健康や幸福を願う季節 いつかは体験したい香港の旧正月

香港の旧正月は、平和や繁栄、健康や幸福を願う気分に満ちた季節。旧暦の1月1日(2022年は2月1日)を中心にお祝い事が続き、現地ではむしろこちらがお正月の本番です。ビクトリア公園のにぎやかな花市(フラワーマーケット)を訪れる、車公廟(Che Kung Temple)や黄大仙(Wong Tai Sin Temple)にお参りをしてカラフルな風車を購入する、というのが伝統的なスタイルですが、それだけではありません。香港に住む人々の、思い入れたっぷりの過ごし方を紹介しましょう。寺院へのオンライン参拝など、コロナ禍でも安心してお祈りできる試みも登場しています。
夕食に縁起物のエビ、満開のウメは恋愛運上昇の好機
カナダに生まれ、香港の現地ツアー会社「Humid With A Chance Of Fishballs Tours」を創設したヴァージニア・チャン(Virginia Chan)さんは、幼い頃、旧正月には家族全員で特別な夕食を食べ、その中には必ずエビが含まれていました。広東語でエビは“ha”と発音し、笑い声に似ているため幸福を呼ぶと信じられている――。そんな由来を、チャンさんは香港に移住して知ったそうです。

香港に移住後は、旧正月の初日に赤い服と赤い下着を新調しています。また、祖母やおばと外出時に満開の梅があると、必ず時計回りに3回走ることになるそうです。その年の恋愛運が高まるとされているからです。
「健康・富・家族の団結」意味する竹やスイセン
「Children’s Medical Foundation」(児童医療財団)の最高経営責任者(CEO)であるエステッラ・ファン・ルン(Estella Huang Lung)さん一家は毎年、旺角(モンコック)の花市を訪れ、健康、富、家族の団結を意味する竹やスイセンを買うそうです。また、「幸運」のエネルギーを呼び込むために、伝統的な習慣にならって、赤い提灯(ちょうちん)を自宅に飾ります。

富と繁栄をもたらすミカンとキンカン

デザイン雑貨ブランド「The Lion Rock Press」創設者のクレア・イェーツ(Claire Yates)さんは、旧正月が一年で最も好きな時期で、とても大切にしています。この時期は祖母から受け継いだ、木から落ちた花を掃かないといった過ごし方を守って日々を送るのです。

イェーツさんの玄関先には、かわいらしいミカンの木があります。ミカンとキンカンの木は富と繁栄をもたらすとされているのです。
定番の賄い「旧正月幸運メニュー」は、カニとカニみその卵麺

五つ星ホテル「マンダリンオリエンタル香港」の中国レストラン「文華」(Man Wah)のエグゼクティブ・チャイニーズシェフ黄永強(Wong Wing-keung)さんは、「幸運を呼ぶ」定番の賄い料理として、縁起が良いとされるカニとカニみその卵麺を旧正月の初日にスタッフに用意させます。ほかに旧正月のオススメといえば野菜と豆腐乳の煮込み。野菜は心身を浄化するとされているからです。

黄さんは旧正月を迎える前に、家の隅々まで掃除をします。清潔で新鮮な気持ちで新年を迎えるためです。また、この時期に髪を切ったり靴を買ったりはしないそうです。運気が下がるとされているからです。
お年玉「利是」の用意と赤い服
子供用の靴ブランド「Pepper & Mint」の創設者で、子供向けの本の出版社「 Mini Love Tales」を経営するコニー・ウォン(Conny Wong)さんは、旧正月前に銀行で新札を手に入れ、日本のお年玉にあたる「利是」(ライシー)」を用意します。家族、友人、子供や従業員に配り、幸運を授けるという意味があります。

そして、旧正月の初日には、赤を基調とした服を着ます。昔から、赤には悪い運気を追い払う力があると言われるためです。
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どの国もお正月は縁起物を飾ったり食べたりするのですね。海外で年末年始を過ごしてみると、きっといろんな発見があって楽しいでしょうね!