小川フミオのモーターカー
連載をフォローする

トヨタ「C+pod」試乗 社会の弱いところをカバーするEV

ピラーから上をブラックにして背高感を消している

クルマはさまざまなハンディキャップとつきあってくれる乗りもの。たとえば、公共交通機関が限られる地域での地理的ハンディキャップ、あるいは、足腰が衰えてきたときの身体的ハンディキャップ。しかし、比較的コンパクトな軽自動車に乗ってきたものの、世界的にガソリン車が廃止されそうな懸念も出てきた。

私も年をとってきて他人事ではないよ、なんて思っていた矢先、2021年晩秋に、トヨタ自動車の「C+pod(シーポッド)」なるピュアEVに乗るチャンスがあった。なかなかよく出来ていて、ちょっと感心してしまった。

コンパクトな車体ゆえ街中での使い勝手がいかにもよさそう
コンパクトな車体ゆえ街中での使い勝手がいかにもよさそう

「都市・山間部などそれぞれの地域に即した安心・自由かつ環境に良い移動手段」として開発したとされる「C+pod」。2490ミリの全長と1290ミリの全幅という、けっこう小さな車体だけれど、おとなふたりが乗れる。

「当初は、(モーターサイクルみたいに)前後2人乗りっていうアイデアもありましたが、やはり話をしながら乗れるのも大事だろうと、常識的なレイアウトに落ち着きました」。開発を担当したトヨタZEVファクトリーで主幹を務める倉知晋士さんは教えてくれた。

大変だったのは、横におとなが2人並んで座るときの空間の作りかただったそうだ。ひじとひじがぶつからないぐらいの間隔が欲しいし、衝突安全性を確保するためにも、適度な空間が必要となる。

荷室は奥行きは限られているものの天井髙が高い
荷室は奥行きは限られているものの天井高が高い

はたして、「軽自動車向けの基準をもとにした超小型モビリティの安全基準に対応した構造の実現にこぎつけました」と倉知さん。買い物などの荷物を詰める荷室も確保されている。

乗ってみると、すぐに最大トルクが発生する電気モーターだけあって、発進はすばやい。モーターの最高出力は9.2kW、最大トルクは56Nmもある。トヨタ・パブリカよりもトルクがある。といっても、なんのこっちゃと言われそうですけど。

タイヤは155/70R13と立派なサイズ
タイヤは155/70R13と立派なサイズ

足まわりはかなり硬いので(シートのクッションを改良すればより快適になるかも)、このクルマで長距離はちょっとキビシイ。リアにモーターを搭載した後輪駆動なので、サスペンションの動きに制約があるせいだろう。

バッテリーは効率のよいリチウムイオン式ということもあり、メーカー発表の一充電走行距離は150キロ。私からすると、現実的な数値ではないかと思う。使われ方を想像するに、これでも1週間に一度の充電で十分かもしれない。

私の経験だと、欧州にいくと、サイズゆえに「虫」なんて呼ばれる、おなじようなコンパクトなパーソナルモビリティをよく見かける。かつてはそこはニッチ(すきま)市場だったが、いまや、ルノーのような最大手も本腰を入れ始めた。たとえば2人乗りのEV「トゥイジ Twizy」はそれなりに人気とか。

パリなんかは地下鉄網が発達しているから、それほど必要ないかもしれないものの、地方都市ではありがたいはずだ。ローマのように公共交通はほとんどバス頼りなんて街でも同様だろう。今後、内燃機関(ガソリンとかディーゼル)の市街地への乗り入れが強く制限されてくると、パーソナルなEVの需要が高まるはず。

機能的なレイアウトで使いやすいコクピット
機能的なレイアウトで使いやすいコクピット

トヨタの「C+pod」は、乗用車的によく出来ていて、耐候性も高い。試乗車にはオートエアコンも、シートヒーターもついていた。いっぽう、ウィンドウはスペース効率のためスライド式。最近は駐車場以外ウィンドウを開ける機会がない、なんてひとも多いだろうから、それで十分だと私も思う。

りっぱな作りのハイバックシートがそなわる
りっぱな作りのハイバックシートがそなわる

スタイリングは実用的だ。頭上まで届くような大きなウィンドシールド(フロントグラス)や、大型の灯火類、それに乗降性の良い大きなドアなど、機能からデザインされていったと思える。

それでいて、前後フェンダーまわりをふくらませたように見せるなど、昨今のトヨタ車と共通するデザインアイデンティティも盛り込まれている。このあたりは、好みがちょっと分かれるだろうか。

価格は165万円から。このクルマを買えるのは、法人ユーザーと自治体に限られていたが、21年12月23日から個人ユーザーも対象に(リース契約で)販売すると発表。当初「本格販売は2022年がめど」としていたのに対して、前倒しで計画が実行されたことになる。

高性能もEVの特長なら、「C+pod」のように社会の弱いところをカバーするのもEVのもうひとつの長所である。

【スペックス】

車名 TOYOTA C+pod
全長×全幅×全高 2490×1290×1550mm
電気モーター 後輪駆動
最高出力 9.2kW
最大トルク 56Nm
価格 165万円〜

写真=筆者

REACTION

LIKE
COMMENT
0
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら