不条理とのつきあい方
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上司は話をわかってくれない、という諦めからスタートする

コロナやデジタル化の影響で「働き方」にも変革が迫られる中、組織や人間関係から生じる「ビジネスの不条理」をどう乗り越えていけばよいのでしょうか。連載「不条理とのつきあい方」では、ビジネス、テクノロジーなど幅広い分野で発信するコンサルタントの塩野誠さんが、ビジネスパーソンの悩みに答えます。

【質問】上司と話が噛み合わず、「話がわからない」と言われて怒られることがあります。具体的にどこがわからないのか聞いても明確な答えが返ってきません。相手にわかりやすく伝えるためには、どうしたら良いでしょうか。*質問は編集部が取材したものですが、読者のみなさんからも募集しています。

家族や恋人でも話がわからないことが多い中、職場の上司としっかりコミュニケーションして言いたいことをわかってもらうことは難しいものです。むしろ、上司は話をわかってくれない、という諦めからスタートした方が良いかも知れません。

上司自身が欲しい内容をわかっていない可能性も

質問者の方がまさに「具体的にどこがわからないのか聞いても明確な答えが返ってきません」とおっしゃるのもよくある罠(わな)であり、そもそも上司自身が自分の欲しい内容をわかっていない可能性があります。

何にせよわかってもらえないのはつらく、だんだんと職場に行きたくなくなることもあるでしょう。もっと深刻になると、ご自分のメンタルを病んでしまいますので、ここでは問題をちょっと分解して考えてみることにしましょう。

上司は話をわかってくれない、という諦めからスタートする
そもそも上司が部下にやってほしい内容をきちんと理解していない可能性もある 写真=west/Getty Images

この悩みを考えることは質問者の方が、部下をマネジメントする側になった時にも役立ちます。ここでは「話がわからない」問題を話し方だけのノウハウではなく、上司から仕事を任されて仕事を実行する、という職場の日常に置き換えてご説明したいと思います。

仕事の本質は「A」を「B」にすること

仕事は大きなものも小さなものも、「AをBにしてください」という内容だと言えます。とても大きいものですと、会社全体の中期経営計画などがあり、「売上高A」 を3年後に「売上高B」にします、と書いてあったりします。その「B」という結果のためにあれこれやります、と書いてあることでしょう。他社を買収するM&Aでさえ、他社を買収して今の「A」という状態から、他社を傘下におさめた「B」という状態にする、ということになります。

中期経営計画やM&Aは大きい話ですが、職場のデスクから3メートル以内でも、大きな話を分解すれば作業として、上司から「AをBにしてください」ということが毎日行われています。

出来上がりの「B」のイメージを上司とすり合わせる

この出来上がりイメージである「B」を上司とすり合わせることこそが重要です。両者がなんとなくわかった気で作業をスタートしてしまい、時が経って結果の「B」を見せると、「こんなんじゃない!」と上司から怒られるのが現状と思います。質問者の方が、「話がわからない」と言われてしまうのは、仕事の出来上がりのイメージや、質問された内容にイエスかノーを明確に答えていない、ふんわりモードで話しているためかも知れません。

上司も出来上がりイメージがふんわりしている場合も多いので、面倒がられてもここをすり合わせて期待値をコントロールすることで仕事の8割が決まりますし、怒られないで済みます。

上司は話をわかってくれない、という諦めからスタートする
「B」という仕事の出来上がりのイメージを明確にして、上司と部下で共有することが大切だ

作業の出来上がりイメージの次に大事なのが「誰がいつまでにどうやってやるか」です。これもふんわりと決めずにいると事故の元でして、自分がわからない仕事ほど、ガチガチに決める必要があります。

加えて、「言われた通りにやりました」というアリバイを残すために、メールやメッセンジャーなどでアリバイを残しましょう。これは外部の取引先などに対し、言った言わない争いを無くすためによくやるものです。

分解して考え、分解して相手に伝える

会社のカルチャーによっては、出来上がりイメージにもまして、「どうやってやるか」のプロセス論が重要で、もはや結果を追求することより、ルールを守りプロセスに美学を見いだした「何とか道」になっている組織もあることでしょう。時が経ちゴールとプロセスがズレていても、古くからのプロセスを極めるタイプの社風です。そんな社風の場合、プロセスの順番や形式のすり合わせを行います。あなたが無駄なプロセスを改善・廃止する勇気と権限が無い場合はそれに従うのが賢明です。

作業の結果もプロセスでも肝となるのは、理解できなかったら分解して考えて、話す相手には分解して伝えることです。個人の気質として、ヌケモレやケアレスミスが多くマルチタスクが苦手な方もいますので、その場合は、分解&指さし確認(心の中でも結構です)が有効です。仕事場でも分解していけば、幼稚園時代の「朝来たら靴を靴箱の所定の位置におさめ、お弁当が入ったバッグを所定の位置にかける」というプロセス論は同じように続いています。

上司とは、「仕事の出来上がりイメージ」と「誰がいつまでにどうやってやるか」を共有した上で実行し、その結果、上司が満足したら、その一連の内容をテンプレ化して、再現可能にします。

職場における「あなたの話はよくわからない」問題は、これまでご説明したような結果とプロセスの説明にヌケモレがあるものだと考えられます。よって、話し方も「AをBにするためにいつまでにCさんとこのプロセスで進めます」というテンプレ表現を使うと楽です。

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