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トヨタ・新型ランドクルーザー試乗 絶え間ない人気のワケ

ガソリン仕様の「ZX」は7人乗り仕様

いまキャンプをふくめてアウトドアブームなんだけど、私の知り合いの女性などは原付き自転車にテントを積んでトコトコっと1人で出かけている。アウトドアだったら、クロカンヨンクの出番だろって思うのは、オッサンなのか。でも、トヨタの新型ランクルは、すごいよ。中東だろうとアフリカだろうと、世界中で愛されているのは、本格的な“アウトドア性能”を持っているからだ。

ここんとこ10年以上、ランドクルーザー、通称ランクルの人気はずっと続いている。知人のしゃれたメンズ誌編集者にも、15年ぐらい前に、その時点で10年落ちの中古ランクルを購入して、ずっと乗ってる、なんてやつもいる。

好きなひとには、ほかのものと替えがたい魅力をもったクルマのようだ。2021年8月に発売された新型ランクルは、ベースモデルで510万円也の価格にもかかわらず売れているのが、その証拠。800万円モデルもある。いっぽう、ホームページには「納期は2年以上となる見込み」とあって、希少価値が上がっているようだ。

ぜいたくな「ZX」のインテリア
ぜいたくな「ZX」のインテリア

ランクルのどこがいいのか。デカいガタイと、本格的なオフロード性能と、それに安定した中古市場での価格。選ぶひとにとって、こんなふうに、理由はいろいろあるようだ。新型はさらに快適性がうんと上がった。スタイリングもシンプルな構成で好ましい。問題は、盗難に遭いやすいところ。

トヨタ自動車では、私たち、自動車のことを書く人間にランクルを試乗用に貸してくれるとき、ハンドルバー(ハンドルを固定して運転が出来ないようにする金属の盗難防止装置)もいっしょに渡すほど。

じっさいに、クルマの出来はすごくいい。私が乗ったのは、最上級仕様の「ZX」を3.5リッターV6ガソリンエンジン仕様で、ラリーからのフィードバックを強く反映したという「GRスポーツ」を3.3リッターV6ディーゼルで。どっちも異なった個性をちゃんと持っている。

後席も居心地がよく、ちょっとしたリムジン感覚
後席も居心地がよく、ちょっとしたリムジン感覚

「世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現」。これが、新しいランクルの開発目標と、トヨタ自動車のプレスリリースにある。実際に、私の印象でも、乗り心地がよく、パワフルで、静粛性が高い。かつてクラウン、いまランクルといってもいいぐらい、一般道での走りは上質だ。

変えるところは変えつつ、守るところは守る。それが今回のランクルの特徴だ。変えていないのはラダーフレームという、本格的クロカン4WDにつきもののボディ構造。

トラックでおなじみのラダーフレームのメリットは、堅牢性と耐久性。荒れた路面で強い衝撃が入っても、頑丈なフレームがしっかり受け止め、ボディを守る。ボディはそのぶん、軽量化がはかれる。新型ランクルでは軽量部材をボディに使うことで従来より200キロも軽くしたそうだ。

燃費重視のモードやスポーツモードなどオンロードでのキャラクターも選べる
燃費重視のモードやスポーツモードなどオンロードでのキャラクターも選べる

オフロード性能の高さも、ランクルの強みという。ひとつは大トルクのエンジン。それから、サスペンションシステムも大幅に見直して、ステアリングホイール操作時やブレーキング時の操縦安定性を高めるとともに、悪路でも車輪が路面から離れにくいようにしている。

あいにく、私はオフロードを走っていないので、このあたり、実際はどうなのか、残念ながら明言できない。走ったことのある知人たちは、“ホンモノ感がハンパない”と言う。

それでいながら、オンロードの走りも、さきの私の印象を裏付けるように、すぐれた乗用車並み、をめざしたそうだ。一説によると、社内でいまかなり高いレベルにあるとされるレクサスISの開発者にも意見を聞いたとか。

トヨタ・新型ランドクルーザー試乗 絶え間ない人気のワケ
ボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミニウム化

走らせると、あっというまに速度が上がっていく。ガソリンエンジンはスムーズな回転マナーで、気持ちがいい、という表現がよく合うと思う。いっぽうディーゼルエンジンも、なかなか。ややガラガラっと独特の燃焼音が聞こえてくるものの、たっぷりしたトルクとともに、こちらも気持ちよさがちゃんとある。

私が今回乗ったのは、さきに触れたとおり、ディーゼルとはいえ、ダカールラリーなど苛酷な現場からのフィードバックを受けて開発されたとされる「GRスポーツ」だった。豪華仕様の「ZX」をはじめ、ほかのモデルより走りの性能を強化したモデルだ。

GRスポーツの特徴としてあげられる装備は「E-KDSS」といい、前後のスタビライザーを電子制御で調整して、路面や走りに応じて最適な設定にする機構。たとえば悪路では“脚”の動きの自由度を上げて車輪が路面から離れないように。いっぽう、オンロードを飛ばすときは、車体のロールを抑え、カーブもくいくいと曲がっていける。

車内のダイヤルで選択できるドライブモードは六つ。「オフロード走行において、タイヤの空転によるスタックや、駆動力不足による失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援」を行うためのものと説明される。

六つのモードは「AUTO」「DIRT」「SAND」「MUD」「DEEP SNOW」「ROCK」。選択したモードに応じて、駆動力、サスペンション、それにブレーキ油圧を自動で統合制御するシステム搭載だ。

上記のなかの「AUTO」モードでは、さまざまなセンサーの情報を集めて走行中の路面状況をコンピューターが推定。駆動力を最適化する、つまり、おまかせモードである。スキー場に行くときのような、路面状況がころころ変わる道などでは、これがよさそう。

ディーゼルの「GRスポーツ」(800万円)はオフロードをがんがん走るひとに
ディーゼルの「GRスポーツ」(800万円)はオフロードをがんがん走るひとに

悪路では、リヤに加えてフロントにも搭載された電動デフロックが効果を発揮しそうだ。これも、「ダカールラリー参戦ドライバーからの改善要望を生かした開発項目」としてトヨタの開発者が、将来ダカールラリー参戦のベース車両になるGRスポーツのために用意したものという。

デフロックとは左右輪の回転差を調整してカーブでの曲がりやすさを実現する機構。ただし乗用車と同じ設定だと、片輪が空転すると、反対側の車輪に回転力が伝わらなくなるため、悪路で立ち往生の羽目におちいる。それを防ぐ。

レンジローバーやランドローバー・ディフェンダーにはプラグインハイブリッドモデルが設定されているし、メルセデス・ベンツGクラスにはピュア電動モデルの追加が噂されている。そんな競合の動きに対して、ランクルはどうなんだろう。

「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ、というのがランクルのありかたです。ハイブリッドなどのいわゆる環境技術は大事なのは理解しています。いま私たちは、生きて帰ってこられる環境適合車、というモデルも設定できるように取り組んでいます」

トヨタ自動車ミッドサイズビークルカンパニーで主幹を務める井上徳人氏は、私にそう説明してくれた。遠い未来の話でしょうか、と確認すると、「近い将来の話だと思ってください」とのことだった。ランクル(の開発者)は、背負わなくてはいけないものがいろいろあって大変だと思うが、トヨタ自動車の技術のショーケースとして、やっぱり期待してしまうではないか。

写真=筆者

【スペックス】
車名 TOYOTA LAND CRUISER ZX
全長×全幅×全高 4985×1980×1925mm
3444ccV型6気筒 4輪駆動
最高出力 305kW@5200rpm
最大トルク 650Nm@2000〜3600rpm
価格 730万円

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