料理家・冷水希三子の何食べたい?
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サクサク&もっちりの新食感。秋鮭のベニエ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は旬の秋鮭(サケ)を使ったお料理。衣にドライイーストを加えて作る、サクサク、もっちり食感の揚げ物をご紹介します。

―― 冷水先生、こんにちは。涼しいなと思ったら、もう10月ですよ!

冷水 9月が過ぎると、なんだかカレンダーが早足になる気がしますね。

―― すでにもう年末が迫ってきている感じがして、焦ってしまいます……。

冷水 気持ちいい季節ですから、ゆったりと、かみ締めて過ごしたいですね。

―― 本当に。丁寧にお料理を作って、少し早い時間帯からワイン片手に……。そんな休日を過ごしたいです。

冷水 まあ、最高じゃないですか! おうち時間を楽しむには、おいしい料理がなくっちゃ。で、今回はどんなリクエストが来ていますか?

―― 食欲の秋ということで、旬の食材を使ったレシピを知りたいという声が多かったです。いも、栗、かぼちゃにきのこ、あとは秋鮭も。

冷水 秋はおいしいものがたくさんあって、迷ってしまいますね~。

―― 私が共感したのは「秋鮭を使った料理がマンネリ化しつつある」というご意見。ソテーしたり、ホイル蒸しにしたり、一般的な料理は毎年作っているので、何か新しい風を吹き込みたいんです!

衣液にはビールを使うとコクが出て、サクサクした食感に仕上がります。よく冷やしたものを使います
衣液にはビールを使うとコクが出て、サクサクした食感に仕上がります。よく冷やしたものを使います

冷水 なるほど。なじみのある食材だからこそ定番の調理法になってしまうということですね。じゃあ今日はちょっと異国の風を吹き込んで、ベニエなんてどうでしょうか?

―― ベニエですか……。え~と、どこの国のお料理ですか?

冷水 フランスです。「ベニエ」はフランス語で「衣揚げ」という意味なのですが、天ぷらともフライともフリットとも違う、独特の食感なんです。

―― へ~、そんな揚げ物があるんですね! 響きも素敵だし、ぜひ教えていただきたいです。

冷水 じゃあまずは衣液の準備から。ベニエのポイントは衣にドライイーストを使うことなんです。材料を混ぜた後に発酵させることで、サクサクしつつも、もっちりとした食感の衣に仕上がるんです。

―― 発酵ですか!? パンみたいですね(笑)。

冷水 発酵といっても30分~1時間程度置いておくだけなので、難しいことは何もありませんよ。まずはじめに薄力粉とドライイースト、塩をボウルに入れて、それをザルでふるいます。少し面倒ですが、このひと手間で衣がダマにならないので、ぜひやってください。

―― はい!

冷水 次にビールを少しずつ加えて混ぜ合わせます。一度に全部加えてしまうと衣液がうまく混ざらないので、くれぐれも少しずつ。

―― フリットには炭酸水を使いますが、今回はビールなんですね。

衣液が発酵すると表面がぷくぷくと盛り上がってきます。こうなったら発酵終わりのサインです
衣液が発酵すると表面がぷくぷくと盛り上がってきます。こうなったら発酵終わりのサインです

冷水 ビールを使うとコクが出るんです。とってもおいしいですよ。

―― 分量が200mlなので、残った分は飲めますね(笑)。

冷水 ぜひお気に入りのビールを使ってください。ビールを混ぜたら、あとは30分~1時間程度休ませてください。室温で大丈夫ですからね。夏場は30分で十分ですが、秋から冬にかけては1時間程度が目安です。

―― パン生地は膨らんでくるから発酵具合が分かりますが、液体の場合は何か「ちゃんと発酵しましたよ」と教えてくれるサインはあるんでしょうか?

冷水 はい、衣液の表面が泡立つような感じになってくるので、それが発酵OKのサインです。それを待っている間に鮭の下準備をしましょう。

―― わ~、秋鮭って身がしっかりしていて、本当に立派です!

