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「西の果て」はきっと文化の風上 ポルトガル「発祥の地」ポルトを巡る

サン・ベント駅。ここからポルトガル最北東部ミーニョ地方への電車が出発する

ボタン・金平糖……ポルトガル語から生まれた日本語

パンやボタンに金平糖(こんぺいとう)。これらの日本語はすべてポルトガル語に由来する。室町時代にポルトガル人が鉄砲を持って漂着したことから、日本人は初めて南蛮渡来の西洋文化に触れた。そのせいだろうか、ポルトガルの街並みに異国情緒を感じながらも、どこかなつかしい気持ちになる。

ポルトガルを知らない日本人はほぼいないが、大航海時代以外のポルトガルの姿を思い浮かべられる人は、旅好き以外はわずかだろう。でも、旅好きには大人気の渡航先。ロンドンのワールドトラベルアワードが主催する世界旅行賞「World’s Leading Destination」に2017年から3年連続で頂点に輝いており、年間1140万人が訪れる注目の旅行先になっているのだ。

2019年10月に就航したアシアナ航空のソウル直通便でポルトガル(リスボン)入りした
2019年10月に就航したアシアナ航空のソウル直通便でポルトガル(リスボン)入りした

ポルトガルのベストシーズンは夏。カラッとした晴天に映えるカラフルな街並みに恋する人が続出だ。じゃあ、オフシーズンは? 雨が多くて肌寒いけど、ちょっとお得な秋のポルトガルも魅力的だった。ユーラシア大陸を介して「西の果て」にある、身近なようで遠い国を、4回のシリーズで巡ってみよう。

ドウロ川を上る大西洋の風と湿度に育まれた「ポートワイン」

イベリア半島の最西端に位置するポルトガルの国土はおよそ北海道と四国を足したくらいの大きさだ。首都はリスボンだが、ポルトは第2の街にして、国名由来の地としても知られている。街を流れるドウロ川の南岸ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区が、ローマ時代にカーレ港(ポルトゥス・カーレ)と呼ばれていたから。

ドン・ルイス1世橋のたもとから見下ろしたドウロ川。左が「ポルトゥス・カーレ」ことヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区。右のカイス・ダ・リベイラ地区から市庁舎まで世界遺産「ポルト歴史地区」だ
ドン・ルイス1世橋のたもとから見下ろしたドウロ川。左が「ポルトゥス・カーレ」ことヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区。右のカイス・ダ・リベイラ地区から市庁舎まで世界遺産「ポルト歴史地区」だ

そしてヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区はポートワインの発祥地。大小30のワイナリーが現在も軒を連ね、ワイナリー巡りはポルト観光の定番でもある。

1790年にスコットランド人が創設した老舗のワイナリー・サンデマンのロッジ
1790年にスコットランド人が創設した老舗のワイナリー・サンデマンのロッジ

ポートワインは、発酵途中にブランデーを加えた世界三大酒精強化ワインのひとつ。イギリスへ出荷するため、長い航海で品質を保てるようアルコール度数を上げた。

ドウロ川上流に広がるアウト・ドウロ地方で作った若いポートワインが川を下り、このヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区のワイナリーで熟成する。ドウロ川が大西洋から温暖湿潤な風を運び、花崗岩(かこうがん)の厚い壁で湿度を保つ。熟成を行うオーク樽(たる)の大きさで味わいが変わり、大きければフルーティーに、小さければ柔らかな口当たりになるそうだ。もっとも古いワインセラー「テイラーズ」のレストランで、ポートワインをいただいた。確かに甘いが透明感があり、それでいて、強い。

1692年創業のテイラーズのレストランではポートワインに合う料理のマリアージュが楽しめる
1692年創業のテイラーズのレストランではポートワインに合う料理のマリアージュが楽しめる

歴史を映すタイル装飾「アズレージョ」

ポルト歴史地区にはアズレージョをまとった建物が点在する。写真はサント・イルデフォンソ教会
ポルト歴史地区にはアズレージョをまとった建物が点在する。写真はサント・イルデフォンソ教会

ポルトガルを象徴する装飾といえば、陶器のタイル「アズレージョ」だ。駅や教会、ホテルの内装や一般住宅の壁などあらゆるところが彩られている。

アズレージョの語源はアラビア語の「小さな磨かれた石」という意味だそうだ。711年にわずか4年でイベリア半島を占領したムーア人(イスラム教徒)によって持ち込まれ、現在のスペイン・アンダルシア地方で発展。ポルトガルには15世紀ごろ、マヌエル1世が君臨する大航海時代全盛期にシントラ王宮を飾るために持ち込まれた。タイルを搔(か)いて幾何学模様にし、カラフルに色分けしたセビーリャ産の「ムデハル様式」にはじまり、絵画のような「マヨルカ焼き技法」、青1色または黄色を加えた2色の反復模様で敷き詰める「モジュールタイル」と進化した。17世紀には日本の呉須(ごす)焼きや中国の青花陶磁に影響を受けたオランダ陶磁器が流行し、タイルも青1色の水彩画のような「デルフトタイル」で壁面を大きく飾るようになったそうだ。

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