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スバル「WRX S4」プロトタイプ試乗 運転好きを楽しませる衝撃的な“進化” 

ハンドリングが向上した一方で快適性もあがった

クルマ好きに朗報があります。SUBARUが手がけるすばらしくスポーティなセダン「WRX S4」が2021年11月25日にフルモデルチェンジ。従来よりも、よりコーナリング性能が上がる一方で、静粛性や乗り心地が改善される。なんでそんなことがわかるかというと、一足先にプロトタイプを試乗するチャンスがあったからだ。

プロトタイプといっても、実際のところ、市販車と(ほぼ)同じ、とのことだ。なので、私が乗った場所はサーキットに限られてしまうものの、衝撃的といいたいぐらいの“進化”の一端はお伝えできると思う。

4本出しの排気管といいリアビューがかなりスポーティ
4本出しの排気管といいリアビューがかなりスポーティ

WRX S4については、知っている人はよーく知っている一方、知らない人はまったく知らない、というクルマかもしれない。ひとことでいうと、「レヴォーグ」のセダン版。でもそれは車型の話で、WRX S4のほうがうんとスポーティに走る。

そもそも、「インプレッサ」のスポーツ仕様として、14年に発表された「WRX」。「走りを極めれば安全になる」とするSUBARUでは、モータースポーツ部門であったSTI(スバルテクニカインターナショナル)が性能を上げた「STI」と、すこしマイルドな「S4」を設定した。

STI Sport R EXのメーター
STI Sport R EXのメーター

WRXの人気の背景は、実際にモータースポーツでの活躍に負う。SUBARUでは、難コースで知られるドイツのニュルブルクリンク24時間レースなどにも積極的で、それがWRXの“名声”を確立したといえる。18年にS4にもSTI仕様が設定。これがほんとうにおおざっぱな概要なのだ。

あたらしいWRX S4のエンジンは、従来の2リッターから2.4リッターへ排気量が拡大。202kW(275ps)の最高出力と375Nmの最大トルクという大パワーで、前後輪を駆動する。ただし、出力もトルクも数値は下がった。意外な事実。

11.6インチのモニターが「EX」仕様に標準装備
11.6インチのモニターが「EX」仕様に標準装備

パワーの数値は下がっても、しかし、新設計ターボチャージャーの採用などで、加速のレスポンスは向上しているというのが、SUBARUの説明だ。排気量拡大の理由(のひとつ?)は、十分な力が出るエンジンの常用回転域を少し下げられるため、燃費向上が見込めることだろう。実際、従来より約8パーセント、燃費はよくなっているという。

ひとことで魅力をいうと、運転好きの人なら誰でも楽しめるであろうところ。従来型より、変速機を含めてうんとダイレクト感が増している。

滑りにくい人工スウェード張りのスポーツシートはオプション
滑りにくい人工スウェード張りのスポーツシートはオプション

「このクルマに盛り込みたかった価値は、持っている、乗っている、楽しい、というものです。スポーツカーらしさを突き詰めつつ、幅広い人に乗ってもらえるクルマをめざしました」

私が開発コンセプトを尋ねると、試乗会の会場になった千葉のサーキットで、SUBARU技術本部・車両開発統括部の青山寛氏は、上記のように語ってくれた。いままでは、走り屋のクルマという印象が強かったモデルだけど、北米でファンが増えてきたため、間口を広げたんだそうだ。私はBMWを連想した。

リアシートも中央部分が人工スウェード張りなので乗車中の姿勢が安定
リアシートも中央部分が人工スウェード張りなので乗車中の姿勢が安定

通勤途上で楽しいクルマが欲しい、というのが、北米の多くのファンの望み、と青山氏は言う。なので、静粛性や乗り心地の快適性を上げることにも注力。しかし、前に触れたとおり、サーキットで従来モデルと乗り比べると、いやいやどうして、コーナリング能力も加速性能も、うんとよくなっている。びっくりするほどに。

