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佐賀城に残る「佐賀の乱」の爪痕 「青天を衝け」の城(12)

江戸時代から残る、佐賀城鯱(しゃち)の門

日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載「城旅へようこそ」。今回は大河ドラマ「青天を衝(つ)け」ゆかりの城の第12回。佐賀藩主・鍋島氏の居城だった佐賀城です。明治に入って不平士族が起こした「佐賀の乱」に巻き込まれた痕が、いまも残ります。

【動画】佐賀城を訪ねて

戦国大名・龍造寺氏の村中城を拡張

佐賀城は、佐賀藩主・鍋島氏11代の城だ。龍造寺隆信の家臣だった鍋島直茂とその子で初代佐賀藩主の鍋島勝茂が、龍造寺氏の居城だった村中城を拡張。1608(慶長13)年から、勝茂が本格的に佐賀城を築いて居城とした。

佐賀城といえば、1874(明治7)年の佐賀の乱(佐賀戦争)を連想する人が多いかもしれない。佐賀の乱とは、明治新政府に反発する元武士「不平士族」と明治政府が武力で衝突した事件のこと。大河ドラマ「青天を衝け」でも描かれていたように、明治新政府が発足したもののその方針はなかなか定まらず、1871(明治4)年に廃藩置県を行った後も新政府の改革に反発する士族は多かった。

1873(明治6)年、征韓論をめぐり西郷隆盛や板垣退助らが明治政府を去った「明治六年の政変」をきっかけに、不平士族たちも官職を去り全国へ離散。その後、各地で不平士族による反乱が頻発した。最初の大規模な不平士族の反乱が、佐賀の乱だった。

本丸南西隅櫓台の上から見る本丸
本丸南西隅櫓(やぐら)台の上から見る本丸

鯱の門に残る「佐賀の乱」の爪痕

佐賀城散策のメインゲートとなっている「鯱(しゃち)の門」は、度々の火災や佐賀の乱でも焼け落ちなかった貴重な現存建造物だ。よく見ると、門扉に佐賀の乱の爪痕が残る。まるで虫が食ったように、無数の弾痕が残っているのだ。厚みのある門扉を貫通する弾痕が、激しい銃撃戦のようすを物語る。

鯱の門の扉には銃痕が残る
鯱の門の扉には弾痕が残る


江戸時代初期の「佐嘉小城内絵図(さがしょうじょうないえず)」や江戸時代中期頃の「御城分間絵図(おしろぶんげんえず)」を見ると、佐賀城はほぼ正方形をしている。村中城を拡張する形で、南東側に新たに本丸と二の丸を配置。現在、鍋島直正公像が建ち、本丸御殿(佐賀城本丸歴史館)が復元されている一帯が本丸跡だ。

鍋島直正公像
鍋島直正公像

往時は水堀がぐるり 水利施設も発掘

かつて、本丸と二の丸は水堀がめぐらされ独立していた。発掘調査から、本丸の北・西・東側の一部は石垣、東側南半分と南側は土塁で囲まれていたことがわかっている。西側の土塁下部に積まれた2〜3段の石垣が100メートルほど確認されており、胴木を据えた基礎構造も判明。かつては石垣に沿うように水堀が設けられ、本丸北西隅の天守台も水堀に突き出すように建っていた。ただし水堀と石垣の間には幅約8~10メートルの帯曲輪(くるわ)が設けられ、一部では通路に敷かれた砂利も確認されている。南側は築城当初はすべて土塁だったようだが、水堀に接する場所のみ石積(石搦)で強化されたという。

本丸西側に展示されている石製の樋管(ひかん)とそれに続く赤石製の水路は、本丸内に水を引き込むためのものと考えられる施設。石垣を貫通している木樋ともども、上水または下水施設だったようだ。板を組み合わせた木樋はV字型で、不等沈下を防ぐ横木が下に設けられていた。石組みの井樋の下にも胴木が敷かれていたことがわかっている。曲輪を囲む石垣の下部を貫通する樋管は珍しく、貴重な事例といえそうだ。

本丸西側に残る、石製樋管と赤石積水路
本丸西側に残る、石製樋管と赤石積水路

本丸・二の丸と内堀を隔てて西側、現在佐賀県立美術館が建つ一帯には三の丸や西の丸があり、北側の佐賀県庁や市村記念体育館などがあるあたりまで、藩の公的な施設や屋敷地が広がっていた。北西部の佐賀西高校が建つあたりが村中城跡だったようで、龍造寺家系統の重臣が引き継いだ武雄(たけお)鍋島家や諫早(いさはや)家などの屋敷が建ち並んでいた。

それらの曲輪は、幅70〜80メートル前後もある広大な水堀で囲まれていた。東辺の水堀は埋め立てられてしまったが、それ以外の三辺はよく残り、往時をしのばせている。「御城分間絵図」によれば、北御門、西御門、東御門、裏御門の四つの門が城内への出入口となっていたようだ。

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