会議のチカラ
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「私は聞いていない」 若手・中堅社員が巻き込まれる「報告会議」

変化の激しい時代、仕事の価値を高める会議を実現するには、どうすればいいのでしょうか。「気楽にまじめな話をする」というのがコンセプトの「オフサイトミーティングⓇ」を通して、800社を超える企業の組織風土改革を進めてきたスコラ・コンサルトのメンバーに「会議のチカラ」を最大限発揮するために必要な知恵や考え方をわかりやすく伝授してもらいます。

1回目はスコラ・コンサルト「対話普及チーム」のメンバーである若山修さんが「大企業でケースが多い」と指摘する「報告会議」がテーマです。

若山さんによると、「報告会議」とは「上司が現状を把握したいためだけに開催される会議」。序列の高いランクにいる管理職や役員が「私は聞いていないぞ!」という状況をなくすために開かれ、結果的に部下が創造的な仕事を行う時間を奪います。

報告に時間がとられ、肝心の仕事ができない 

若山さんは組織風土の改革を依頼された企業で、上司が情報を把握したいだけの会議に悩まされている人を多く見かけた。

「おい、あのプロジェクトはどうなっているんだ」と、役員が部長に問いかけると、資料をつくって説明しなければいけなくなる。すると、部長は課長に「あれ、どうなっているのか」と聞き、課長は部下に「あれ、どうなっているのか」と聞く。

「私は聞いていない」 若手・中堅社員が巻き込まれる「報告会議」
上司が情報を把握したいだけの会議に悩まされている社員は少なくないという 写真=Evening_T/Getty Images

問題なのは、主任や係長クラスなど、30代前後の若手や中堅社員の負担が増える構造になっていることだ。若手・中堅社員が課長に状況を説明しても、課長だけでは細かいところを説明できないため、課長といっしょに部長に説明する。部長が役員に説明するときも、若手・中堅社員は課長と同席してフォローをする。結局、3回ほど同じ話につきあわないといけなくなる。こうした「報告の連鎖」に巻き込まれやすい。

「報告ばかりに時間がとられて、肝心の会社が成長するための仕事をする時間が奪われてしまう」とある若手・中堅社員から打ち明けられた若山さん。若手・中堅社員を中心にしたオフサイトミーティングを実施した際に、会議の現状について聞くと、ほとんどの参加者が「ムダが多い」「自分の時間がもったいない」との声が挙がったという。

「報告の連鎖」と、上司が必要以上に報告を求める構造

上記とは別の会社の話。若山さんの知り合いのビジネスパーソンで、会議で報告した書類がどの程度、読まれているのかを実験した人がいた。「エクセルでつくった資料のデータを更新しないでおくと、いつ上司たちは気づくか」という実験だ。「3週間、気づかれませんでした」と、その知り合いは笑った。そして、「そんな報告資料をつくることが、本当に仕事なのだろうか」という疑問が生じたという。

「報・連・相(ほうれんそう)」という言葉がある。上司に報告、連絡、相談をして、情報を共有していこう、というスローガンだ。若山さんは「報告、連絡を求めてくる上司は大勢いるけれど、部下の困り事や悩みの相談を、親身になって傾聴する人は限られている」と指摘する。つまり、双方向での対話が成り立っていないケースが多いというのだ。

浮かび上がってくるのは、「俺は聞いていない」という状態を回避するために、上司が必要以上に報告を求めている一方的な序列の構造だ。会議の生産性や仕事の成果は二の次になっている。

「私は聞いていない」 若手・中堅社員が巻き込まれる「報告会議」
上司の「俺は聞いていない」という状況をつくるための報告会議の連鎖は、仕事の時間を奪う 写真=Jirsak/Getty Images

部下からの報告を通して、上司は自身の序列の位置と居場所を確認する。部下も、報告する必要のない情報もこまめに上司に報告することで、「あいつはいい部下だな」という信頼感を得ていると考える。

しかし、こうした組織は非常に内向きで、急激な時代の変化に対応するために何をすべきか、という本質的な会議にたどりつけない。「報告会議」をひたすら繰り返すのは、組織内の序列構造を守るためには一定の意義があるかもしれないが、それが会社の成長につながるようなイノベーションが生まれる「気づきの場」にはならないのだ。

互いがどういう人間なのか。どんな問題意識を持っているのか。そして、この会社が10年後も成長を続けるために何をすべきなのか。そんな本質的な話を本音でするための信頼関係が形成されていないから、会議で価値を創出できない。

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