永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶
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(131) そして、この男性が始めたのは 永瀬正敏が撮ったマンハッタン

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回はニューヨークのマンハッタン。木陰にいたこの男性が、永瀬さんの目の前で始めたこととは。

(131) そして、この男性が始めたのは 永瀬正敏が撮ったマンハッタン
©Masatoshi Nagase

マンハッタンを急ぎ足で行き交う人々の波。
その中で一人だけ時間の流れが違う男性がいた。

木陰に入り、何をするでもなくその場にたたずんでいた。
僕はその男性になぜかひきつけられていた。

しばらくすると、男性はキャリーバッグを引いて、
目の前にある消火栓までやってきた。
そして、帽子を脱ぎ、消火栓から少しだけ漏れ出ている水をすくい、
おもむろに顔を洗いだした。

確かにその日は秋といえども、かなり暑い日だった。
ジャケットを脱ぎ、Tシャツ姿になって街中を歩いていく人たちも大勢いた。
しかし、いきなり道端で顔を洗いだす姿に、僕は驚きつつ、
なんともいえない感情がわき上がってきた。

彼はマイペースに、ゆっくりとゆっくりと顔を洗い続けた。
そして、帽子をかぶりなおし、しばし方向を確認して、その場を去っていった。

シャッターを押しながらこの男性のことをいろいろ考えていた。
「なぜ彼はこの場所に来たんだろう」
「この男性は、今まで何があったんだろう」

また僕の中で、勝手なストーリーが動き始めた。
正解を聞くこともなく、彼は自分のペースを保ちながら、
人混みに紛れて、消えていった。

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