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城の起源、弥生時代の環濠集落 吉野ケ里遺跡

吉野ヶ里遺跡の南内郭に復元された物見櫓(やぐら)

日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載「城旅へようこそ」。今回は佐賀県の吉野ケ里(よしのがり)遺跡です。日本の城の起源とされている、堀や冊で囲まれた環濠(かんごう)集落の一つです。

【動画】吉野ケ里遺跡を歩く

軍事施設の機能も持つ環濠集落

城の始まりは、弥生時代(紀元前5世紀〜紀元後3世紀)までさかのぼる。といっても、一般的にイメージされる、絢爛(けんらん)豪華な天守がそびえ立つ城ではない。

城は、社会の変化とともに姿を変え、立地や規模、役割も変化する。時代によって比重は異なるが、共通していえるのは、軍事施設であり政庁であること。弥生時代の「環濠集落」は軍事施設としての機能が見られることから、城の起源とされている。

環濠集落とは、堀、土塁、柵で囲まれた大規模な集落のことだ。生活空間を守るための工夫から発生したようで、はじめは害獣から集落を守るべくつくられたとみられる。弥生時代の中頃から後半になると、より防御性の高い大規模な環濠集落が登場。稲作が始まり定住の文化が根付いたことで、集落が巨大化。それにともない、環濠集落も発達したのだろう。

国内最大級の弥生遺跡、吉野ケ里

吉野ケ里遺跡は、発展を遂げた大規模な環濠集落の代表例だ。佐賀県の脊振(せふり)山地南麓(なんろく)からのびる丘陵上にある、日本最大級の弥生遺跡である。

1986(昭和61)年度から3年間で約30ヘクタールの範囲が発掘され、弥生時代前期(紀元前5世紀~紀元前2世紀)から弥生時代後期(1~3世紀)まで、規模を拡大しながら大規模な環濠集落へ発展したことが判明している。

弥生時代前期には小規模な集落(ムラ)だったが、弥生時代後期には最盛期を迎え、外環壕(吉野ケ里遺跡では水を張った形跡がないため「壕」の字を用いる)で囲まれた大規模な集落の集合(クニ)が成立。約700年間続いた弥生時代のすべての時期の遺物・遺構が確認され、それぞれの時期の特徴が明らかになっている。当時の社会の変化を知ることができる貴重な遺跡として、学術的価値が高い。

延長2.5キロの環壕 最盛期の姿を復元

復元整備されている環濠
復元整備されている環壕

集落を囲む推定延長約2.5キロの環壕は、最大で幅6.5メートル、深さは3.3メートルあったという。「魏志倭人伝」に記載された邪馬台国を想起させる遺跡として、現在は紀元3世紀頃の最盛期の姿を吉野ケ里歴史公園として復元整備。公園の総面積は117ヘクタールに及ぶ。

歴史公園センターのある東口から入ってすぐ、西側に広がる巨大環壕集落が復元された環壕集落ゾーンが、おもな見学スポットだ。南内郭、北内郭、中のムラ、南のムラ、北墳丘墓などが復元されている。

支配者たちの生活空間「南内郭」

復元された南内郭
復元された南内郭

「南内郭」は、集落を支配していた支配者たちの生活空間を再現した区画だ。紀元前1世紀頃に外壕が掘られた大規模な環壕集落として成立し、2世紀頃に内壕が掘られて南内郭ができたとみられる。南内郭には物見櫓(やぐら)4棟、竪穴住居11棟など20棟の建物が復元されている。物見櫓からは背振山系などを背景にした広大な遺跡を一望でき、長大な外壕と柵に囲まれた空間であることがよくわかる。

南内郭の環壕と物見櫓
南内郭の環壕と物見櫓

一般人の生活エリア「南のムラ」

物見櫓から南方向に見下ろせる「南のムラ」は、一般の人々が住んでいたと考えられる区域だ。高床建物や竪穴住居など、27棟の建物が復元されている。西側に広がる「倉と市」は、クニの倉庫群や市が開かれていた跡だ。

南内郭の物見櫓から見る、南のムラ
南内郭の物見櫓から見る、南のムラ
南内郭の物見櫓から見る、倉と市
南内郭の物見櫓から見る、倉と市
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