ニッポン銭湯風土記
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2022年、行っておきたいニッポンの銭湯5選 あの街この街「最後の1軒」

脱衣場と浴室の間に壁がない。本土とは異なる沖縄の銭湯の特徴だ=沖縄県沖縄市の中乃湯(なかのゆ)

旅が好きだからといって、いつも旅ばかりしているわけにはいかない。多くの人は、人生の時間の大半を地元での地道な日常生活に費やしているはず。私もその一人だ。が、少し異なるのは、夕方近くにはほぼ毎日、その地域で昔から続く銭湯(一般公衆浴場)ののれんをくぐることだろうか。この習慣は地元でも旅先でも変わらない。昔ながらの銭湯の客は、地域の常連さんがほとんど。近場であれ旅先であれ、知らない人たちのコミュニティーへよそ者として、しかも裸でお邪魔することは、けっこうな非日常体験であり、ひとつの旅なのだ。

じつを言うと“今年”行きたい銭湯は山ほどある。というのは、旅情あふれる昔ながらの銭湯は激減していて、いつまで営業を続けられるかわからない銭湯が少なくないからだ。したがって銭湯ファンの間では「そのうち行こう」は禁句である。しかし山ほどあるものを全部は紹介できないので、今回はその街の“最後の1軒”となった銭湯(一般公衆浴場)に絞り、その中でも旅の途中で立ち寄るのにお薦めな銭湯を、北から順に5軒だけピックアップしてみよう。

(1)北の大地、広々・堂々 喜楽湯(北海道厚岸町)

厚岸・喜楽湯(北海道)

釧路から根室行き、JR根室線の列車に乗る。車窓には原生的な森や沼沢地(しょうたくち)が続き、時折ふいに小さな町を通り過ぎては、社会から隔絶されたようなその風景に「昔の開拓者はすごいなぁ」と感嘆させられる。そんな中でも比較的大きな町が厚岸(あっけし)で、巻き貝の殻のように太平洋から入り込んだ厚岸湾ではカキ養殖が盛ん。ここに残る最後の銭湯が喜楽湯だ。創業時期は判然としないが、大正以前から存在すると伝えられる。入ってまず驚かされるのは広々とした脱衣場空間。かつては大勢の水産労働者がいっせいに汗を流したのだろう。そして浴室では真ん丸の湯船がホクホクと湯気を上げ、高い天井の湯気抜きへと吸い込まれてゆく。たくましい歴史を色濃く伝えながら、茫漠(ぼうばく)たる北の海辺で出会うあたたかな情景は、帰りの列車に乗ったあとも余韻が消えない。

厚岸・喜楽湯(北海道)
厚岸・喜楽湯(北海道)

【喜楽湯】
北海道厚岸町真栄2丁目108
電話 0153-52-4462
営業時間 15:00~21:00 水曜定休

(2)宮沢りえ主演映画ロケ地 花の湯(栃木県足利市)

足利・花の湯(栃木県)

足利学校鑁阿寺(ばんなじ)などの名所旧跡に恵まれた足利市だが、昔からの銭湯は花の湯だけとなった。2016年に主演の宮沢りえが日本アカデミー賞ほか、賞を総なめにした映画「湯を沸かすほどの熱い愛」のロケ地になったことで知られるが、ご高齢のおかみさんが一人で守っていて後継者の予定もなく、先行きは不透明だ。だが映画館の大スクリーンにも映えた、1953(昭和28)年築の重厚な外観と、北関東らしいアツアツのお湯、そしておかみさんと客たちとの和やかなやりとりが何とも味わい深い。この貴重な銭湯を盛り上げたいと、同じ通りの3軒隣の焼き鳥店「美川 巴町店」では湯上がり客限定のお得な「花の湯セット」を用意。ぜひここで一杯やっていこう。

2022年、行っておきたいニッポンの銭湯5選 あの街この街「最後の1軒」
2022年、行っておきたいニッポンの銭湯5選 あの街この街「最後の1軒」

【花の湯】
栃木県足利市巴町2541-1
電話 0284-21-8538
営業時間 13:30~22:00 日曜定休

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