国境なき衣食住
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紛争地での休日の過ごし方 「完全に休む」ことの意味

スリランカのヌワラエリヤで紅茶畑でティータイムを楽しむ白川さん© MSF

心に残るスリランカでの思い出

さて、実は私にも心に残る大変素敵な長期休暇の思い出がある。2010年、初めてMSFで派遣されたスリランカでの話だ。

MSFの長期休暇は、活動国のセキュリティによっては「国外で」過ごさなくてはならないこともある。スタッフの安全を完全に守るためにはしかたないだろう。この時のスリランカは、内戦が終結し、国内全体の治安も落ち着いていたため、国内での休暇が許可された。

紛争地での休日の過ごし方 「完全に休む」ことの意味
2010年に白川さんがスリランカに派遣された際の宿舎© MSF

とはいえ2010年当時、私が派遣された北部半島は高度警戒地域として政府の監視下にあり、その地域への人と物資の出入りは非常に厳しく管理されていた。高度警戒地域から本土に通じるエレファントパスと呼ばれる道路があり、そこを通るには通行許可証が必要だった。

それがなかなか降りず、3度目のトライで手にしたのが11月後半、予定よりも1週間ほど出発が遅れてしまった。その間、ホテルの取り直しなどに翻弄されてしまったが、日本では起きえない移動の許可や制限など、こんな世界もあるのか、と自分の常識外の現実を改めて知った。

エレファントパスを抜けると、そこは雪国、ではなく目に飛び込んできたのは自由だった。北部半島では武装した政府軍の見張りや監視が日常の光景で、戦争の生々しい傷跡は、風景にもそこに住む人々にも残っていたが、エレファントパスを超えると、すでに戦争の姿が跡形もなく消えていた。

スリランカは涙の形をした島国だが、涙のてっぺんの高度警戒地域からエレファントパスを通りながら下っていき、バブニアという場所までMSFのドライバーに連れてきてもらった。バブニアから先は電車、バス、バイクタクシーなどを使い、移動の自由を満喫しながら少しずつ南下していった。

仏教にまつわる史跡をめぐる旅

実は今回、1週間のホリデーがもらえると知り、スリランカの仏教の世界を巡りたいと前々から計画していた。特に仏教に精通しているわけではないが、仏教にまつわる世界遺産にとても興味があった。

紛争地での休日の過ごし方 「完全に休む」ことの意味
スリランカ・アヌラダプーラのストゥーパ© MSF

まずは、多くの仏教の遺跡が残る仏教の聖地、アヌラダプーラに向かい巨大なストゥーパと呼ばれる半球状の仏塔をたくさん拝んだ。活動地の北部はヒンドゥー教のお寺がたくさんあり、カラフルでそれもまたとても美しいものがあったが、仏教の世界もやはり美しく、ストゥーパを拝む僧侶たちまでもが神聖な画になっていた。

他には、ダンブッラの黄金寺院と呼ばれる石窟寺院にも足を運び、岩窟内に広がる壁画群の美しさには息をのみ、立ち去るのが惜しくて長いことその空間に立ちどまっていた記憶がある。

紛争地での休日の過ごし方 「完全に休む」ことの意味
スリランカ・ダンブッラの黄金寺院と呼ばれる石窟寺院© MSF
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