永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶
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(136) 偉大なる場所の思い出に 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回はニューヨークで撮った、永瀬さん思い出の地。変わり果てたその場所で永瀬さんが見つけたかつての名残とは……。

(136) 偉大なる場所の思い出に 永瀬正敏が撮ったニューヨーク
©Masatoshi Nagase

僕が初めてニューヨークに行ったのは1990年、今から30年以上前になる。
当時20代前半だった僕は、ニューヨークに行くなら、どうしても行きたい場所が一つだけあった。
それは「CBGB」という伝説のライブハウス。
音楽少年だった僕の憧れの地だった。

「CBGB」(Country, Blue Grass, and Blues)はマンハッタンのバワリーにあった。
ラモーンズやパティ・スミスなど、そうそうたるメンツが、playした場所。
初めて行った時は正直、こんなに小さかったんだ、と思うぐらい、こぢんまりとした外観だった。
でも入り口を入ると、ステージに向け細長い空間に、観客がすし詰め状態。
歴史を感じるその空間に「本当にこの地に来られたんだ」という興奮を抑えられなかった。

以降、「The Village Voice」というアメリカの新聞に掲載されるスケジュールを確認して、知り合いたちに何度もこの場所に連れて行ってもらった(連れて行ってもらわなければならない事情がいろいろあり……)。

久しぶりにニューヨークへ行った際、僕はCBGBを探した。
自分の記憶とはあまりにも変わっていたその場所に、ここにCBGBがあったのか?と初めは疑ったほどだ。
残念ながらこのライブハウスは2006年に閉館している。
その時は音楽系のショップに変わっていた。
残念な気持ちと当時の興奮した思いを胸に、その外観を見つめていると、
ふと、足元に何かが刻まれているのに気がついた。

「CBGB 73」

当時は気がつかなかったけれど、もしかしてヒリー・クリスタルが1973年に開館した際に刻んだものなのか?
それとも、閉館時に誰かがこの偉大なライブハウスの足跡を、この地に刻んだのか?
へばり付いたガムの跡、無造作に捨てられたタバコの吸い殻やマッチ、そして空になった酒瓶とともに、さまざまな思いを込めて自分なりの記念写真を撮った。

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