カーブを曲がるのがどういいか。速度が高くてもステアリングホイールを切ったとおり、外側にふくらんだりせず、ドライブしている私の望んだとおりのラインでさっと走ってくれる。しかも、きついコーナーでアクセルペダルを多めに踏み込んでも、後輪の滑り出しはごく少ない。コントロール性抜群なのだ。

加えて、変速機の出来のよさ。SUBARUの開発者が「クルマを操ることを楽しめるように」とする変速機は、通常の歯車でなく、円錐状の滑車の上にベルトを滑らせるCVT(無段変速機)という基本は引き継ぐ。

ボディ剛性、車体の動きの設定、サスペンションシステム(設計と設定)、4輪駆動システム、エンジンの出力設定、タイヤ、ドライブモードセレクター、それに空力とあらゆる点において、徹底的に見直した結果が今回のWRX S4になりました、とはSUBARUの開発者の言。

あらたに「スバルスポーツトランスミッション」と名づけられた最新のCVTは、必要に応じてベルト位置を固定して(通常のATでいえばギアを選ぶのと同じ)、しっかり、そして従来よりすばやくエンジンの力を引き出す。運転する私の意思を敏感に察知してくれるかんじであるのがうれしい。しかも音ははるかに静かになった。

タイヤまわりのボディにつけられた黒い合成樹脂が「空力テクスチャ−」
タイヤまわりのボディにつけられた黒い合成樹脂が「空力テクスチャー」

おもしろいなあと私が感心したのは、「空力テクスチャー」なる材料の使用だ。外観をひと目見れば、新型「スバル・レガシィアウトバック」のような黒色の合成樹脂性のパーツ(クラディングという)がバンパーまわりからタイヤハウスを取り囲んでいるのに、すぐ気がつくはず。

レガシィアウトバックでは「クラディングはオフロード用スポーツシューズのイメージ」と担当デザイナーがかつて教えてくれた。ところが、WRX S4プロトタイプは、頑丈さを演出するデザイン上の方便でなく、すべて空力をよくする効果を発揮するんだそうだ。

ホイールハウスの中で乱流が起きて空力が悪化しないよう空気を吸い出すのも大事
ホイールハウスの中で乱流が起きて空力が悪化しないよう空気を吸い出すのも大事

理由は、表面につけられたパターン。空気の流れを整流する働きがある。基本的には、空気の流れがはやく剥離してしまうことを防ぎ、走りを安定させる。ボディ下面にもやはり装備。「あるとないとでは、走りの印象が大きく変わりますよ」。SUBARU社内で、デザインをとりまとめた源田哲朗氏はそう説明してくれた。

新型WRX S4には、おおきく二つのモデルが設定されるという。「GT-H」と、専用のダンパーや、スポーティなドライブモードを備えた「STI  Sport  R」だ。加えて、どちらのモデルにも、SUBARU自慢のカメラを使った安全運転支援システム「アイサイト」搭載仕様が設けられる。

「セラミックホワイト」がSTI Sport R、「ソーラーオレンジパール」がGT-H
「セラミックホワイト」がSTI Sport R、「ソーラーオレンジパール」がGT-H

乗り比べると、「STI  Sport R」のほうがよりシャキッとした走りを味わわせてくれる。でも「GT-H」でも十分だと私は思った。ただし、市街地で乗っていないので、この評価は中途半端であることはご理解ください。

価格は、「GT-H」が400.4万円(アイサイト搭載の「GT-H EX」は438.9万円)、「STI Sport R」が438.9万円(同「STI Sport R EX」は477.4万円)。

【スペックス】
車名 SUBARU WRX S4 STI SPORT R
全長×全幅×全高 4670×1825×1465mm
2387cc水平対向4気筒 4輪駆動
最高出力 202kW@5600rpm
最大トルク 375Nm@2000〜4800rpm
価格 438.9万円

写真= SUBARU提供

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