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「西の果て」はきっと文化の風上 ポルトガル「発祥の地」ポルトを巡る

サン・ベント駅。ここからポルトガル最北東部ミーニョ地方への電車が出発する

ドウロ川の北岸は「ポルト歴史地区」として街全体が世界遺産に登録されている。石畳が続く坂道に味わいのある建物が並んでいる。

「世界一美しい駅」にも選ばれたサン・ベント駅。観光客が比較的少ない早朝がおすすめ
「世界一美しい駅」にも選ばれたサン・ベント駅。観光客が比較的少ない早朝がおすすめ

サン・ベント駅はデルフトタイルのアズレージョが見事だ。描かれているのはポルトの歴史的な出来事で、制作されたのは1930年と比較的近年。同じ青一色のタイルでも、17世紀に描かれたデルフト技法は釉薬(ゆうやく)にスズが使用されており、水墨画のようなにじみが特徴だという。それを聞いてから青一色のアズレージョを見つけたらよく見てみるようにしたけれど、正直よく分からない。見極められるようになったら、ちょっとした目利きだ。

大航海時代の幕開けとなったアフリカ大陸北部のセウタ征服を描いたもの。中央の人物はエンリケ航海王子
大航海時代の幕開けとなったアフリカ大陸北部のセウタ征服を描いたもの。中央の人物はエンリケ航海王子

「世界で最も美しい書店10」に選ばれたレロ書店

取材ということで開店前に撮影させてもらった貴重な一枚
取材ということで開店前に撮影させてもらった貴重な一枚

開店30分前の朝9時。雨模様にもかかわらずすでに長蛇の列が続く本屋さんがある。その名は「レロ書店」。1869年に創業し、現在の場所に移転したのは1906年。2008年にイギリスの新聞ガーディアン紙に「世界で最も美しい書店10」に選ばれた老舗の書店だが、「ハリー・ポッター」の著者で知られるJ・K・ローリングが、ポルトで英語教師として暮らしていた時代に、ここで物語の世界観構築に着想を得たといわれていたが、2020年5月に自身のTwitterで否定している。

目を引くのは中央に配された有機的な曲線が美しい階段。アールヌーボー様式で「天国への階段」と呼ばれ、木製のようなたたずまいだがモルタル製だ。そのおかげで強度を保ち“不可能を可能にする”ような独特の世界観を作り上げている。入店には5ユーロの入場料が必要だが、本を買えばその分割り引きしてくれる。
店内にはポルト関連の本や画集や図鑑など、選書も工夫しているようだ。ハリー・ポッターも全巻そろっていた。

ハリー・ポッターの本が展示してあった
ハリー・ポッターの本が展示してあった

1分で完食必至! ローカルのファストフードサンド

ポルトガルの主食はパンだがお米も食し、海鮮はタラやアジ、それにタコだって食べる。味付けはだいたいシンプルで、オリーブオイルと塩、それに山盛りのパクチーがのっていることが多い。とにかく日本人ならなじみのある口当たりで、ポルトガル料理が飽きる人はほとんどいないのではないだろうか。

ポルトガル料理と言えば、1000のアレンジがあるという干しタラ(バカリャウ)料理や、タコのリゾット、子豚の丸焼きやシンプルなポテトスープ(カルド・フェルデ)など枚挙にいとまがないが、まずはこのB級グルメを紹介したい。

その名も「ビファナ」。甘辛いソースをたっぷり含んだ豚肉を丸いパンで挟んだシンプルな料理だ。

窓から鍋をのぞいていたら、「ビファナ」を差し出してくれた
窓から鍋をのぞいていたら、「ビファナ」を差し出してくれた

豚肉の形状や味の付け方にはそれぞれの店の個性があって好みが分かれるところだが、「コンガ(Conga)」は地元のポルトガル人からも支持が厚い。ポルト市役所近くの小路を入り、黄色い看板が目印だ。

コンガのビファナに挟まれる豚肉は薄切りで、ニンニク、唐辛子(ピリピリという)、それにパプリカパウダーが入った赤いソースにくぐらせる。パンに挟むときはソースもたっぷり含ませるのがミソだ。持ってみて、口に含んで、その軽さに驚く。色の割に辛さは控えめで、意外とあっさり。ソースを含んだパンとやわらかな豚肉のうまみを確かめたくて、パクパクと口を動かしていると、あっという間に食べ終わってしまうのだ。所要時間は約1分。もっとゆっくり食べようと思っても、それは不思議とかなわない。B級グルメからポルトガルの食の豊かさを感じる思いだ。

「コンガ(Conga)」はファストフード店といったカジュアルな店構え
「コンガ(Conga)」はファストフード店といったカジュアルな店構え

観光地を旅していると、いつの間にか点と点とをつないだ答え合わせのようになってしまうことがある。というのも、人気の場所は整備され、「ガイドブックで見たあそこ」に着くまではどこも似たような風景だからだ。だけど、ポルトガルでの旅は違った。「この建物は17世紀のものなのでそんなに古くありません」とか言われたりする。

目に映るもの食べるもの、すべてに驚きがある。それは、幼い頃から憧れていた「異国」そのもので、そうか、ここは南蛮文化の風上なのだ、と思った。

次回はポルトガルの歴史を追いかけて、セントロ・デ・ポルトガルを巡ります

【取材協力】ポルトガル政府観光局

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