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久保純子 LIFE in N.Y.
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多様性の街・NY。誰もが自分らしくいられる社会を

ニューヨーク在住5年目の、久保純子さん。新型コロナウイルスで世界がめまぐるしく変化する中での、ニューヨーク生活。家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。

NYの多種多様なイベント

「〇〇ウィーク(週間)」に「〇〇マンス(月間)」。ニューヨーク(NY)では年間を通して常にイベントを盛り上げる「イベント週間・月間」が設けられている。春と秋に開催される「ファッションウィーク」は有名だが、他にもチケットを1枚買うともう1枚が無料になる「ブロードウェーウィーク」や、ランチやディナーのコースを特別料金でお試しできる「レストランウィーク」、4月の「アースウィーク」には、地球の環境保護について考える催しや展示が市内の公園などで行われる。多種多様なイベントに多くのニューヨーカーや観光客が集う。

多様性の街・NY。誰もが自分らしくいられる社会を
昨年はオンラインで行われた「プライド」イベント。今年は久々の開催とあって、青空の下、多くの人が沿道に出てアクティビストへの声援を送っていた

中でも、NYでその存在意義を強く示しているのが6月の「プライドマンス」。性的マイノリティーの権利や文化を尊重する月間を指す。ここでいう「プライド(PRIDE)」には、LGBTQであることに“誇り”を持とう、多様性を認めよう、といった意味が含まれている。

今や全米のみならず、日本はもちろん世界各地で行われるプライドマーチ(パレード)は、年々盛り上がりを見せる。昨年はコロナ禍でオンラインのみの開催となったが、その前年の2019年はプライドマーチが始まって50年を記念して、大々的なパレードが行われた。世界各地からパレードに参加する面々が集まり、その数15万人。見物客も史上最多の400万人が集まり、NYのホテルや飛行機の価格が年末年始並みに高騰したそうだ。

多様性の街・NY。誰もが自分らしくいられる社会を
ニューヨーク大学をはじめとする学生の憩いの場「ワシントンスクエアパーク」も、「プライド」を祝う若者であふれかえっていた

「プライド」の発端

そもそもの「プライド」の始まりは、今から52年前のある出来事が発端となった。当時のアメリカでは、同性愛者であることを明らかにする行為(同性同士で手を繋いだり、踊ったり)は違法と見なされていた。NY市のバーでは、同性愛者が集うことも、お酒を提供することも違法で、酒免許が剝奪(はくだつ)されるのを恐れて、バーの軒先には「ゲイはお断り」の文字が掲げられていた。カミングアウトすれば、家族も、仕事も失う。常に迫害と嫌がらせと隣り合わせだった。

そんな家族からも仕事からも追われた多くの人々が安住を求めて移り住んだのが、マンハッタンの南西側に位置するグリニッジビレッジだ。ここで人気のゲイバー「ストーンウォール・イン」で事件は起きた。

1969年6月28日。警察官が「ゲイは風紀を乱す」とバーに予告なしに押し入って取り締まりを実施し、店内にいた同性愛者と激しいぶつかり合いとなった。店内にいた200人が警察官の不当な取り締まりに抵抗し、店の周りにも数百人が集まって押し問答に。抵抗運動は5日間続き、この「ストーンウォールの反乱」を機に、同性愛者のあいだで「自分たちの権利を主張するために声を上げよう」といった動きが全米に広がった。

翌1970年には、NYやサンフランシスコ、ロサンゼルスで初めての「同性愛者の人権」「不平等への抗議」を謳(うた)ったマーチが開催された。「プライド」の始まりだ。シンボルになっている虹色の旗には、様々な思いが込められている。

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LGBTQ運動の大きな転機になった「ストーンウォール・イン」は、今でもバーとして営業している。コロナ禍で一時は閑散としていたが、再びにぎわいが戻っている

自身もゲイであるアーティストのギルバート・ベーカーが、旗を作る際にそれぞれの色に意味(赤=命、黄色=太陽の光、オレンジ=癒やしなど)を持たせた。また、映画「オズの魔法使い」で主人公を演じ、バイセクシュアルでゲイ・アイコンの代表的存在だった俳優のジュディ・ガーランドが劇中で歌った「Over The Rainbow」からインスピレーションを得たという説もある。今や6月になると、街中に旗が掲げられ、店のショーウィンドーには、ブランドとプライドがコラボした虹色の商品が並ぶ。

今年のプライドマーチは2年ぶりの開催とあって、久々に人々が集い、グリニッジビレッジはじめ、市内のここかしこで開催されるイベントもにぎわいを見せた。私も毎年のように足を運んでいるが、今回参加したのは、LGBTQについての啓蒙(けいもう)を行うイベント。ドラァグパフォーマーのカップルによる企画で、LGBTQの出演者たちが踊ったり、歌ったり、はたまた当事者たちが自分のアイデンティティーを認識するまでの歩みを語ったり、華やかで、それでいてメッセージが込められた内容だった。

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「ストーンウォール・イン」と、その向かい側にある「クリストファー・パーク」は、LGBTQの権利擁護の発祥の地として「ナショナルモニュメント(国定文化遺産保護地域)」に指定されている
NEXT PAGE2人が「ドラァグ」を始めた理由

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