不条理とのつきあい方
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そもそも、本は何のために読むのでしょうか?

古典は語る「年月を経ても人の本質はあまり変わらない」

今、あなたに起きていることは、たいていは過去に誰かが感じたことであり、誰かが考え抜いた後のことです。シェークスピアによって記された「オセロー」は人々の出世や名誉欲、嫉妬、疑念、後悔が盛りだくさんに描かれています。年月を経ても人の本質はあまり変わらないことを古典は教えてくれます。

ビジネスパーソンとして日々忙しく、ビジネス書以外は読んでいる暇がないというのであれば、ビジネスコンサルタントの本の読み方をご紹介しましょう。

コンサルタントが1週間後に自分の知見のない産業界について、経営者にその業界構造の変化と事業機会について提案しないといけないとなった際には、まずはその業界について書かれた代表的な本を10冊は読みます。その中には業界について書いたノンフィクションや業界の歴史が入っていても良いでしょう。業界の歴史的変遷を知ることは極めて重要です。「なぜこの業界は今の姿になったのか?」は重要な問いなのです。

業界の見方についても、本流の考え方、亜流の考え方を整理し、構造化していきます。その際にどうしても物量と体系化は必要であり、10冊以上の読書が必要になります。書物をあたることで体系化された、業界に対する仮説が自分の中にないと全体を捉えることができません。体系化されていないうちから、インターネットで検索した断片的情報だけを集めると全体が見えないのです。

そもそも、本は何のために読むのでしょうか?
インターネットで検索した断片的情報だけを集めると全体が見えない 写真=utah778/Getty Images

まずは全体を捉えた上で補完するデータや情報を検索していきます。その際のデータは引用ではなく、原典にあたるようにします。また、ビジネスにおいて業界構造を知る際には、できれば英語の文献も同じように読んでおくべきです。英語で文献にあたることが出来れば、情報量が飛躍的に増えます。

こうした構造化のプロセスは、普段から長文を読むことに慣れていないとなかなか難しいものです。ツイッターなどのSNSでコメントを見ていると、元の記事の読解自体が間違っているのでは、と感じることが多いと思いますが、「流れてきたもの」だけを追っていると、理解力が養えません。人生のどこかでは、一つの書物、書き手に向き合う時間が必要です。

自分の考えを持つのには「読んで体系化」の訓練を

お伝えしたものはコンサルタントが業界を見る際の初歩ですが、これは転職や株式投資を考える際にも役立ちます。そして「読んで体系化する」という訓練がされていれば、批判的に事象を分析することができて、フェイクニュースや陰謀論にも惑わされることなく、自分の考えを持つことができるようになります。

普段は全く感じないことですが、日本はどんな本でも時の権力者によって隠されることもなく自由に読むことができる国です。世界にはそういう国ばかりではありません。また、海外の大著が翻訳されることも早く、母国語(日本語)で世界トップの知性に触れることができます。

最後におすすめの本についてですが、どんな本でもコスパが良過ぎるのでおすすめですが、何か1冊というのであれば、『いつまでも、いつまでもお元気で―特攻隊員たちが遺した最後の言葉(知覧特攻平和会館)』のご一読をおすすめします。もっと生きたかっただろうに、もっと学びたかっただろうに、と思います。

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