日本一行きにくい岬?! 北海道・知床岬への過酷トレッキング
ドローンによる空中撮影から水中での撮影まで、ひとひねりした視点の写真を得意とする写真家、野見山大地さんの連載「上から撮るか、下から撮るか」。今回は北海道の知床半島です。道なき道を行く知床岬への過酷なトレッキングを体験したそうですが、どんなものだったのでしょうか。
【動画】知床岬を空から
アイヌ語で「大地の突端」を意味するシリエトクが語源とされる知床は、北海道東部に位置している半島です。厳しい自然環境、手付かずの大自然と野生動物の宝庫で、日本最後の秘境と呼ぶにふさわしい場所です。2005年には世界自然遺産に登録され国内外から多くの観光客が訪れます。
道は半島の途中まで、そこからは歩くかシーカヤック
日本にある多くの岬は車か徒歩で容易にアクセスできますが、知床半島の先端にある知床岬は違います。自然環境の厳しさや自然保護などから道路が半島の途中までしかなく、その先は海岸を歩くかシーカヤックで進むしかありません(動力船での上陸禁止)。日本一行くことが難しい岬とも言われます。

知床岬へのトレッキングは、半島南側の羅臼回りが一般的です。車で行かれるのは、道道87号が行き止まりとなる羅臼町の相泊橋まで。そこからは最低2泊3日かけて、徒歩で往還するのが一般的です。

私も2泊3日で行きましたが、あまりの過酷さに途中で音を上げそうになり、友人と励まし合ってなんとかたどり着きました。

しかし、知床岬で手付かずの大自然を目にした時の達成感は、ほかでは味わったことがないものでした。大自然に触れながら道なき道を進み、自分がいかに小さな存在か改めて知ることができる、日本では数少ない場所だと感じました。

トレッキングは高い技術とクマ対策必須
【動画】知床岬への道
知床岬トレッキングは、手軽にはできません。専門知識をもったベテラン同士で行くことを強くお勧めします。

相泊から先は携帯電話が通じませんでした。食料、水、テントを持参しなければなりません。付近は世界有数のヒグマ生息地で昼夜問わず遭遇の可能性があります。私たちもヒグマなどに数回遭遇し、10mほどの距離まで近づかれたこともありました。クマスプレーやフードコンテナなどクマ対策は必須です。

海岸線を歩くので、潮の満ち引きに合わせて行動することが必要です。途中、波にさらわれ人が亡くなった危険なポイントもあります。

また、崖を何回も越えなくてはいけないので、高捲(たかま)きのような登山技術も必要です。私たちは装備と食料を詰めた70リットル級のバックパックを背負いトレッキングしました。


知床岬を手軽に見たい方は、このあと紹介する半島北側の観光拠点・斜里町ウトロ地区から、観光船に乗って見にいくことができます。
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