冷水 今回は口当たりがいいように皮は取り除きます。3、4等分に切って塩をふり、少し置いて水分を出しましょう。さて、発酵の具合はどうでしょうか?

衣液をつける前に強力粉を薄くはたきます。なければ薄力粉でもいいですが、強力粉の方が軽やかな仕上がりになります
衣液をつける前に強力粉を薄くはたきます。なければ薄力粉でもいいですが、強力粉の方が軽やかな仕上がりになります

―― おお! 衣液の表面にぷくぷくと泡のようなものが出てきています!

冷水 いい感じですね。じゃあそこにざく切りにしたディルを加えて混ぜます。

―― ディルと鮭は鉄板の組み合わせですもんね! でも衣に混ぜるというのは初めてです。

冷水 サーモンフライにはディルを加えたタルタルソースを添えたりしますが、今日はソースはなしで、シンプルに柑橘(かんきつ)を搾って食べたいなと思います。ビールのコクとディルの香りが衣についているので、ソースなしでも十分なんです。

―― なんだか上品な揚げ物って感じですね、楽しみです。

冷水 じゃあ揚げていきましょうね。鮭から出た水分を拭いて、強力粉をはたき、衣液をつけて170度くらいの油で揚げます。

―― わ、油に入れると衣がぷくっと膨れますね。

冷水 衣が厚く見えますが、食べるとフリットよりも軽い感じなんですよ。

―― へ~。

冷水 表面がカリッとしたら出来上がりです。熱々にお好みの柑橘を搾って召し上がれ。

―― わわわ、本当だ、すごく軽い食感ですね! ディルがふわっと香った後に、衣の中からふわふわ、ジューシーな鮭が出てきて、思った通り、すごく上品な味です。

冷水 発酵させた衣の食感はどうですか?

―― サクッとした食感ですが、同時にもちもちした感じもあって、 これは新感覚です! ハマりそうです……。

揚げあがりはこんな感じ。衣がぷっくりと膨らみます。魚介類はすぐに火が通るので、衣がカリッとしたら大丈夫です
揚げあがりはこんな感じ。衣がぷっくりと膨らみます。魚介類はすぐに火が通るので、衣がカリッとしたら大丈夫です

冷水 そうなんです! その食感をぜひ楽しんでもらいたくて。

―― そしてワインが止まりませんね、これは……。

冷水 よく冷やした白ワインにぴったりです(笑)。

―― 衣液が少し余っていますが、鮭以外に何かほかの食材を使ってもいいでしょうか?

冷水 もちろんです。おすすめはマッシュルームを丸ごと。あとはカリフラワーやレンコン、魚介類ならホタテもおいしいです。鶏肉でもいいですよ。

―― ベニエ、なんという包容力……。

冷水 このコク深い衣がおいしく包み込んでくれるんです。

―― 衣の中で食材が蒸されるような感じで、すごくジューシーなのがいいですね。いろいろな食材で実験してみたいです!

冷水 ぜひお好みの秋の食材で作ってみてください。

鮭のベニエ

材料(2~3人分)

  • 生鮭
    2切れ
  • ディル
    1パック
  • 強力粉
    適量
  • 適量
  • 適量

A

  • 薄力粉
    120g
  • ドライイースト
    10g
  • 2g
  • ビール
    200ml
  • の薄力粉とドライイーストと塩をふるい合わせる。そこにビールを少しずつ加えて混ぜ合わせ、1時間(夏場は30分)ほど室温で発酵させる。
  • 1.の衣液の表面がぷくぷくしてきたらザク切りにしたディルを加えて混ぜる。
  • 生鮭は皮を取り、3、4等分に切って塩少々をまぶして15分くらいおく。生鮭の汁気を拭き、強力粉を薄くはたいて2.の生地にくぐらせ、170度くらいの油で揚げる。好みで柑橘を搾ってもおいしい。

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