酸味・辛味のとりこ「ポークビンダルー食べる副大統領」(東京・渋谷)

今やレトルトにもなるほど、インド・ゴア地方発祥のカレー、ポークビンダルーの人気も定着したが、私が初めて出会ったのが、「ポークビンダルー食べる副大統領」だ。気になるこの店名は、アメリカ元副大統領のアル・ゴア氏と、発祥の地ゴアを掛けたものだそうだ。
メニューは、「ポークビンダルー」(1000円、税込み)の一択。だから座ると自動的に出てくる。カウンターには、ボウルに山積みのゆで卵と、4種類のオリジナル調味料、インド風薄焼きせんべいのパパドが置かれている。ゆで卵は1個までなら無料なので、遠慮なくむいてカレーにオンしていい。

ポークビンダルー一本で勝負し、ランチタイムともなれば、行列のできる人気店というだけのことはある。抜群にうまい。この独特の酸味がとにかく癖になり、すでに何度も食べに来ているが、飽きることがない。トッピングされたサラダやクスクスを混ぜたり、さらに酸味強めの自家製レモンのアチャールを混ぜたりと、ワンプレートでもいろいろな味が楽しめる。

こちらは代々木公園の人気ポルトガル料理店「クリスチアノ」のオーナーシェフ佐藤幸二さんの店。カレーを考案したのも佐藤さんだ。スパイスは、シンプルに8種類ほどをブレンドしたオリジナル。独特の酸味は、本来はヤシの酢で出すが、なかなか手に入らないため、とがった酸味のない日本の醸造酢で代用している。佐藤さんいわく、味付けは8割にとどめるのが理想。だからこそ、手作りの卓上調味料を置いているのだそう。
私が行った日はニンニクの効いたヨーグルトソースの「ソルティーヨーグル」、豆板醤(トウバンジャン)とキビ糖入りチリソースの「ローリングハリケーンチリペッパー」など4種類。すべて一から考案したものだ。それがなんと今月から五つも増え、今後さらに追加されるとのこと。味変の幅が無限大になりそうだ。

豚肉は特定の銘柄豚をチルドのままで仕入れ、1日発酵させてから使う。そうすることで繊維が壊れて軟らかくなる。自家製アチャールにつかうレモンも生産者から直送。サラダは旬の野菜を8種類ほど、カレーとともにスプーンでそのまま食べられるように小さく刻んでいる。
こだわりを聞けばどんどん出てくるが、「こんなに手を加えていますとは宣伝したくない」。予備知識なしで食べて、おいしさを感じて欲しい。その後で、どうしておいしいのかと興味を持ってくれたら最高にうれしいという。
4月から、有名シェフに期間限定のトッピングを作ってもらうという新企画が進んでいるそうだが、その内容がすごかった。トップバッターはあの自由が丘のリストランテ「モンド」の宮木康彦シェフというのだ。他にも、白金の中華「蓮香」の小山内耕也シェフ、外苑前のベトナム料理「アンディ」の内藤千博シェフなどの登場も予定されているようだが、佐藤シェフの人徳なのだろう。信じられないラインアップだ。

ポークビンダルー食べる副大統領
東京都渋谷区宇田川町41-26 パピエビル204
03-6427-0377
http://www.cristianos.jp/fukudaitouryou/
他にない味わいを経験したい興味に駆られ、独特なオリジナルのスパイスや刻みサラダと重ねて、更には茹で卵のトッピングに想像力が膨らみます。あぁ~早く「とりこ」になってみたい!