篠原ともえ アイデアのありか
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悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験

世の中も少しずつですが落ち着きを取り戻し、朝晩はすっかり秋の心地よさを感じるようになりました。季節は芸術の秋。私は普段からインスピレーションを求めて美術館やギャラリー巡りをしているのですが、先日とても素敵な絵本を数々出版されているデザイナーで造本作家の駒形克己さんの展覧会「PIECES」にお邪魔してきました。

駒形さんはこれまで国内外様々な場所で、展覧会はもちろん、ワークショップも数多くおこなっていらっしゃいます。この展示期間中も実施されるということで、私にとって初のワークショップでしたが、ものづくりを通じてどんな体験ができるのか、学んでみたいと早速参加してきました。

悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験
2021年9月 Gallery 5610にて

“かけら”という意味もある「PIECES」と冠したこの作品展。ワークショップの内容は「一枚の紙を余すことなく使い切り作品をつくる」というコンセプトをもとに繰り広げられました。

駒形さんにその経緯をお尋ねすると、制作過程で素材(紙)の切れ端などゴミが出てしまうことが心に残り、では逆転の発想で、余りをひとかけらも出すことなく創作を試みたとき、どんなアイデアやかたちが生まれてくるだろうと始められたそうです。私自身、近年取り組んでいる洋服づくりも、四角いパターンで組み合わせ、生地をなるべく使い切るという目標を意識したものなので、その共通点に新たな学びがきっとあるはず!と期待を胸に臨みました。

悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験
はじめてのワークショップ

素材を使い切るというコンセプト以外創作は自由なのですが、自由ということほど悩むものはありません。最初の紙選びから、どの色にしようか悩んでしまったのですが、目指すかたちを想像しながら進めていきました。私のほかに10名ほど、ご年配の方からお子さんまで幅広い年齢層の方々が参加されており、その表現も十人十色。みなさん夢中で取り組まれている姿に、つい手を止め眺めてしまうほど、ギャラリー内にはクリエーティブな雰囲気が流れていました。「自分の作りたいものと向き合う」そんな豊かな時間を共有できたことも貴重な体験でした。

悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験
ワークショップ「かけら」

夢中で紙と向き合っていると「どうやったら人と違う作品ができるのだろう」と思いを巡らせている自分に気づきました。この気持ちは子供の頃の工作の時間や、デザイン学科に通っていた高校生の頃から変わらない私のこだわりなんだと、当時と同じ感覚になんだかほっこりしてしまいました。そんな思いで手を動かしていると、現れてきたのは……やっぱりお洋服でした。ただ、実際の服作りでも経験していますが、余りを出さずにシルエットを作り出すのは本当に難しい……。試行錯誤しながらあの手この手で挑みます。

悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験
余りを出さずに四角い紙を使い切る

さらに何か自分らしい遊び心を付け加えられないかと紙を眺めていると、切り出したかたちがなんだか動きたそうにしている感じを受けました。私がものづくりで心掛けている大事なことが一つあるのですが、それは「素材に耳を傾ける」ということ。手が動かず迷った時には、素材そのものに触れて「どうなりたいんだろう? どうしたらうれしいだろう?」と尋ねてみます。

少し不思議な感覚だと思うのですが、この気持ちを信じて素材と呼応しながら制作すると、最終的に自分自身もしっくりくるかたちや表現に結びつくことが多いのです。今回もそうした対話によって、飛び出す絵本のような動きを持った私らしい作品ができ上がりました。

悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験
タイトル「シカクで作った紙の洋服」

完成した作品にはタイトルをつけて、参加者みんなで発表しました。紙を細かくカットし組み合わせた壮大な作品から、季節を取り入れた情緒あふれる作品まで、どの作品も個性があり素晴らしく、発表のたびに歓声が上がっていました。

普段の制作はだいたい1人で黙々と進めることが多いのですが、こうして作る喜びをみなさんと分かち合いながら楽しむ時間って、大人になるとなかなかないですよね。自分には想像もつかないアイデアやひらめきを発見できる場でもあり、初体験のワークショップはとても刺激的なものとなりました。

悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験
オイルパステルの原画

展覧会では、紙片からかたちを創造し描いたという駒形さんの新作原画30点が一挙公開されていました。はじめてオイルパステルで色付けをされたそうなのですが、柔らかな筆致とどこか温かみを感じる色使いは、駒形さんの優しいお人柄があらわれていて、魅了される作品ばかりでした。紙片に着想を得て描かれたこのパステル画も、素材のひとかけらも無駄にしないというワークショップのテーマも、ある意味、私がものづくりで大切にしている「素材に耳を傾ける」ということに通じているように思いました。

そのことをお伝えすると、駒形さんは「作品が宿命を持っている時があるよ」と教えてくださいました。作品がどうなりたいか、またどうなるべきか、作るのは自分次第ではあるのですが、駒形さんのお言葉とともに、これからもその声に耳を傾けながら、制作ができればなと思いました。駒形さんの作品は公式サイトにて公開されておりますので、ご興味のある方はぜひご覧になってください。

悩んで挑んで楽しんで。「一枚の紙を余さず使う」ワークショップ初体験
デザイナー・造本作家の駒形克己さんと

こうして日々少しずついろんな体験をしながらインプットに余念のない私ですが、12月に自身のクリエーションを通じて「自分らしいSDGs」を考えてみませんか?という講座を、港区立エコプラザで開催いたします。駒形さんの制作姿勢や今回ワークショップに参加して学んだことなども反映できたらなと思っています。なかなか交流のむずかしい時期ではありますが、オンラインでの参加も受け付けておりますので、みなさんとクリエーティブなお時間をご一緒できますこと、楽しみにしています。

持続可能なファッションを考える vol. 3
~自分らしいSDGs 篠原ともえのクリエイションを通じて~

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