野村友里さん×UAさん対談 年を重ねた今が楽しい

人生半世紀「すごく楽しくなる?」
――吉田さんが「自分の道が見えてきた」と表現した年齢を、野村さんは昨年迎え、UAさんは今年迎えます。野村さんは往復書簡で「半世紀誕生祭」と表現していますが、迎えた今、何を感じますか?
野村:うちは幸い両親がまだ元気なんだけど、それでもその姿を見ていると、時間はもちろん色んなことが「有限」なんだと伝わってきて。それを感じるようになったのは、私自身が半世紀を迎えたからかもしれない。
そして、さっきうーこが「自力と他力」って言ったけど、色んな人のサポートがあるからあれこれ挑戦できているとも。産んでくれた親に対してはもちろん、大切な人には生きている間に「ありがとう」を伝えたいと、「半世紀誕生祭」は家族も友達もまぜこぜに集まりお祝いしてもらいました。すごくいい時間でしたね。

UA:私は正直まだあまりピンときてないけど……。でも、友里が「有限」と言うように、体力とか集中力のサイズは見えてきたかな。
野村:若いときみたいに朝までガンガン仕事したり飲んだりはできなくなったよね(笑)。
UA:うわさによると「50代はすごく楽しくなる」って。どう?
野村:私も聞いた! まだ50代初心者だからよくわからないけど、以前は「楽しいか、楽しくないか」という感覚で優先順位を決めてたものの、最近は「今の私の体で、いける? いけない?」みたいな。気持ちのワクワクより体のワクワクを優先してみたりして。そんな風に自分の体をおもしろがれたらいいな。だって、ボディーが一番のバディだから。
UA:いいね。ボディーがバディ、yeah!(笑)
何かをやると次の波が来る、それに乗る
――新しい年、どんな風景が見えていますか?
UA:デビュー25周年からすでに2年ほど過ぎてしまったのですが、今年ようやくアニバーサリーのソロアルバムをリリースします。50歳にかけたつもりはなかったんだけど、いみじくもそのタイミングになった。感謝の気持ちを込めて届けたいし、聴く人の反響も楽しみです。それが私の「半世紀誕生祭」になるのかな、とも思いますね。
ツアーも始まります。初の試みは、シングル曲のオンパレードというセットリスト。今のバンドのサウンドでリアレンジして届けたい。パンデミックが終息しない中、子育てや生活の拠点であるカナダとの行ったり来たりは大変だけど、自分の内側を見つめ、整えていく時間だと捉えて大切に過ごしたいですね。

野村:私は基本的に新しい年だからと予定や計画を立てることはないので、今年も粛々と。何かをやると次の波が来る、それに乗る――。その繰り返しですね。レストラン「eatrip」は10年目、「土」を店名に冠した食材店「eatrip soil」もあり、自分の拠点をどうしていこうかなという試行錯誤は常にあるかな。
世の中を見ると、コロナの影響もあって家で料理をする時間が増え、口にするものをより意識する人が増えたように感じます。一方では食材の危機が問題になっている。大きなことを言ってもなかなか変わらないけれど、一人一人が土に触れ、少しでも自分が食べるものを作ることを始めたらずいぶん変わってくるんじゃないかな。できることはいっぱいあると思っています。
(文・中津海麻子)
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