海の見える駅 徒歩0分の絶景
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九州最南端の路線で見つけた、遠く幻想的な海

日没とともに、鹿児島中央方面へと向かう列車が到着した

日本全国、2万キロ以上におよぶJR全線の中で最南端を走るのが、鹿児島県の指宿(いぶすき)枕崎線だ。薩摩半島の東岸から南岸をぐるりと取り囲むような線形で、車窓からもしばしば海が見える。今回訪れたのは、その終点・枕崎駅の手前にある二つの無人駅。南の果てで出会った夕暮れの海は、淡く、遠く、幻想的だった。

連載「海の見える駅 徒歩0分の絶景」は、アマチュア写真家の村松拓さんが、海のそばにある駅で撮った写真を紹介しながら、そこで出会ったこと、感じたことをつづります。

薩摩板敷駅で出会ったペールブルーの世界

2両編成の列車を降りるやいなや、西日が横顔を照らした。2017年4月下旬、時刻は午後6時過ぎ。東京ではもうすぐ日没を迎えようという頃だが、鹿児島の空はまだ明るい。

降り立ったのは、薩摩板敷(さつまいたしき)駅。九州新幹線の終点・鹿児島中央駅から、さらに普通列車で南に進んで2時間半の場所にある。駅舎もなく、小さな上屋と駅名標がぽつんとたたずむ、ごく小さな駅だ。

畑に囲まれた薩摩板敷駅。隣はもう九州最南端の終着駅、枕崎駅だ
畑に囲まれた薩摩板敷駅。隣はもう九州最南端の終着駅、枕崎駅だ

列車が去ると、うっすらと伸びる水平線が見えた。東シナ海だ。よく見ると、足元の畑が、海に向かってゆるやかに傾斜している。崖沿いにこんもりと連なる森が、陸とその向こうの世界をきれいに分けている。

この絶妙な地形のおかげか、不思議なくらい、海が眼下のはるか遠くに感じられる。大げさに言えば、こちらが陸ごと天空に浮いているような気分になるのだ(実際の標高差は40メートルほど)。

薩摩板敷駅から見た東シナ海。海は確かにそこにあるのに、とても遠く感じられた。正面の建物は県立鹿児島水産高校
薩摩板敷駅から見た東シナ海。海は確かにそこにあるのに、とても遠く感じられた。正面の建物は県立鹿児島水産高校

さらに、夕暮れが拍車をかける。海の青はだんだんと淡くなり、水平線はやがてぼやけて空へと溶けていく。一秒一秒うつろいながら、海から空までが一枚のグラデーションとして連なっていく様子は、まさに幻想的だった。

森の向こうは、一面ぼんやりとしたペールブルーの世界(駅名標のデザインは訪問当時のもの)
森の向こうは、一面ぼんやりとしたペールブルーの世界(駅名標のデザインは訪問当時のもの)

景色に見とれていると、1人の高校生がホームにやってきた。近くにある高校の生徒さんのようだ。海の見える駅で誰かと出会うたび、旅人にとっての非日常は、誰かにとっての日常なんだと、ふと気づかされる。

薩摩板敷駅のホームからはうっすらと開聞岳も見えた(写真右)。雑草の生い茂る線路も印象的
薩摩板敷駅のホームからはうっすらと開聞岳も見えた(写真右)。雑草の生い茂る線路も印象的
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