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最後の築城! 明治時代に誕生した園部城 「青天を衝け」の城 (13)

園部城。園部高等学校・附属中学校の校地になっている

日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載「城旅へようこそ」。今回は大河ドラマ「青天を衝(つ)け」ゆかりの城の第13回。日本で最後に築かれた城、園部城(京都府南丹市)です。明治に入ってからこの城が造られた理由とは?

江戸時代初めに「園部陣屋」を構築

園部藩の居城・園部城は、日本で最後に築かれた城だ。築かれたのは、なんと明治維新後の1869(明治2)年。幕末には、江戸幕府や各藩が国防を目的として松前城や福江城、五稜郭品川台場などを築いたが、明治時代に入ってからの築城は異例といえる。しかし幕末に築かれた城と同じように、園部城の誕生には幕末から明治維新期の不安定な情勢が大きく関係している。

園部藩は、1619(元和5)年に小出吉親(よしちか)を初代として誕生した藩だ。室町時代には荒木氏綱が前身の城(中世園部城)を構えていたともいわれるが定かではなく、<光秀の時代と江戸時代と 二つの城館が共存する宍人館>で紹介したように、戦国時代に明智光秀が丹波攻めにより一帯を攻略した後は、この地域は光秀の支配下となっていた。

江戸時代になり初代園部藩主となった小出吉親は、1621(元和7)年にかけて小麦山周辺地に新たな拠点を構えた。しかし3万石以下の無城主格であるため城を構えることは許されず、幕府の制度上は「園部城」ではなく「園部陣屋」として築かれている。

1653(承応2)年以後の園部陣屋が描かれた「丹波国園部絵図」(個人蔵)を見ると、敷地はかなり広く、南北約650メートル×東西約400メートル。規模としては城と呼べる立派なものだったようだ。しかし城門は櫓(やぐら)門ではなく薬医門棟門のような簡素なもので、櫓も建っていない。

小出氏墓所
園部藩主小出家墓所

幕末、動乱対策で城郭化構想 新政府が許可

こうして、園部陣屋は小出氏10代の拠点として200年以上の歴史を刻んだ。転機が訪れたのは、幕末のこと。池田屋事件や禁門の変など幕末の京都では動乱が相次ぎ、京都から近い園部藩はその影響を危惧して、万一に備え園部陣屋を城郭化することを幕府に求めたのだ。最後の園部藩主となった小出英尚(ふさなお)は1867(慶応3)年に京都見廻役に就き勤皇方に従っており、城郭化は天皇の仮行在所(あんざいしょ)とするためともいわれている。

1864(元治元)年に幕府に提出した修築願では、櫓門3棟と櫓9棟の新築と本丸以外の塀への狭間(さま)の構築を願い出ている。しかし、この申し出は幕府に認められなかった。それでも園部藩は交渉を継続し、1867(慶応3)年10月に内諾を得た。

ところがその直後に大政奉還が行われたため、またしても正式な許可は下りなかった。それでも園部藩は交渉を続け、翌年1月に新政府に「帝都御守衛」という目的で申請、ようやく築城の許可を取得したのだった。版籍を奉還し小出英尚が藩知事となった1869(明治2)年、櫓門3棟と櫓5棟が完成。紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、悲願の園部城が誕生した。

園部城に現存する櫓門、番所、巽櫓
園部城に現存する櫓門、番所、巽(たつみ)櫓

校地に現存する城の櫓や門

園部城は、現存する城門が学校の正門として使われている珍しい城でもある。

明治に入り、園部県庁や京都府園部支庁が設置された後、園部城の敷地や建物は官有地や民間に払い下げられるなどしてほぼ失われてしまったが、現在は園部城の中心部には京都府立園部高等学校および附属中学校が建ち、現存建造物が校地に残っている。1869年に建てられた櫓門は正門として使われ、登下校する生徒たちを見守っている。櫓の壁面に切られた狭間が大きいのは、ここから大砲を撃つことを想定しているからという。

現存する城門。校門として使われている
現存する城門。校門として使われている
櫓門壁面の狭間
櫓門壁面の狭間

櫓門に付属する番所と巽(たつみ)櫓も現存する。現存櫓に見下ろされながら、テニスコートで生徒たちが汗を流す光景は、なんともユニークだ。また、園部城からの移築と伝わる太鼓櫓が市内の安楽寺に残る。

巽櫓
巽櫓
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