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「チャレンジして、たとえ力尽きても何かにつながっている」。生物多様性の視点で見る経営とは

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坂ノ途中 代表取締役 小野 邦彦さん

環境にやさしい野菜づくりを広める活動が、京都から始まっています。一つ一つ違った「表情」をもつ野菜を届け、農業を始める人たちをサポートしている「坂ノ途中」。2009年に会社を立ち上げた小野邦彦さんに、2回にわたってお話をうかがいます。

前半では、一つ一つ個性がある野菜の魅力と、環境への負担の小さい農業への取り組みについて語っていただきました。後半では、小野さんが農業に興味をもった原点について紹介します。

大学生の頃バックパッカーとして世界中を旅していた小野さんは、様々な人と風景に出会います。いつも心動かされたのは、循環があらわになっている光景でした。チベットの標高4千メートルほどの高原では、ヤクが草を食べ、フンを燃料として使い、ヤクのミルクを温めていました。

「何がどこに由来しているかのつながりが見えて、すごく美しいなと思ったんです」

同時に、「現代の社会システムには無理がある」という思いも頭をもたげました。

「チャレンジして、たとえ力尽きても何かにつながっている」。生物多様性の視点で見る経営とは

旅を通して様々な人と出会い、気づけば今まで当たり前だと思っていた価値観に縛られずに物事を考えるようになっていました。長い移動時間で自分の過去を振り返るようにもなり、忘れかけていた幼い頃の気持ちを思い出します。

「ちっちゃい頃、『なんで人間はこんなに自然環境やほかの生き物に迷惑をかけないと生きていけないんだろう』という思いがありました」

食べることは、動物や植物の命を奪うことです。その気持ちから「もうご飯は食べない」と口にする幼稚園児だった小野さんも、周りの「普通」に合わせていくうちに、その思いも次第に薄れてしまっていました。

「チャレンジして、たとえ力尽きても何かにつながっている」。生物多様性の視点で見る経営とは

旅を通して幼い頃を思い出し、「自分が本当にやりたいこと」を考えるようになりました。

「人と自然の関わり方を問い直したり、ちょっとよくしたりすることに、どうしたって興味があるんやなと気づきました。飽き症な自分だけど、本当に興味があるテーマだったらずっと続けられるんじゃないか、と思えました」

農業は「人と自然の結び目にある」と小野さん。環境への負担の小さい社会を目指すために、結び目である農業の課題に取り組もうと決めました。

生態系を大切にして、農薬や化学肥料、化石燃料など外から投入する資材へ依存しない農業はどうやったら広まるのか――。幼少期の記憶と世界を旅した経験が、やがて坂ノ途中の指針になる思いを形作っていきました。

大学を卒業後、起業の準備として外資系の金融機関に2年ほど勤めました。そして2009年、小野さんの思いに共感した高校時代の同級生ら2人と、坂ノ途中を立ち上げます。

「チャレンジして、たとえ力尽きても何かにつながっている」。生物多様性の視点で見る経営とは

人との関わりに「生物多様性目線」を

畑や野菜と日々向き合うことで、わかったことがあります。

「生き物が生まれて死に、他の生き物に分解されるという連鎖ってほんとおもしろい。ある一面から見ると、報われないことがめちゃくちゃ多い。例えばマメ科の植物が土壌を肥沃(ひよく)にする。そうするとほかの植物の種が繁栄していって、自分の種は繁栄できなかったりする。こんなふうに、それぞれの種の特性が利他的に働いているとしか思えない場面がけっこうある。ましてや、ひとつひとつの個体なんて報われないことばかりです。そんな生き物たちを見ていると、自分が何かにチャレンジして力尽きたとしても、それはそれでいいじゃないか、ひょっとしたら何かにつながるかもしれないしって思えるんです」

畑の学びは組織作りにも生かされています。

「何かにつながっているかもしれないというのは、組織もそうですよね。わかりやすく活躍する人もいれば、表向きにはなにをしているのかわからない人もいる。自分では気づけなかったり、短期的には見えてこない相互作用があるから、わかりやすい部分だけで評価するのは違うなぁと思います」

「それに、いろんな人がいる方が息しやすいんですよね。例えば畑でも、多様な生物がいると、環境としてタフになる。種類だけでなく、数も多くて生物密度が高いと、回復力も高まります。それは人間社会も同じ。いろんな人がたくさんいて、許容しあう方がいい」

「チャレンジして、たとえ力尽きても何かにつながっている」。生物多様性の視点で見る経営とは
野菜などを販売する「坂ノ途中soil」

約300軒の提携農家で育てられた坂ノ途中の個性のある野菜。かぼちゃだけでも約10種類あるバラエティーの豊かさに加え、育てる人や畑、季節によっても変化が生まれる「ブレのある」野菜の魅力は、前半の記事で語った通り。野菜の姿や味わいの変化から、季節の移り変わりや作り手の思いを小野さんは日々感じています。

加えてもう一つ、ブレのある野菜から学んだことがあります。

「人も許容し合う方がいいといきなり言われても、啓蒙(けいもう)主義的で受け入れにくい。まずは野菜にブレがあることを受け入れることが、人間関係に寛容な社会をつくっていくためのトレーニングになるんじゃないかと思っています」

そう話す小野さんも、時にはスタッフと意見が合わないことに、いらだってしまうこともあります。そんなときは、ビジネス目線から「生物多様性目線」に切り替えるんだそうです。

「ビジネス目線で見ているときは、理解できないことや、会話が成り立たないことがフラストレーションになります。でも生物多様性目線でみると、何を言っているのかわからないことをおもしろさと受け取れます。坂ノ途中はスタートして13年目。周りの経営者仲間を通じて、経営に力尽きるようなケースを見聞きすることがあります。ビジネス目線以外で自分の組織や事業を見られた方が、長期的にはうまくいきやすいのかな、とも思います」

「チャレンジして、たとえ力尽きても何かにつながっている」。生物多様性の視点で見る経営とは

ブレを許容する考え方や環境負荷の小さな農業を広めるために、「解釈して説明することも自分たちの仕事」と小野さんは話します。坂ノ途中のホームページでは、取り扱い基準などの形式的になりがちな説明も「なぜその考え方に至ったか」まで小野さんたちが語りかけるような文章でつづり、読むと対話しているような気持ちにさせてくれます。

「100年先もつづく、農業を。」というビジョンには、坂ノ途中が掲げる農業を広げなければならない危機感が込められていました。

「せめて100年続くように、という意味合いを込めています。自然環境の時間軸は人と全然違って、数百年、数千年とすごく長いんです。その時間軸で農業や栽培環境も変化してきたけれど、このまま環境が損なわれていけばあと100年ももたないかもしれない。100年は想像ができて自分たちの努力が及ぶ範囲であるとも感じています」

野菜セットの宅配や八百屋の運営、海外コーヒーの販売などの取り組みは違っても、目指す先は同じ。未来へ向けて歩み続けています。

「チャレンジして、たとえ力尽きても何かにつながっている」。生物多様性の視点で見る経営とは
PROFILE
小野邦彦

坂ノ途中 代表取締役。1983年奈良県生まれ。京都大学総合人間学部卒。外資系金融機関での修行期間を経て、2009年、株式会社坂ノ途中を設立。「100年先もつづく、農業を」というメッセージを掲げ、農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売を行っている。少量不安定な生産でも品質が高ければ適正な価格で販売できる仕組みを構築することで、環境負荷の小さい農業を実践する農業者の増加を目指す。東南アジアの山間地域で高品質なコーヒーを栽培することで森林保全と山間地での所得確保の両立を目指す「海ノ向こうコーヒー」も展開。

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