(145) キツネの面、粋にかぶったこの人は 永瀬正敏が撮った京都
国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は京都の祇園祭で撮った一枚。人の流れに身を任せ、ふと顔を上げた永瀬さんの目に入ったのは……。

目に飛び込んできたのはキツネのお面。
人の流れに身を委ねながら歩いていた京都の街。
祇園祭に沸くこの日は歩行者天国だった。
一度は訪れてみたい祭りの一つだったので、
僕は何日も通い、写真を撮り続けた。
途中、すごい機材をいくつも持つ、
アマチュアカメラマンの先輩たちと仲良くなり、
いろんな撮影スポットや、タイミングを教えていただいた。
なので、あの年の祇園祭の写真は大量にある。
流れに身を任せて歩いていた僕がふっと顔を上げると、
目の前にキツネのお面があった。
きちんと浴衣を着て、下駄を履き、
お面を頭の後ろに付けた粋な人は海外の方だった。
もちろん京都には世界中からたくさんの観光客の方がいらっしゃる。
でも僕は、海外の方が身なりからすべてこの祭りに合わせて楽しんでいる姿が、
なんだかうれしかった。
海外でアニメや音楽、小説、絵画といった日本のカルチャーと遭遇した時も、
思わずうれしくなり、それらを生み出した方々に感謝し、誇りに思う。
祇園祭の歩行者天国を粋に歩く外国の方……。
シャッターを切らない選択肢は、
僕の中で皆無だった。
キツネのお面、本当に目に飛び込んできますね。
しかも、海外の方が付けているのが、何となく粋な気がします。
日本の文化が海外で人気があるのは嬉しいです。
写真を撮ることを心から愛してる人の前には写真の神様が素敵なシャッターチャンスをくれるんだなぁ~と、今回も…ここ最近の連載写真からも…思いました。
『キツネ』が、何を意味するのか、
知りたくなりました。