小川フミオのモーターカー
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スポーティな洗練されたハッチバック ホンダ・シティ(2代目)

フェンダーの張り出しを強調したデザイン

背髙ノッポから平べったいスタイルに。「ホンダ・シティ」が1986年にフルモデルチェンジして2代目になったときは、大きな変わりかたに驚かされた。81年に「シティシティ……」とのかけ声とともに登場した初代は、当時の言葉でいうとトールボーイスタイルがセリングポイントだったのに、コンセプトが180度ぐらい転換した印象だったから。

1カム16バルブで低燃費も訴求していた
1カム16バルブで低燃費も訴求していた

初代シティのディメンションをみると、全長×全幅×全高が3380×1570×1470ミリであるのに対して、2代目は3560×1620×1335ミリ。上面図でみるとひとまわり、いやふたまわりは大きくなったかんじで、一方、側面からみると、全高はぐっと下がった。ホンダはこれを「ロー&ワイドのクラウチング・フォルム」としていた。

初代シティを出したころのホンダからは、トヨタや日産に出来ないことをやろうとしていたような意気ごみを感じる。マーケットが(潜在的に)求めていても、営業畑の意見など、いろいろ制約があって実現されていなかったものを作ろう、ということだろうか。私たちがホンダに期待していたパイオニア精神の具現化のように思えて、おおいに評価できたのだ。

グリル一体型フロントバンパー採用
グリル一体型フロントバンパー採用

一方、2代目は洗練されたハッチバックだ。ひとことでハッチバックといっても、初代とのちがいは大きい。スポーティさを強く意識したのだろう。ノーズは低く、グリル一体型バンパーと、大きく張り出しを強調したフロントフェンダーの組み合わせも、強く印象に残った。

スポーティさが強調されたのには理由がある。2代目が発表された86年に、ホンダ(ウィリアムズ・ホンダ)はモータースポーツの最高峰フォーミュラ1のレースで、コンストラクターズ選手権、つまりメーカーとして1位を獲得しているのだ。

その2年後には、マクラーレン・ホンダとして、天才アイルトン・セナをドライバーに擁したこともあり、年間全16戦中15勝と、破竹のいきおいでF1レース界をばく進。そのホンダのありかたと、2代目シティのように、ロー&ワイド化するホンダ車はイメージ的に重なったのは事実だ。

初代シティのキュートなスタイルとクレバーなパッケージングには見るべきものも多かったとはいえ、低くかまえたスタイルの2代目からは、F1のホンダとのシンクロニシティが感じられた。マーケティング的にも上手だなあと思ったものだ。

デザイン用語でタンブルフォームというサイドウィンドウが強く寝かされたデザイン
デザイン用語でタンブルホームというサイドウィンドウが強く寝かされたデザイン

2代目シティがめざしたのは、従来はシビックが担当してきたコンパクトハッチバック市場だった。シビックが83年の「ワンダーシビック」で全長3810ミリに、87年の「グランドシビック」で同3965ミリへとさらに大型化したため、シティは初代よりすこし大きくなり、スタイリングコンセプトから独自性が薄まり、なるべく広範囲のターゲットを狙うべく“大衆化 ”したのである。

おもしろいのは、当時の多くのクルマ好きが要求したのは、高性能化であり、高級化であった。じわじわと株価が上がりはじめていた80年代のなかば、ホンダが「求められている」と感じたものは、ニッチ(すきま)商品でなく、なるべく多くのひとが「いいね」と言ってくれるクルマづくりだったのかもしれない。

ダッシュボードに物おきを設けたのは初代シビックいらいのデザイン
ダッシュボードに物おきを設けたのは初代シビックいらいのデザイン

惜しいのは、94年までの生産期間のなかで、2代目シティには、いわゆるホットなモデルが設定されなかったことだ。初代のシティターボシリーズにつながる痛快なモデルが欲しかった。

スポーティな洗練されたハッチバック ホンダ・シティ(2代目)
「GG」グレードの内装

80年代になると、いっきにモデルラインナップを多様化したホンダは、ホットハッチが欲しいひとむけにはシビックを、と考えていたのだろう。でも、全長3.5メートル程度のシティのサイズで、運転が楽しいクルマ。これこそ、待っていたけれど、手に入らなかったものだ。

【スペックス】
車名 ホンダ・シティ(2代目)
全長×全幅×全高 3560×1620×1335mm
1237cc 直列4気筒SOHC16バルブ 前輪駆動
最高出力 76ps@6500rpm
最大トルク 10.0kgm@4000rpm

(写真=ホンダ提供)

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