京都ゆるり休日さんぽ
連載をフォローする

唐紙で年賀状を 奥ゆかしい文様と手仕事の風合い「京からかみ体験工房 唐丸」

師走の慌ただしさのなかにも、新しい年への期待や希望に胸がふくらむ12月。クリスマスカードや年賀状、来年の手帳やポチ袋などは、「デジタルではなく紙で」という人も多いのではないでしょうか。今回訪ねたのは、「唐紙(からかみ)」の技法を使ってカード作りが体験できる「京からかみ体験工房 唐丸(カラマル)」。手摺(ず)りの風合いとつつましい文様が宿るカードは、大切な人に送りたくなる特別な一枚です。

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

伝統文様の版木を使い、一枚一枚手摺りする楽しみ

ポストカードやレターセット、版木を使ったスタンプなどが並ぶギフトショップを併設する「京からかみ体験工房 唐丸」
ポストカードやレターセット、版木を使ったスタンプなどが並ぶギフトショップを併設する「京からかみ体験工房 唐丸」

「唐紙」とは、文様を手彫りした版木に絵の具を付け、紙に写しとる技法。ふすまや障子などに多く用いられ、和風建築の多い京都では特に発展・成熟してきました。雲母(きらら)胡粉(ごふん)といった日本画にも使われる絵の具を使って摺る唐紙は、光の角度で見え方が変わり、奥ゆかしい表情を浮かべます。

「からかみハガキ摺り体験コース」の道具。1時間ほどの体験時間で摺った分は持ち帰ることができる。1人2,400円(税込み)、要予約で1人から毎日受付可能
「からかみハガキ摺り体験コース」の道具。1時間ほどの体験時間で摺った分は持ち帰ることができる。1人2400円(税込み)、要予約で1人から毎日受付可能

現在も職人がふすまや壁紙、インテリアに用いる唐紙を製造する、「京からかみ 丸二」の直営店「唐丸」。ここでは、誰でも気軽に唐紙摺り体験ができる工房とギフトショップを構えています。いくつかある体験コースの中でも、初心者でもトライしやすいのが「からかみハガキ摺り体験コース」。9柄の文様、14色の紙の中から好きな組み合わせを選び、摺ったポストカードは持ち帰ることができます。

実際に職人が使う「ふるい」という道具の代わりに、硬いスポンジに絵の具を塗って版木に付ける
実際に職人が使う「ふるい」という道具の代わりに、硬いスポンジに絵の具を塗って版木に付ける
琳派の画家・尾形光琳が描いたとされる「光琳大波」の版木は、今見てもモダンな印象
琳派の画家・尾形光琳が描いたとされる「光琳大波」の版木は、今見てもモダンな印象

使用する版木は、古くから唐紙に用いられている伝統文様を縮小したもの。和を感じる古風な文様だけでなく、洋の要素を感じるものやモダンな雰囲気のものも。あらかじめ用意された雲母とゴールドの絵の具のほか、自身で色を調合して摺り色を変えられるので、何通りもの組み合わせを楽しむことができます。

基本の雲母とゴールドの絵の具に、赤・青・黄の顔料を乳鉢で混ぜ、好きな色を調合することもできる
基本の雲母とゴールドの絵の具に、赤・青・黄の顔料を乳鉢で混ぜ、好きな色を調合することもできる

光と影で表情を変える、唐紙の奥ゆかしき美意識

写真左の「唐紙のハギレセット」(550円)は店頭限定の人気商品。「唐紙文庫ハガキ」(385円)、干支(えと)モチーフの「版木スタンプ」(各1210円)、ポチ袋(各385円)。いずれも税込み
写真左の「唐紙のハギレセット」(550円)は店頭限定の人気商品。「唐紙文庫ハガキ」(385円)、干支(えと)モチーフの「版木スタンプ」(各1210円)、ポチ袋(各385円)。いずれも税込み

ギフトショップに並ぶ唐紙製品を見ると、文様がくっきりと摺りあげられつつも、絵の具の表情に独特の濃淡があることがわかります。印刷と違って、紙の上に絵の具が「のり」、砂糖がけの和菓子のようなテクスチャーに仕上がるのが唐紙の最大の魅力。絵の具に混ぜられた雲母や胡粉の素材感が生き、たとえば白地に白銀の絵の具で摺っても、角度によって文様を浮かび上がらせるのです。

鉱物を原材料とした雲母の絵の具は、パールのような柔らかな輝き。色の絵の具を作る際にもベースになる
鉱物を原材料とした雲母の絵の具は、パールのような柔らかな輝き。色の絵の具を作る際にもベースになる

「唐紙のことをご存じない方も多いので、ご自身で手摺りするという体験を通して、唐紙の魅力にふれていただければと思います」と話す、店長の佐藤さん。ウィリアム・モリスなどの図案も好きで、ここで唐紙を紹介することを通して、日本の文様の美を再確認しているといいます。

版木の上にそっと紙をのせ、手でしっかりと摺る。紙がずれないよう押さえたままめくり、再び版木に絵の具を付けて摺るのをくり返す
版木の上にそっと紙をのせ、手でしっかりと摺る。紙がずれないよう押さえたままめくり、再び版木に絵の具を付けて摺るのをくり返す

色彩豊かで写実的な西洋の図案とは趣が異なり、ほの暗い明かりの和室や侘(わ)びの美学が息づく茶室で育まれてきた唐紙には、しみじみと語りかけるような美しさがあります。

摺りあがった紙をめくる瞬間は思わず歓声が。店頭では自宅で唐紙摺りができるキットも販売しており、趣味として楽しむ人も
摺りあがった紙をめくる瞬間は思わず歓声が。店頭では自宅で唐紙摺りができるキットも販売しており、趣味として楽しむ人も

陰翳礼讃(いんえいらいさん)』で谷崎潤一郎がつづった古きよき日本の美意識のように、見る人の心を落ち着かせ、繊細な陰影や光の表情に気づかせてくれる唐紙。受け取る人もしとやかで凛(りん)とした美しさに見とれ、じっくりと眺めてくれるのではないでしょうか。一枚一枚摺りあげたポストカードで、新しい年を祝う大切な人と、静かな日本の美をわかちあってみてください。

■京からかみ体験工房 唐丸 https://karamaru.kyoto

BOOK

唐紙で年賀状を 奥ゆかしい文様と手仕事の風合い「京からかみ体験工房 唐丸」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&Travelの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

REACTION

LIKE
COMMENT
2
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら