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民泊オーナー・ジェラート屋・DJ…イタリア副業事情、成功する共通点とは?

自動車イベントでもロベルト氏(右)の屋台は大人気だ(photo=Akio Lorenzo OYA)

衛生検査官×クラブDJ

3人目はサルヴァトーレ・ペルナ氏(1975年生まれ)だ。大学で公衆衛生学を専攻、続いて医療による社会的支援の研究で大学院を修了。1999年にイタリアで「ASL」と呼ばれる地域保健公社に就職した。現在、衛生検査官としてローマ郊外の食品市場で職務にあたっている。すなわち公務員である。

そのサルヴァトーレ氏の週末の顔は、ずばりディスクジョッキー(DJ)だ。「SasaDJ」の名のもと、ローマ市内および近郊のクラブやパーティーなどを盛り上げる。

民泊オーナー・ジェラート屋・DJ…イタリア副業事情、成功する共通点とは?
「パーティー・メーカー」を自称。結婚披露宴などのイベントでも活躍している(photo=Salvatore Perna)

――DJを始めたきっかけは?

「音楽の世界に情熱を持っていたからです。子供の頃からクラシックギターやエレキギターを習い、バンドにも参加していました。やがて、DJコンソールのパフォーマンスを通じて、人々を踊らせるほうが面白いと感じ始めたのです」

民泊オーナー・ジェラート屋・DJ…イタリア副業事情、成功する共通点とは?
ローマおよび近郊のクラブをたびたび活動拠点にしている(photo=Salvatore Perna)

――具体的には、どのようなステップを?

「初めてDJをこなしたのは14歳でした。18歳のときには早くも地元の小さなディスコで働き始め、その後ローマの、より大きく有名なクラブで回すようになりました」

「支配人たちは、たびたび自身の立場を悪用したので苦労もありました。それでも時間がたつにつれ、私自身で乗り切る術を習得してゆきましたね」

民泊オーナー・ジェラート屋・DJ…イタリア副業事情、成功する共通点とは?
Sasa DJ愛用のコンソール(photo=Salvatore Perna)

――しかしながら、公務員が副業をもつということは、ハードルが高かったのではないですか?

「実際、ASLに就職した当時は副業は許可されていませんでした。音楽の仕事は断念せざるを得ませんでした」

状況が好転したのは2001年、彼が26歳の年だった。イタリアで公務員の副業を解禁する法律が施行されたのだった。

民泊オーナー・ジェラート屋・DJ…イタリア副業事情、成功する共通点とは?
ビデオ・パフォーマンスの収録でコラボレーションする「SasaDJ」ことサルヴァトーレ・ペルナ氏。平日の仕事は衛生検査官、つまり公務員である(photo=Salvatore Perna)

「職場に音楽活動をすることを申告しました。イタリアでは音楽家とDJは芸術的な職業として認められています。納税申告の手続きもしました。こうして再びDJを始められたのです」

彼はラテン・ミュージックに自分の音楽スキルを融合。「イタリア中部の高級ナイトクラブや国内イベントでプレーするようになりました」

「あなたにとって、ふたつの職業をもつ喜びは?」。その質問に対してサルヴァトーレ氏はこう語る。

「音楽は常に人を豊かにするものです。特にDJという職業は、多くの人やライフスタイルに触れ、良くも悪くも人生の真の価値を理解させてくれます」

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愛車「テスラ・モデル3」で機材を積載したトレーラーを牽引し、会場に乗り込む(photo=Salvatore Perna)

イタリアのナイトスポットでは大学の卒業祝いがたびたび行われる。また前述のロベルト氏同様、結婚披露宴もフィールドのひとつだ。人生の門出に立ち会い演出する仕事ゆえ、さまざまな人間模様に接することは容易に想像できる。

「いっぽうで、衛生検査官という職業は、実業界の一線で働く人、商業的成功を目指す人、尊厳を保ちながらも素朴に生きる謙虚な人と、こちらもさまざまな人生を目の当たりにします」

そしてこう締めくくった。

「まったく異なる2つの仕事は、他では経験できない人間の様々な側面を知ることができるのです」

「副業」の言葉に甘えない

かくもユニークな副業をもつイタリア人紳士3名を紹介したが、彼らを取材していると明らかな共通点があった。それは以下の3つである。

  1. 好きなことをやっている : 自分がやりたいことを副業に選んでいる。
  2. 「収入の補填(ほてん)に」と考えていない : たとえ副業がなくても本業で生活を維持できる。
  3. 「副業」といえど、クオリティーに徹底的にこだわっている。

最も大切なのは3つ目である。

ジャンルーカ氏は宿泊施設予約専門サイトのコメント欄に、毎晩自身で丁寧に返答している。

ロベルト氏はジェラートをさらに極めるべく「2022年は、自身のラボラトリーを開設しますよ」と語る。SasaDJことサルヴァトーレ氏も、SNSなどで出演予定を場所とともに常時アップデートし、ファンの繋ぎ止めを欠かさない。

彼らは、それらが副業である素人感を、おくびにも出さないのである。

加えていえば、本記事を執筆するにあたり、たびたび電子メールでも連絡をとることがあったが、3人とも電光石火のごとく熱い筆致で返答を送ってきた。レスポンスの良さもプロ精神に溢(あふ)れていた。

心から好き。本業を疎(おろそ)かにしない。副業という言葉に甘えない。それこそが成功の鍵と確信したのである。

フォトギャラリーへ(写真をクリックすると、詳しくご覧いただけます)

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