新年は金運、幸運を祈り豚肉とレンズマメ! ハンガリー

新年に欠かせぬレンズ豆のフーゼレーク

2019年にハンガリーで取材した際、元駐日ハンガリー大使のシュディ・ゾルタンさんと奥様のエリカさんが、ブダペストのレストランへお招きくださいました。お食事しながら、年末年始の料理やしきたりについて夫妻からお聞きしました。夫妻とは、1999年以来、取材や写真展、ハンガリーと日本との文化交流などでご一緒させていただいています。シュディさんは現在、先に紹介した「Sudy & Co.Ltd.」の会長でいらっしゃいます。

レストランでシュディ夫妻と頂いたフーゼレークです。新年に欠かせないのが、このレンズ豆のフーゼレークです。フーゼレークとはスープよりも濃度があるペースト状の料理。この時期だけではなく、また素材もレンズ豆だけでなくさまざまな野菜などで作られます。ハンガリー全土で愛されている料理です。
フーゼレークは見た目が地味ですが、お肉のダシ(ブイヨン)の深い味わいとコクがおいしくて、日本人の口にも合います。添えられているのは皮つき豚肉のローストです。パリッと香ばしく焼けていて味わいが格別です。

形がレンズに似ているのでレンズ豆と呼ばれます。ハンガリーに限らず、ヨーロッパ各地でスープやサラダ、前菜などによく使われます。シュディ夫妻によれば、レンズ豆はコインの形に見えることから、金運がアップするとされ、新年早々に縁起をかついで食べる習慣があるそうです。
豚も縁起物とされる理由 そして魚は……?
シュディ夫妻によれば、ハンガリーでは伝統的に、冬に豚一頭を丸ごと家庭で料理して一年間食べてきたそうです。豚の丸焼きはこの時期に食べたそうですが、今は都市部ではそんな大がかりなこともできないので、ホテルのレストランやパーティーで食べることが多いそうです。ハンガリーでは豚は縁起物です。鼻が良いので、宝物を掘り出し金運や幸運を運んでくる、とされています。
面白いのは、ハンガリーでは一般に、クリスマスには魚やチキンを食べるものの、お正月には食べないそうです。泳いで逃げる魚や飛んで行ってしまう鳥は、幸運や金運を逃してしまうと考えられているからとか。しかし、湖畔や河岸に面した地域の一部では、コインに似た無数のウロコが付いた魚は金運をもたらすと信じられ、新年にも食べるそうです。お正月に縁起をかつぐとは、日本に似ていますね。
ハンガリーは、日本との共通点が多いと言われます。アジアから移り住んできた民族がルーツという説があり、料理では、魚や肉のスープに見られるように、ダシの文化があります。名前も姓が先で名が後に続くなど、ヨーロッパにありながら日本に似ている点が実際にあります。ハンガリーの田舎へ行くと、なぜか心地よくて郷愁を覚えるのはそのためかもしれません。
もうすぐお正月。新年に金運上昇を祈願しようと、私もレンズ豆を買ってきました。フーゼレークを作ってみます!
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
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