〈239〉家作りの新しい視点、眺めがいい家に注目! 窓を生かして明るく

施主(40代)
東京都 / 築37年 / 50.03㎡
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コロナ禍で暮らしが変わり、住まいに求められるものも変わってきました。今回は、今まであまりピックアップしてこなかった、眺望に関する事例です。「眺めがいい家」は憧れではあるけれど、特に、都心に住む場合は、後回しになりがちなことでした。でも、家で過ごす時間が長くなり、「窓からの眺めがいい家に住みたい」というニーズが少しずつ増えてきました。
今回の施主さんも「家でゆっくりくつろぎたいので、落ち着いた環境の眺めがいい家に住みたい」と希望されました。ただ、仕事が忙しいこともあり職場に近い、便利な地域からは離れられないとのこと。
都心では見つけにくいのですが、諦めずに探したら、そんな物件がありました! 駅からも近いのに、スポット的に静かな場所です。マンションの6階で、大きな窓がありました。ただ、最寄り駅の騒々しさは好きではなかったようですが、そこは目をつぶることにしたそうです。
リノベーション前は、せっかく大きな窓が2面ある空間なのに、壁で遮られて全体的に暗い残念な間取りでした。そこで、LDKをメインにした、1LDKの間取りに全面リノベーション。どこにいても窓からの風景が見えるので、開放感があるLDKになりました。

キッチンは壁付けにし、大きめのソファやダイニングテーブル、家具を置いても窮屈に感じません。LDKでのんびり過ごす時間がお気に入りだそうです。
全体の広さは50.03㎡とコンパクトですが、空間を有効活用して必要な場所はしっかり確保しています。身支度しやすいように洗面室は広くし、ランドリールームを別に設けたり、動線を考えて洗面室の近くに、大きめのウォークインクローゼットを設けたりするなど、暮らしやすさを考えました。
さらに、家の真ん中付近にある洗面室とLDKの間仕切り壁の上部を、明かり取りになるように隙間を開けたら、家全体が明るくなりました。窓から遠く薄暗かった玄関にも、光が回るようになりました。

インテリアは、シンプルだけど程よくアクセントになるものを加えています。ウォークインクローゼットの壁はLDKにも面しているのですが、薄いブルーでペインティング。寒色なので圧迫感がなく、LDKを落ち着いた雰囲気にしてくれています。
一方で、光が届きにくいトイレは、ドアを黄色にして明るく。暖色は空間を狭く見せることもあるので、ポイント的に少しだけ使っています。そして、洗面室の壁には、ブルーのタイルを貼ってモザイク風に仕上げました。清潔感があって、身支度が楽しくなるようなおしゃれ感もあります。
眺めがいい家は、想像以上に、家で過ごす時間を快適にしてくれているようです。もちろん、難しい条件ではありますが、これからの家作りの新しい視点になってくると思います。
間取りとリノベーションの写真(写真をクリックすると、次々とご覧いただけます)
施主さんに聞く
リノベーションQ&A
Q1 リノベーションをして、生活が変わりましたか?
今までは賃貸に住んでいたので、無駄なスペースがあったり、逆に必要なスペースが狭かったりということがありました。でも、新しい家はフルリノベーションしたので、 スペースを最大限有効に利用して快適な空間作りができました。

Q2 家の中でどんなことをしている時間がお気に入りですか?
リビングでのんびりしている時間がお気に入りです。LDKが広々とした空間になったので、ほとんどここにいます。飾り棚にお気に入りのものを飾るのも楽しいですね。
窓からの抜けるような景色を眺めるのは、リラックスできます。景色の良い窓に面してリビングを設置してよかったです。
構成・大橋史子