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誰もが安心して運転を続けられる未来へ マツダ「Co-Pilot」にかける期待 

運転をしていると認知症のリスクが減る。そう主張するマツダは、いつまでも安全・安心な気持ちでドライブが続けられるようにと、安全支援システム「Co-Pilot(コパイロット)コンセプト」を発表した。

興味深いのはマツダの独自性が色濃く出ていること。「多くの自動車メーカーは“機械中心”の自動化に向かっているが、マツダは“人間中心”の自動運転技術」として開発を進めている、と同社。スローガンとして「Be a driver.」を掲げるだけある、と私は思った次第。

車載カメラによってドライバーの頭部の動きを3軸で見て、正常か異常か、車載コンピューターがつねにモニタリングする
車載カメラによってドライバーの頭部の動きを3軸で見て、正常か異常か、車載コンピューターがつねにモニタリングする

クルマに乗るのは、健康にとっていいこと、とマツダはいう。「運転をしていた高齢者は運転をしていなかった高齢者と比べ、 認知症のリスクが37パーセント減少」という国立研究開発法人国立長寿医療研究センターのデータを引用し、若いひとも年とったひとも、運転を安心して続けられることが、自動運転の目標、とうたうのだ。

じゃ、Co-Pilotってなんだろう。一般的には、航空機で操縦士をアシストする副操縦士のことだ。マツダのCo-Pilotコンセプトは、ドライバーのコパイロットとして、コンピューターによる運転サポートシステムをそなえるというもの。

「万が一のミスや(ドライバーが)運転出来ないと判断した場合にはクルマ(車載コンピューター)が(操縦システムを)オーバーライドし、周囲を含め安全な状態を確保する」。マツダではそう説明する。

ドライバーの様子を常時モニター。ステアリングホイールを動かすのがその人の普段の操作から逸脱していないか、をはじめ、カメラを使って、頭部の動きが異常な振動パターンに変化していないか、それに視線が特定の箇所への偏りが生じていないか、などを検知。異常かどうか、判断のパラメーターとする。

ステアリングホイールの操舵をはじめ、視線や頭部の動きに異常が出て続けると車両が自動停止モードに入る
ステアリングホイールの操舵(そうだ)をはじめ、視線や頭部の動きに異常が出続けると車両が自動停止モードに入る

実際に、私は2021年12月、「Co-Pilotコンセプト」を体験する機会にめぐまれた。このシステムを搭載したマツダ3に試乗した場所は、東京・台場。

一般的には公道上で、ドライバーが意識喪失したなどというテストは許可されないと思うけれど、台場では自動運転の実証実験が行われているので、「Co-Pilot」のデモンストレーションもそこに含まれると、許可が出たそうだ。

テスト車両に乗りこんで、車内を見渡しても、拍子抜けするぐらい、よく知るマツダ3と変わりがない。ただし、ダッシュボード中央の、通常ナビゲーションなどのいわゆるインフォテインメントシステム用モニターの片隅に、小さなカメラが見つかった。それでドライバーをモニターするそうだ。

テスト走行のドライバー役はマツダの開発者。走りだしてから途中で、意識喪失状態を演じてくれる。「ではいきますよ」と、同乗した私にまず声をかけてくれた。さすがに突然バタンッでは、私だって、そうとう焦ったはずだ。

「Co-Pilotコンセプト」なので、いろいろな動作が組み込まれている
「Co-Pilotコンセプト」なので、いろいろな動作が組み込まれている

ドライバーが倒れると(今回は道交法の関係もあって“倒れる”想定で、実際は起動ボタンを押した)、モニターにアラートが出る。ドライバーの目線がとらえられなくなったのと、頭部が異常な動きをしたのとをカメラで認識する。加えて、ステアリングホイール操作に異常が起きたのも、車両が検知するのだ。

アラートを無視していると(実際は“無視”でなくからだの異常なのでその状態が続く)、コンピューターが車両のコントロールを引き受け、モニターに表示が表れる。そして減速しつつ、自動操舵(そうだ)システムが働き、車両をゆっくりと路肩に寄せていき、最終的には停止。

Co-Pilotのシステムが働きだすと、ハザードランプが点灯。かつ、ホーンが断続的に鳴り、周囲の交通に異常を知らせる。接触や衝突事故を回避するためだ。このとき、車両からはドライバーに異変が起きたことをコネクテッドサービスを通じて、マツダが設けたセンターに緊急通報する。

ドライバー役の技術者が倒れたままを演じているあいだ、車両がスムーズに路肩へと寄っていき停車。その様子に、私は感心してしまった。一部で言われるように、ある種の自動運転ととらえることも出来る。

Co-Pilotのシステムが作動すると操舵も自動で行われる
Co-Pilotのシステムが作動すると操舵も自動で行われる

ただし、マツダで統合制御システム開発本部の副部長を務める吉岡透氏によると、「運転の主体はあくまでドライバーで、Co-Pilotは万が一のときにのみ働くシステム」と役割が明確。

このあとも“進化”を続け、まず22年に「Co-Pilot 1.0」を新型車に搭載。そこからラインナップに採用拡大。25年には車線変更や非常停止帯への待避まで自動で行う「Co-Pilot 2.0」への進化が予定されているそう。

このシステム、他の自動車メーカーにも提供する可能性はあるか確認すると、「出来るところがあればやっていくつもり」と吉岡氏は答えてくれた。

テスト車両なので車体各所に周囲の交通をモニターするカメラがそなわっていた
テスト車両なので車体各所に周囲の交通をモニターするカメラがそなわっていた

「他社それぞれ自分たちで独自のシステムを開発しているので、このまま採用する社があるかはわかりませんが、周囲の交通のセンシング技術などは、共同開発していってもいいのでは」。誰もが安心していつまでも運転を続けられるための技術。Co-Pilotに私は期待大である。

写真=マツダ提供

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