濃いブルーに白いトリミングが印象的 手ごろでコンパクトなキャブコン

国産車はベース車両の値上げにより、輸入車もインフレの影響などによって、キャンピングカーの価格は上昇する傾向にあります。また、リチウムイオンバッテリーや車載用エアコンなどの充実した装備は、今や新車には当たり前になりつつあります。取材をしていると、各ビルダーは価格に見合った内容を目指して、企業努力を続けていると感じます。一方で、キャンピングカーショーの会場では「高くなっちゃったなあ……」などという声を耳にすることがあります。
そんな足元の状況ですが、今回は「ジャパンキャンピングカーショー2022」で登場した「Stage21(ステージ21)」(相模原市)の「リゾートデュオ バンビーノ ファミリア L.A」(以下ファミリア L.A)をご紹介します。人気のコンパクトキャブコンで「350万円~」という価格設定です。私はショーの会場で車を見て「バンコン並みのお手ごろな価格だ」と思いました。
ちなみに「ジャパンキャンピングカーショー2022」で展示されていた車両は、プロトタイプでした。細部の仕上げなどに多少粗い部分も見受けられましたが、実際の製品版ではすべて修正されるとのことでした。
普段使いとの兼用もできそうなサイズ感
ベース車はトヨタ・タウンエース。マツダ・ボンゴの生産・販売が完全に終了したいま、コンパクトキャブコンの定番ベース車両になりました。
特徴的なのがシェル(居室部分)の構造です。昨今のキャブコンではFRPを多用したシェルが主流ですが、ファミリア L.Aは、丈夫なガルバリウム鋼板仕上げです。さらに、エンボスラインが入ることで剛性がアップしています。
一方で、ガルバリウム鋼板は曲面をつくりにくい特徴があります。FRP素材のキャンピングカーに見られるような、丸みのあるボディラインにはしにくい素材です。その結果、バンクベッド部分は、直線が基調になっています。本体の居室も四角です。
サイズは、全長4,295mm×全幅1,735mm×全高2,450mm。タウンエースベースの中でも、スリムなサイズ感です。これなら街中での取り回しも良く、駐車場所に困ることも少ないでしょう。普段使いとの兼用も無理なくできそうです。
レイアウトはリアエントランスを採用
濃いブルーに白くトリミングされた外観が印象的です。レトロな雰囲気が漂うデザインだとも思いました。一目で「ファミリア L.A」と認識できる存在感を確立していると思います。
レイアウトは最近の車両には珍しいリアエントランスを採用。その最大のメリットはスペース効率の良さです。脇に出入り口を作らないことで室内空間をより有効に、無駄なく使えるというメリットは魅力的です。

ファミリアL.Aは、限られたスペースをさらに活用するために「対面ダイネットをなくす」という思い切った決断をしました。進行方向に向かって、室内右側には横向き4人掛けのソファを設置。左側は収納兼キッチンカウンターが設置されています。食事をするときにはカウンターの一番上に仕込まれた天板を引き出すとテーブルになる、という仕掛けです。標準的なダイネットがファミレスのボックス席なら、さながら居酒屋のカウンター席のような作りです。

ベッドは4人掛けソファの背もたれマットを展開して196cm×110cmのダブルベッドに。バンクベッドは引き出し式で196cm×160cm。上下合わせて就寝定員は4人です。

電源はポータブル電源(300wインバーター内蔵)を標準装備しています。電気設備は給水ポンプとLED照明だけですから、これで十分だと思います。
居住性を重視したい人向けには、オプションとしてテレビや冷蔵庫、電子レンジ、12Vエアコンが用意されています。その場合は電力を強化するために、105Ah鉛バッテリーや200Ahリチウムイオンバッテリー、ソーラーパネルなどの電源系のアップグレードが不可欠になります。
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