国境なき衣食住
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寝る前に見るお笑い動画が明日の活力に 紛争地での通信事情 

2011年のパキスタン派遣時、宿舎内での腕相撲大会。前列右が白川さん© MSF 

お笑い動画で心身ともにリセット

私個人としては、それまでWi-Fiがなかったからといって、活動中に不便を感じた事は特にない。しかし人間とは現金なもので、あるとわかれば慣れてしまうものだ。今では派遣先に到着すると、早く自分のスマートフォンをWi-Fiにつなげたくてうずうずしてしまう。現地で迎えてくれる側のスタッフもまずはWi-Fiのパスワードから案内するというのも慣例になってきた。「時代は変わったなぁ」と痛感する。

Wi-Fiが派遣生活の一部となったことで、何が変わったかというと、日本のお笑いが紛争地での心の支えになったことだ。MSFの活動地では、母国語ではない言語を一日中使いながら、手術室で途切れる事のない緊急案件に対応する。やはり精神的にも身体的にもくたくたになってしまうのだが、寝る前に少しでも日本のお笑い動画を見て笑うだけで心身ともにリセットでき、良い眠りにつくことができる。Wi-Fiが使えたシリア、イエメン、アフガニスタンでは、お笑い動画を見ることが、明日の活力につながった。

現地で妻に宛てた手紙よりも先に帰国した外科医

世界中に何百もの活動地がある中で、インターネットが通じない場所もあるには違いない。かつてはそれが当たり前であったものの、今では「外れくじ」のようになってきた。しかし、Wi-Fiがなければないで、チーム内の交流の機会が増え、関係がより密となってそれはまた別格の素晴らしい経験になり得るだろう。それはMSF派遣の醍醐(だいご)味でもあり、私にとっては宝だ。

寝る前に見るお笑い動画が明日の活力に 紛争地での通信事情 
2010年、スリランカ。夜はたいてい、みんなでおしゃべりに花が咲いた© MSF

2010年のスリランカに話は戻る。いつものようにみんなでガーデンに集まり、お茶を片手にとりとめのない話が交差していた夜、孫もいるというドイツから来た外科医が、派遣先から妻に手紙を出したエピソードについて話してくれた。

彼が帰国してみるとその手紙は届いておらず、「手紙も出してくれないなんて」と怒る妻をなだめる羽目になってしまったのだという。おかしいなぁと思いながらもその後、もうすっかり忘れた頃にその手紙がひょっこり届いたのだとか。

星空の下、みんなでおなかを抱えながら笑った。彼は今ではWi-Fiを使って妻と連絡を取っているのだろうか。

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