錦帯橋と咲く桜 春らんまん 山口県岩国市の旅

山口県岩国市に思わず見とれてしまう橋があります。約350年前につくられた錦帯橋です。木造、五連のアーチ橋で、その曲線美はまるで虹がかかっているようです。今回、私は桜が満開の季節に訪れました。咲き誇るピンクや白の桜が錦帯橋の美しさを引き立てていてすっかり感激。さらに、錦帯橋が架かる錦川の上流に行って、鉄道と桜との見事なコラボレーションを見ることもできました。カメラで写真を撮りまくりの旅。やわらかい日ざしが降り注ぐ日に、岩国市の春色の景色を満喫しました。(文・写真、宮﨑健二)
上から見ても、下から見ても優美な錦帯橋
新幹線の新岩国駅から車を走らせると、15分ほどで大きな川が見えてきました。錦川です。そして、遠くに見えるのが、そう、錦帯橋です。

河川敷の駐車場に車をとめて橋に近づいてみました。名橋といわれるだけあって、やはり美しいです。錦帯橋、下から見るか?横から見るか? 横からの眺めは上の写真で紹介したので、今度は下から見てみましょう。

橋の入り口に来ました。優美な曲線を描く錦帯橋を、満開の桜が包み込んでいます。近くにいた観光客の女性が「まるで絵みたいねえ」とため息をつきました。実物が目の前にあるのに「絵みたい」という表現はヘンだと思う方もいるかもしれません。でも、ここにいると、こう言いたくなる気持ちがよくわかります。錦帯橋の絵葉書の中に自分が入り込んでしまったような、そんな錯覚をおぼえるのです。

かつて岩国藩の城下町は錦川によって二分されていました。橋を架けても川の氾濫(はんらん)でしばしば流失。渡船も天候に左右されるため、丈夫な橋を架けることが懸案になっていました。橋の研究を続けていた領主の吉川広嘉(きっかわ・ひろよし)が明から来た僧、独立(どくりゅう)と出会い、彼が持っていた本「西湖志」に描かれていたアーチ橋を見ました。これが錦帯橋誕生のきっかけになったと伝えられています。橋は1673年に完成。その後、架け替えや改良を重ねて現在に至ります。
橋を渡ってみました。木造の橋ならではの木のぬくもり、柔らかさが感じられます。ただ、曲線状の坂を上ったり下りたりするので、戸惑いも。でも、歩いているうちに、この橋ではゆっくり歩くのが正解なのだと気づきました。桜が咲き誇る春ならではの風景を橋の上から楽しみました。

錦帯橋を渡った対岸には山があり、再建された岩国城などがあります。山に上る岩国城ロープウェーを目ざしました。途中の道の両側には白壁と桜が。風情があります。

世界じゅうが震撼する出来事が起きていますが、ここにいると、花見が楽しめる平和のありがたさをあらためて感じます。
私は桜が大好きです。桜があると、足を止めていつまでも見ていたくなります。というのも、ここだけの話ですが、私は何かと桜と縁があるのです。子供の頃に応援していた力士は横綱琴櫻、日本酒を飲むなら黄桜、カラオケで必ず歌うのは中島美嘉の「桜色舞うころ」、山陽新幹線で乗るのは「さくら」、演技力にうなる俳優は安藤サクラ、注目しているアイドルは乃木坂46の遠藤さくら、そして大学を受験した時は「サクラチル」、好きな建築物はサグラダ・ファミリア……。
ん? 何かヘンなことになってきましたね。話を旅に戻しましょう。山麓(さんろく)駅に着きました。ロープウェーに乗り込んで山頂駅へ。

たった3分間で山頂駅に着きました。SMBCモビットのCMでいつも竹中直人の早業にびっくりしている小芝風花がもしこのロープウェーに乗ったら、目を丸くしてこう言うにちがいありません。「早っ!」
山からは岩国市の市街地が見渡せます。もちろん錦帯橋も。

地元料理の店「平清」でいただく岩国寿司
ロープウェーで山を下り、錦帯橋を渡って引き返しました。時刻は午前11時。おなかがすいたので、橋のすぐ近くにある岩国料理の店「平清(ひらせい)」に行きました。注文したのは、じゃのめ御膳です。

この中から郷土料理を紹介しましょう。まず岩国寿司(ずし)。酢飯の上に金糸たまご、シイタケ、桜でんぶなどを載せた押し寿司です。窓から見える錦帯橋を見ながら食べる岩国寿司は格別でした。

そして、大平(おおひら)。ニンジン、フキ、サトイモ、こんにゃく、レンコンなどが入った煮物です。私が住んでいる福岡の地元料理「がめ煮」に似ています。こういう和食を食べると、ほっこりします。

続いて、レンコン三杯酢。レンコンは岩国の名産なのです。ほどよい酸っぱさで、シャキシャキした食感。んま!

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コロナの前 年末に観光しました。端のそばの旅館にお世話になりました。温泉がとてもよかったです。桜の季節にまた行きたいです!
桜が紅葉の季節に行きたいと思いながら、タイミングが合わずまだ行けていません💦岩国寿司も彩りが良いですね。食べてみたいです。