内大臣を辞職し領地を朝廷に返上すること)を伝えられると二条城内にも緊張が高まったため、慶喜は二条城から大坂城(大阪市)へ退去した。

戊辰戦争の発端 鳥羽・伏見の戦い

しかし、江戸の薩摩藩邸への焼き討ち事件などでいきり立った旧幕府軍は、1868年1月1日に京都を目指してついに挙兵。1月3日に現在の京都市伏見区や南区を中心に激突した。この鳥羽・伏見の戦いで、1年半に及ぶ戊辰戦争の火ぶたが切って落とされた。

魚三楼の格子に残る、鳥羽・伏見の戦いの弾痕
京都の老舗料亭「魚三楼」(うおさぶろう)の格子に残る、鳥羽・伏見の戦いの弾痕

鳥羽・伏見の戦いの兵力は、新政府5000に対し旧幕府軍1万5000と旧幕府軍が圧倒的に優勢だった。ところがその兵力差を生かしきれず、旧幕府軍は敗北した。

NEXT PAGE敗れた旧幕府軍、味方のはずの淀城で

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