花のない花屋
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妹の旅立ちを、一緒に見送ってくれた親友へ

読者のみなさまから寄せられたエピソードの中から、毎週ひとつの「物語」を、フラワーアーティストの東信さんが花束で表現する連載です。あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら

〈依頼人プロフィール〉
三浦奈々依さん 54歳 女性
フリーアナウンサー
宮城県在住

    ◇

今から7年前、私は二つ違いの妹を病で亡くしました。余命宣告を受けてからの約半年間、妹と2人で病院やホスピスで過ごした日々。日ごとに弱っていく妹の姿を目にすることは耐えきれないほどつらく、また、フリーランスで仕事をしていた私にとって仕事から離れる時間が長くなるほどに将来に対する不安も大きく膨らんでいきました。

そんな私を支えてくれたのが、親友のくりちゃんでした。

妹の最後の誕生日になってしまった12月のある日には、先生の許可を得て材料を病室に持ち込み、妹の好きなトマト鍋を作ってくれました。その後も時間を見つけては病院へやってきて、ぱんぱんにむくんだ妹の足をさすってくれたり、話し相手になってくれたり。

「たまにはコーヒーでも飲んでおいでよ」

そう言って付き添いを交代してくれて、私が休める時間を作ってくれたのも彼女でした。病が進行するにつれ、香りに敏感になった妹の変化にいち早く気づいた彼女は化粧をするのを控え、花が好きだった妹のために、できるだけ香りの強くない花を選んで病室へ。

「くりちゃんくらい、優しい人はいないね」と、妹もよく話していたものです。

最後の誕生日から1カ月経たずして、天国へと旅立った妹。その後は涙に暮れる日が続き、親友は何も言わずに私のそばに寄り添ってくれました。私を食事に誘っては、話を黙って聞いてくれる、そんな日々が続いて半年ほど過ぎたある日のことでした。「シャンパンを飲もう」と誘われ、彼女の家で食事をしました。たわいもない話のあとに、妹の最後の思いを伝えてくれたのです。

「死ぬことは怖くない、そんなことより残されるお姉ちゃんのことが心配」と泣いた妹は、私の力になってほしいと伝えていたそうです。ようやく日々の暮らしを取り戻しつつあった私の心のタイミングを見計らい、目にいっぱい涙を浮かべながら妹の思いを伝えてくれたその優しさに、心から感謝しました。

今年1月に、妹の8回目の命日を迎えました。昨年の妹の誕生日には、サプライズでバースデーケーキを用意してくれた親友。亡くなった妹と同様、やわらかな雰囲気をまとった女性です。今もまるで妹が生きているかのように、私たちの会話には妹の話がひんぱんに登場します。親友は私にとって大切な家族です。

そしてまもなくその親友の誕生日がやってきます。妹との最後の約束を守り、今も私の心の支えになってくれている親友。天国の妹と私から、「ありがとう」の花束を贈ることができればと思っています。

妹の旅立ちを、一緒に見送ってくれた親友へ
≪花材≫ラナンキュラス、チューリップ、ネリネ、カーネーション、シレネ(サクラコマチ)、バラ、スイートピー、ゼラニウム

花束をつくった東さんのコメント

やわらかな空気で、妹さんや投稿者様を包み込んでくれたお友だち。そんなイメージからやさしい空気をまとったようなアレンジメントを作りました。

一口にピンクと言っても、ベージュっぽいピンクもあれば、鮮やかなピンクもあるもの。チューリップやネリネ、バラ、カーネーション、スイートピーなど、そんなさまざまなピンクの花々を集めました。

またゼラニウムの香りは心を落ち着かせる効果もあると言われます。今もよくお二人の話に登場するという天国の妹さんの思い出とともに、見た目も、香りもやさしいアレンジを楽しんでいただければと思います。

妹の旅立ちを、一緒に見送ってくれた親友へ
妹の旅立ちを、一緒に見送ってくれた親友へ
妹の旅立ちを、一緒に見送ってくれた親友へ
妹の旅立ちを、一緒に見送ってくれた親友へ

文:福光恵
写真:椎木俊介

読者のみなさまから「物語」を募集しています。

こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。

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