発酵デザイナーの食国探訪
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そもそも麴とはなんぞや? 発酵の原点に迫る(上)

発酵文化のスペシャリスト小倉ヒラクさんが、「食」を起点に国内外の文化や歴史を掘り下げる連載です。

今回は「麴(こうじ)」について詳しく解説します。いろいろな種類がある麴ですが、その正体はいったい何なのでしょうか。

穀物に発酵カビが生えたもの

皆さま、発酵してますか? 小倉ヒラクです。

これまで5回くらいかなりディープな醬(ひしお)のお話をしてきました。ちょっとマニアックになりすぎたきらいがあるので、今回は原点回帰。日本の発酵文化の基本の「き」である麴の話をしていきたいと思います。

麴は近年、甘酒や塩麴のもととなるものとして注目を集めています。

それ自体は食べられるものではないので、食材自体を手づくりする習慣のない人はもしかしたら手にとったことがないかもしれません。

そもそも麴とはなんぞや? 発酵の原点に迫る(上)
(筆者撮影)

こういう感じで、スーパーのはじっこで売られているモコモコした謎のフレーク。正体は、蒸したお米や麦に麴菌という、カビの一種が生えたもの。カビと言うと「えっ、ばい菌?」と思うかもしれませんが、カビはカビでも、麴菌は「人間に役立つカビ」なのです。

僕が大学で専門に学んだのが、このコウジカビ。もとは日本の田んぼにすみついていた、稲を腐らせるカビです。収穫前の田んぼを歩いていると、ごくまれに稲穂に青っぽいカビの塊ができていたりします。この類のカビ(アスペルギルス属)のなかで、人体に害を与える発がん性の毒をつくらない、かつ糖分やアミノ酸などをつくってくれる「人間によくなつくカビ」がコウジカビなのです。

このコウジカビは、ラテン語の学名を「アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)」と言います。稲(オリゼ)にいるアスペルギルス属のカビという意味ですね。

このカビ、構造は根っこ(胞子)と草(菌糸)の部分がある植物のような形をしているのですが、自力で光合成することはできず、他の生物に寄生して栄養を吸収しなければいけません。植物と動物の中間のような存在なのですね。

コウジカビの場合は、米をはじめ穀物に寄生します。米の表面に種(胞子)がくっつくと植物のように着床して根を生やし、そこから栄養を吸い上げて草(菌糸)を伸ばしていきます。そしてじゅうぶんに育つと、草の先っぽの部分から種(胞子)を飛ばし、その種がまた穀物につく……というループの生態で生きています。

そもそも麴とはなんぞや? 発酵の原点に迫る(上)
(筆者撮影)

ここまで説明したら、麴が何なのかわかるはずです。コウジカビが米に寄生し、根っこと草を伸ばした結果モコモコになったものなんですね。毒のカビがモコモコした時は、米に有害物質がたまっているのですが、コウジカビの場合は糖分やアミノ酸、ビタミンなどの栄養物質がたまっているのです。不思議ですねえ。

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