京都ゆるり休日さんぽ
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青空がピンク色にかすむ 洛北の秘密の花園「原谷苑」

知る人ぞ知る桜の名所、北区の「原谷苑(はらだにえん)」=2021年4月3日撮影

どこを見渡しても花・花・花。京都の人でも知る人ぞ知る桜の名所が、洛北の山あいにあります。北区の「原谷苑(はらだにえん)」は春と秋にだけ開園する、村岩農園所有の庭園。紅枝垂れ桜をはじめ、さまざまな珍しい品種の桜、ユキヤナギやヤマブキなど、季節を追うごとに次々と春の花が咲き継ぐ風景は、まさに百花繚乱(りょうらん)です。今年は3月26日から4月24日まで開園の予定です。

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

一重と八重の紅枝垂れ桜、春の花が次々と

約4000坪の敷地に、さまざまな品種の桜や春の花が咲き誇る=2021年4月3日撮影
約4000坪の敷地に、さまざまな品種の桜や春の花が咲き誇る=2021年4月3日撮影

「原谷苑では青空がピンク色に見える」。3月下旬に一重の枝垂れ桜、4月初旬には八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)が開花する「原谷苑」。両方の桜の開花時期が重なり、視界が桜でうめつくされる園の様子は、誰からともなくそう例えられるようになりました。

枝垂れ桜がシャワーのように園内を包む=2021年4月3日撮影
枝垂れ桜がシャワーのように園内を包む=2021年4月3日撮影

市中の桜が散りはじめても、「原谷苑」の見頃はまだまだこれから。シャラシャラと繊細な枝を揺らす一重と、豊かな紅色の花びらが愛らしい八重の枝垂れ桜、そこに散りゆくソメイヨシノや咲きはじめの山桜などが重なると、空の青さえもかすんで見えるほどの桜の絶景が広がります。

園内にはベンチや桟敷席が各所に。苗木の販売も=2021年4月3日撮影
園内にはベンチや桟敷席が各所に。苗木の販売も=2021年4月3日撮影

「全部がうまいこと咲く時期が重なるのはほんまに一瞬。年によって天候も花付きも違うしね。だから桜だけじゃなく色んな花を植えて、いつ来てもらっても何かしらの花が咲いているようにしてるんです」

桜から足元に視線を落としても花ざかりの景色を楽しめるよう、低木の花もたっぷりと植えられている=2021年4月3日撮影
桜から足元に視線を落としても花ざかりの景色を楽しめるよう、低木の花もたっぷりと植えられている=2021年4月3日撮影

そう話す、村岩農園の4代目・村瀬浩司さん。現在の「原谷苑」は、祖父が当時の「原谷開拓団」から依頼を受け、作物の育たない痩せ地を開墾し、桜や紅葉など数十種類の樹木を植樹したことが出発点だといいます。北山台杉(北山杉)をはじめさまざまな樹木を扱うなか、一般の人にも花や木を楽しんでもらえたらと始めた桜苑が口コミで広まり、桜の穴場スポットとして知られるようになりました。

「来年も咲くように」 桃源郷を守る人々

山の斜面に作られた桜苑は、高いところから見下ろすと一面の桜色に=2021年4月3日撮影
山の斜面に作られた桜苑は、高いところから見下ろすと一面の桜色に=2021年4月3日撮影

各地で名木と称される桜には樹齢百年を超えるような木も多くありますが、桜の木の寿命としては「60年ほど」と村瀬さんは話します。

「一時は半分枯れてしまって、平成に入ってからかなり植え替えました。今も、老木になった木は剪定(せんてい)して。樹形が変わってしまったものも多いけど、八重紅枝垂も老木ながらがんばって咲いてくれています」(村瀬さん)

老木が多くなった八重紅枝垂も、村瀬さんはじめスタッフがていねいに手入れする=2021年4月3日撮影
老木が多くなった八重紅枝垂も、村瀬さんはじめスタッフがていねいに手入れする=2021年4月3日撮影

くる年もくる年も、春になると桜が花を咲かせることは、当たり前ではありません。「踏まれると土が弱るから」と散策路を分け、たくさんの支柱で木を支え、古くなった枝を剪定し……。秘密の花園が花園であり続けるのは、日々、木や花の様子を観察しながら手をかけているからこそ。どれだけ手間をかけても、結果が返ってくるのは1年後、10年後、もっと先かもしれないのです。

小みちの脇にはユキヤナギやヤマブキがたわわに咲き、散策が楽しい=2021年4月3日撮影
小みちの脇にはユキヤナギやヤマブキが咲き、散策が楽しい=2021年4月3日撮影
4〜5月に咲くリキュウバイ(利久梅)。去りゆく季節とこれから訪れる季節が共存する景色も山ならでは=2021年4月3日撮影
4〜5月に咲くリキュウバイ(利久梅)。去りゆく季節とこれから訪れる季節が共存する景色も山ならでは=2021年4月3日撮影

花と木に囲まれた小みち。枝垂れ桜の枝から枝へとチョウが舞い、ウグイスの鳴き声が響きます。のどかな里山の春をひとところに集めたような「原谷苑」の春季一般公開。密を避け、山の空気を深呼吸する心地よいお花見を楽しんでみてはいかがでしょう。そしてひと時、花にあふれた桃源郷を守る人々に思いをはせてみてください。

■ 原谷苑 http://www.haradanien.com/
*2022年春の一般公開 3月26日(土)〜4月24日(日)。花の散り具合により前後する場合あり。4月2日(土)〜10日(日)は「わら天神」前よりシャトルバス運行予定。詳細はHPにて要確認

フォトギャラリー(クリックすると、写真を次々とご覧いただけます)

BOOK

青空がピンク色にかすむ 洛北の秘密の花園「原谷苑」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&Travelの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

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