久保純子 LIFE in N.Y.
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マンハッタンの住宅事情。ただ今、アパート探し中!

オノ・ヨーコさんが今も住むダコタ・ハウスは、1881年に建てられたNYで最も歴史のあるアパートのひとつ。荘厳な佇まいだが、中はリフォームされてモダンな内装になっている。「ダコタ」という名前は、当時、ダウンタウンからはるか離れたアッパーウェストに位置することから、「ダコタ州ほど遠い」という意味が込められていたそうだ

「NYあるある」洗濯機と照明

築年数に加えてアパート選びのもう一つ大事なポイントは、洗濯機。日本のようにアパート室内に洗濯機置き場が備わっている物件がとても少ないのだ。その理由は、ニューヨークの排水事情にあるようで、配管が古く、それぞれの家庭に洗濯機を置くと、水漏れや電気系統への影響が心配されることから、通常はアパート内のワンフロアにコインランドリーが設けられていて、住民が有料で使えるようになっている。これだけ全てが最新鋭と思われるNYで、部屋に洗濯機が置けない、というのは衝撃だった。

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「LAUNDROMAT」と呼ばれるコインランドリーでは、自分で洗えるところもあれば、こちらのように、袋いっぱいの洗濯物を預ければ洗濯から、乾燥、畳みまで全てやってもらえるところもある
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「袋丸ごと洗濯」の値段表。体重計が置いてあり、その場で測って値段を計算してもらう。色別洗濯やふんわり乾燥など、希望に合わせて、プラスアルファのサービスが提供されている

また、忙しいニューヨーカーは、洗濯の時間さえももったいないと、全ての洗濯物を近くのクリーニング屋さんに出してしまうこともある。実際、街角ごとにクリーニング店があり、サンタさんのような大きな袋を担いだ若者たちが訪れ、洋服の一切合切(下着に至るまで)を出している姿を見かける。値段も、コインランドリーとさほど変わらず、およそ7ポンド(3キロ強)で10ドルほど。一人暮らしであれば1週間分の洗濯物といったところだ。

もう一つの「NYあるある」は、照明。照明器具がもともと付いていない物件も多く、自分で購入しなくてはならない。しかも、アメリカ人は間接照明を好むため、天井に照明器具を設置する設備が備わっていない。つまり、ダイニングルームなど、食事を取るスペースでも間接照明でとにかく暗いのだ。

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ハドソン川を望む絶景の賃貸アパートを内覧したが、やはり天井には照明器具を設置する装備がなく、夜になると真っ暗に。自分で間接照明をいくつか購入するか、天井に照明器具を設置する工事をしてもらわなくてはいけない

煌々(こうこう)とした明かりに慣れてしまっている我が家は、ハンディマンと呼ばれるアパート内の修理や内装を請け負う担当者にお願いして、壁沿いに電線を引いてもらい、照明を取り付けたのだ。当たり前だと思っていたことが、当たり前ではない。場所が変われば住まいの常識も違うことを実感する。

契約社会アメリカの、賃貸手続き

さらにややこしいのが、アパートの形態。「賃貸アパート」「コンドミニアム」「コープ」と3つのカテゴリーがあり、通常、私たちが考える賃貸物件は「賃貸アパート」と呼ばれるもので、大手のアパート運営会社などが貸し出しをしている。これは比較的スムーズに借りられる。それが分譲アパートで、家主が貸し出している「コンドミニアム」となると、かなり手続きが面倒くさくなる。どこのコンドミニアムにも管理組合があり、理事会が許可しないと入居できない仕組みになっている。そのためにいくつもの書類を用意し、プロセスにはめっぽう時間がかかる。

なんでも「訴える」アメリカ社会。貸し出す側も、突っ込まれどころがないように、契約書には細かい要項がびっしり書かれていて、読むだけでヘトヘトになってしまう。「コープ」も、「コンドミニアム」ほどではないものの、手続きに手間を要する。ということで、私たちはなるべくならば手続きが複雑ではない「賃貸アパート」を希望している。

コロナ下、郊外の学校が定員オーバーに

コロナ下で随分、住宅事情も変わっているようだ。一昨年の春頃、NY市はコロナ感染者が1日1万人近くに上り、緊急事態宣言下だった。開いているのはスーパー、薬局、郵便局、銀行とテイクアウトのお店のみ。私も、家から出るのは、週1回の食料の買い出しだけだった。ステイホームでリモートで仕事をするニューヨーカーの多くは、都心に住む必要性を感じず、マンハッタンから車で2、3時間ほどのニューヨーク州の郊外やフロリダなどに物件を求め、現物を見ることなく契約が成立、飛ぶように売れているという話を見聞きしていた。

フロリダ在住の友人からは「ニューヨーカーが大挙して引っ越ししてきて、地元の学校が定員オーバーになっている」なんて話も聞いた。私の周りでも、近郊のペンシルベニア州やニューヨーク州の郊外に別荘を購入し、犬も飼って、コロナ禍はずっと別宅で過ごしていたというアメリカ人が大勢いた。すると、市内の物件は15%ほど値段が下がり、もう少し広めのマンションに、と引っ越しした友人も出てきた。

あれから1年半ほど経った今はどのような状況かというと、再び、人の流れが都心へと戻ってきていることを実感する。一時、私たち家族以外誰もいなくなってしまったアパートの同じフロアの住民も、みな戻ってきたようだ。さらに、新しく物件を探し始めたものの、内覧をして、検討している間に借り手がついてしまって、今のところまだ引っ越し先は決まっていない。

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NYの大型のアパートにはドアマンがいるところが多い。昼間はドアの開け閉めから宅配荷物の受け取り、夜中は不審者が入ってこないように警備してくれる。これまでホテルでしか経験したことがなかったが、屈強なドアマンたちがいてくれることで安心感がある

それでなくても高額なNYの賃貸料。NYの相場は、東京の2倍とのこと。洗濯機があって、願わくば浴槽もついていると最高、なんて欲を言ったらキリが無いが、この値段を払うならせめてこれだけは、となかなか1歩が踏み出せないでいる。どこかに良い物件がないかな〜。気長に、でも真剣に探すことにしよう。

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