明石海峡をにらむ二つの三重櫓の威容 明石城

長さ380m、高さ20mの見事な石垣
見事な本丸南側の石垣は、東の丸から稲荷曲輪までを含めると約380メートルに及ぶ。高さは、三の丸から櫓台下の帯曲輪まで約5メートル、そこから約15メートルあり、合計すると約20メートルある。台地の先端部となる本丸、稲荷曲輪、二の丸、東の丸の南辺は創建時からすでに高石垣が積まれていたようだ。

色の違う石が混ざっているのは、積まれた時期が違うからだ。櫓台や積み足された乾櫓(いぬいやぐら)の東南隅、石垣の天端(最上部)付近などにやや黄色っぽい竜山石(凝灰岩)が集中することから、修復時にはこの石を用いたと推察される。花崗岩(かこうがん)は、築城時に用いられたようだ。
本丸と二の丸は巨大な堀切で分断され、削平した地面の両脇が石垣で固められている。坤櫓下の圧巻の高石垣、二の丸への虎口と番ノ門の外枡形、二の丸とをつなぐ土橋が重なり、迫力ある高石垣が堪能できる。
本丸北側の石垣 桜堀とセットで強靱な防御
本丸の北側も見逃せない。本丸と二の丸間の堀切を北側に降りていくと、桜堀に着く。このあたりから振り返って見上げたときの、本丸北側の石垣が圧巻だ。南側が華やかな表の顔だとすれば、北側は背後を守る剛健な壁といったところ。桜堀とセットで、北側の強靭(きょうじん)な防御線となっている。
南側の三の丸あたりにいると平坦な城に思えるが、城内をくまなく歩けば、台地の複雑な起伏を利用しながら防御性を高めて設計されていることに気づくだろう。本丸北側の高石垣も、地形に沿って巧みに築かれている。北東側が凹んでいるのは鬼門除(よ)けだろうか。

駅前にもかかわらず、明石公園は市民憩いの公園となっていて、とても居心地がいい。のんびりと散歩する老夫婦や元気に走りまわる子供を見ていると、ほのぼのとした気分になる。江戸時代初期に緊張下で築かれた明石城だが、江戸時代中期頃にはこうした平和な光景を見下ろしていた時期もあったのだろうか。地域を400年以上見守ってきた石垣に思いをはせながら、歩く時間がたまらない。
(この項おわり。次回は4月4日に掲載予定です)
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■明石城
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お隣の美術館に行った際、明石城に立ち寄りました。三重櫓がそれほど珍しいものと知らず、さらっと見てしまったので後悔しています…。